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【トミカタウン】胡乱レビュー

 当記事は、最近買って読んでいる『ある本』の文体をオマージュして書いています。

資料① Amazon予約の闇

 きっかけはほんの偶然だった。暇になってAmazonでおもちゃの商品ページを周回していたら、ある一台のトミカの予約価格が定価に戻っていたのを確認した。

 私は一瞬の迷いもなく予約カートに投入した。これが何かと言うと、以前の記事でも触れたシンカリオンCWのトミカである。

 このトミカについては以前から気になっていたのですが、気付いたら既に予約が始まっており、その頃にはAmazon公式の取り扱いが消え、謎の業者たちによって予約価格を釣り上げられていた。主にベイブレードでよく経験するのですが、タカラトミー玩具のAmazon公式在庫の予約は何故か早くに枯れがちである。

 予約が解禁されたその日の内に在庫が枯れ、聞いたこともない出品者の名前とともに割増の価格で予約受付されているというのも珍しくはない。そのため、タカラトミー玩具の情報が解禁される毎月15日にはAmazonの商品ページを定期的に確認し、予約が始まったら即注文するようにしていた。
 しかし、シンカリオントミカについてはいつ予約を開始するのか把握していなかったので、思い出した頃には定価以上の価格で販売されており、定期的に予約ページを確認しに行ってはいたものの半ば諦めかけていた。
 そんな中、いつも通り予約ページを確認してみると、E7のトミカだけAmazon公式の在庫に戻っているのを偶然発見し、考えるより先に予約を済ませていた。シンカリオンCWで購入したのもE7だったので、これは運命だと思った。

 その後商品ページを見返してみると、再び謎業者によって予約価格を釣り上げられていた。本当に危なかった。


資料② 思い出せない食玩

 暇を持て余してYouTubeShortsを流し見していると、面白そうな玩具を見つけた。本のような形状の箱を開くと、中から飲食店やコンビニの建物が飛び出してくるジオラマのようなものだった。特に2階建てになっている種類の変形が小気味良く、面白そうだった。
 調べてみると、あの『タカラトミー』のトミカシリーズから出ているちゃんとした玩具だった。

https://takaratomymall.jp/shop/goods/search.aspx?search=true&category=TmcWorld

 自分は変形トイが好きなので、これもかなり気に入った。遊ばないときはコンパクトに畳んでおけるのもグッと来るポイントだ。
 ジオラマといえば、祖父母の家に遊びに行った際に「カバンを開くとミニカー用の街になる」玩具があり、それでよく遊んでいたのを思い出した。中央が立体駐車場になっており、螺旋状のスロープからミニカーを発進させられたり、昇降できるエレベーターが付いていた記憶がある。
 記憶を便りに検索すると、その正体がすぐにわかった。これもトミカシリーズだった。

 パッケージデザインにも古さと懐かしさが溢れ出ている。あの頃遊んでいた記憶が鮮明に蘇ってきた。立木用の土台がオレンジ色で、ニンジンにしか見えなかった思い出がある。昔遊んでいた玩具をふと思い出す瞬間は、ノスタルジーに浸れて好きだ。
 先述した本から変形するトミカタウンについて調べていると、こんな感じの玩具を昔持っていたような気がしてきた。本から恐竜などの形に変形する小さめの食玩のようなものだ。恐竜図鑑から恐竜そのものに変形する様が面白かった記憶がある。今回ばかりはキーワードが少なく、検索しても中々辿り着けない。
 キーワードを変えて、「変形する本」ではなく「変形する図鑑」にしてみると、あっさりと答えにたどり着いた。

 パトカーの形には全くピンと来ないので、おそらく所持していたラインナップは1,2,4の3つだろう。こんな良質な変形玩具が300円で買えることに驚いた。もじバケるや卵形の食玩ムゲンバインもよく買っていたが、食玩はクオリティの高い変形玩具を出してくるので侮れない。
 ズッカーンの変形の仕組みとしては、プラパーツの背表紙と紙製の表紙部分が余剰になり、中身の直方体が恐竜や車に変形するようなものだった。

 数ある変形玩具の中でも、この手の「統一された規格・記号から変形する」系統がかなり好きだ。一時期ライダー玩具で見られた「スマホやコレクションアイテムから変形するバイク」も結構好きだった。戦隊玩具でも同一規格で並べられるシリーズはグッと来たりする。


資料③ 予定外の出費

 Amazonでトミカタウンのページを眺めていると、実際に遊んでみたくなってしまった。今は月末で、今月分の出費額も定まりかけており、何より昨日にベイブレード商品(ドランバスター、ランチャーグリップ)が届いたばかりだったので新たに玩具を購入するのは避けたかった。

 というのも、一時期玩具を買いすぎて毎月の生活費がバイトでの収入を上回り危機感を覚えたことがあった。残高が減るペースが凄まじく、今は購入する玩具数を抑えたりコンビニ食を減らしたりしてロスを取り戻そうとしているところだ。
 しかし、トミカタウン一点一点がそこまで高くなかったため、「これくらいならセーフ」という悪魔の囁きに乗せられて注文してしまっていた。2点も。

 1000円台はそこまで安い出費でもないのだが、玩具を買いすぎて正常な金銭感覚を失ってしまっていた。これを読んでいる人の中にも似たような感覚の人が居るかもしれないが、おもちゃに数千円をポンポンと出すのは決してお買い得ではない。
 トミカタウンは、せっかくなのでトミカとセットになっているものを選ぶことにした。また、変形パターンの異なる2種類をチョイスした。滑り込みの出費にはなったが、過去は変えられないので開き直って楽しむことにしよう。


