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【映画#60】「自転車泥棒」『あの空の下で』より

こんにちは、三太です。

年度末となりました。
もう数日もすれば新年度が始まります。
色々と新年度に向けてバタバタと準備をしていたら、いつの間にか桜が見頃となってきました。
この感じだと入学式のあたりには散ってしまうかもしれないなと思いつつ、それもまたそんな季節の入学だったなと思えるよすがになる気もします。

では、今日は『あの空の下で』に出てきた映画、「自転車泥棒」を見ていきます。
『あの空の下で』に出てくる14作の映画のうちの1作目です。

基本情報

監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
出演者:アントニオ(ランベルト・マジョラーニ)
    ブルーノ(エンツォ・スタヨーラ)
    マリア(リアネーラ・カレル)
上映時間:1時間28分
公開:1948年

あらすじ

定職につけず仕事を探していたアントニオ
そんなアントニオのもとに一つの仕事が舞い込みます。
しかし、その仕事をするためには自転車が必要とのこと。
家にあるシーツを質屋に出すなどなんとかお金を工面して自転車を手に入れます。
意気揚々と仕事に出かけるのですが、仕事先でその自転車を盗まれてしまいます。
アントニオは犯人を追いかけます。
アントニオは自転車泥棒を捕まえることはできるのでしょうか。

設定

・物を盗まれる
・貧困
・罪を犯す人間

感想

一見とてもシンプルな話のように思えました。
自転車を盗まれた男がその自転車を取り戻すべく奮闘するのですが、奮闘むなしく最後には自分も盗みを犯してしまうという話です。
と説明できるぐらいにです。
そういう意味では退屈と言えなくもないです。
しかし、アントニオが自分も罪を犯すに至る過程にこそ注目すべきだと思いました。
まずはそもそもの貧困。
自転車を手に入れるために自分たちが普段使っている布団のシーツを質に出すほどです。
他にも自転車を盗られたと家族には言えない強がり、教会にも受け入れられない疎外感、息子に手をあげるほどの感情の揺れなどなど・・・。
列挙していくとつらいのですが、最後には少し救いがありました。
人間の情みたいなものを感じられました。
人間の心理の流れを表した映画だと思いました。

泥棒は花野に逃げた自転車で

その他

・モノクロ

ウィキペディアより
→ロベルト・ロッセリーニの『無防備都市』、ルキノ・ヴィスコンティの『揺れる大地』と並ぶネオレアリズモ映画の代表作

→第22回アカデミー賞で名誉賞を受賞

→第24回キネマ旬報ベスト・テン 第1位

『あの空の下で』内の「自転車泥棒」登場シーン

短篇のタイトルの一つとして出てきます。
 
吉田修一が書いた「自転車泥棒」は語り手である女性が、20年前の就職したての頃をふり返るというものです。
そのときに色々と悩んでいて、そこに自転車を盗まれるという悲劇が重なり、衝動的に同じマンションの別の部屋宛てに届いていた封書を盗み読みしてしまいます。
そこには大学生の孫を励ますための祖母の手紙が入っていました。
語り手の女性はその手紙を読んで感動し、再起をかけるという話です。
映画との共通点としては「自転車が盗まれるということ」「衝動的に罪を犯してしまうということ」が挙げられると思います。

吉田修一作品とのつながり

・罪に至る人間の心理

以上で、「自転車泥棒」については終わります。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

画像の出典:アマゾン「自転車泥棒」  

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