資料④ 到着と開封

 Amazonの配送は本当に速く、注文したその日のうちに届く。サービスの向上が目覚ましい。

 箱は意外とコンパクトで、かつずっしりしている。中身がぎっしりと詰まっていることを予感させる。

 箱を開けると、まずトミカが入った白い箱が見え、その奥に本体のトミカタウンがそのまま入っていた。最大効率の梱包といった印象を受ける。
 箱状態のトミカタウンは、背表紙にあたる箇所に企業ロゴが印刷されたステッカーが貼られている。

 箱状態のトミカタウンを開き、建物を起こすと、駐車場を伴うセブンイレブンに変化する。


セブン・イレブン

 細かいデザインはシールで再現されている。店本体だけでなく、入口のマットや掲示までデザインされており、細部までこだわりが感じられる。

 さらに、コンクリートの質感もシボ加工でしっかりと表現されている。リアリティの追求に余念がない。


 もう一方の箱も開封した。ガストの方は、セブンイレブンに比べて大型になっている。

 こちらも同様に箱を開き、建物を持ち上げると、2階建てのレストランに変形する。


Cafeレストラン ガスト

 箱が大きい分、変形がより複雑で土地も広くなっている。
 ガストもセブンイレブンと同様に、シールでの各部表現やシボ加工によるコンクリートの再現がされている。

 さらに細かいのが、側溝(グレーチングという)や四角いマンホール(ハンドホール?)のデザインも造形されている。

 階段をしまい、建物を押し下げると、1階建ての状態にもすることができる。

 同梱されているトミカについても見ておこう。セブンイレブンには配送トラック、ガストにはデリバリーバイクが付属する。

 トミカは子供の頃によく集めていたが、大人になって改めて触るのはこれが初めてになる。ずっしりとして適度な密度感があり、車輪にはサスペンションギミックが仕込まれている。

 デリバリーバイクの方は、デザインが細かいため少し複雑な造りになっている。四輪車両よりも小型だが、運転席などの細部までしっかり造形されている。
 本商品はトミカとジオラマがセットになっているので、最初から並べて遊ぶことができるのも嬉しい。

 2階建てになっている建物の下には、トミカを駐車させるのに十分なスペースがあるため、業者が搬入に来たようなシチュエーションを再現することもできる。

 コンビニの駐車場にもしっかりと停車させられる。他のミニカーと並べて遊んでも楽しい。

 ミニカーを飾るときにジオラマも一緒に並べておくと、世界観が広がったような気がして満足感がある。ひょっとすると今後もこのシリーズを時々摘まんでいくかもしれない。

(ここからは玩具と全く関係ない当て擦りなので読まなくても大丈夫です)

資料⑤ 不自然な建築 

 トミカタウンの購入報告ツイートをすると、設計士をしている知人から連絡があった。今回買った建物に、気になる点があったらしい。

K原:夜分遅くに失礼します。先程のツイート、拝見させていただきました。画像の建物に不可解な点が見受けられたので、少し気になってしまって。

U穴:不可解…?特に変わったところはないと思いますが…。

K原:まずは、ここを見てください。

 そう言われたのも束の間、メールに拡大画像が送られてきた。

K原:店舗の入り口前を見てください。なにか気づきませんか?

U穴:何か突起のようなものがありますね…。

K原:そう、本来必要のない凸ピンが造形されているんですよ。これ、どうしてだと思いますか?

U穴:変形ギミックの都合…とかではないんですか?

K原:でも、店の入口にこんな出っ張りがあったら入店しづらいですよね?まるで、店に入られたら困ると言わんばかりで。

U穴:そんなことはないと思いますけど…。

K原:他にもあります。例えばこの階段を見てください。

K原:階段が急すぎます。普通、客を迎え入れるのにこんな急角度の階段は作りません。

U穴:変形スペースの都合ですよね…?

K原:これには何か、他の意図があると考えるのが自然です。入店を拒む凸ピンと階段…おそらく、店内では見られてはいけない何かが行われていた。例えば…殺人とか。

U穴:え!?何でそんな話に…?

K原:ここからは私の妄想になってしまうのですが、この建物は人間ぶっ○しレストランである、そういう仮説が成り立つんです。

U穴:でも、わざわざファミレスを殺人現場にしなくても…。

K原:そう、そこなんです。まさか街の真ん中にあるファミリーレストランで殺人が行われているとは誰も思いませんよね。

U穴:心理トリックってやつですか…。

K原:それに、この仮説が正しければ配送トラックが付属していたのも説明がつきます。

U穴:配送トラックはコンビニの方に付属してたやつですよ?

K原:この配送トラックで運んでいたのは死体だったんです。すると、一つのストーリーが見えてきます。

街の真ん中に店を構えたレストランは、入り口前の仕掛けで客足を減らした店内で殺人の依頼を行う。死体は配送トラックで運搬され、誰にも見られない山奥で廃棄される。

この建物は、飲食店と殺し屋の二毛作経営だったんです。

U穴:考えすぎじゃないですか…?

 K原さんの妄想が長くなりそうだったので、ここで通話を切ってしまった。彼の虚言癖はいつものことだ。私は机に広げていたトミカタウンを畳んで棚にしまった。

おわり


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