![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/130846601/rectangle_large_type_2_5f0b9e3dc7376a1cf13501b42d6c72ed.jpeg?width=800)
かさいの花
ねじり草という花をご存知だろうか?
6~7月頃に沢山の小さな花を螺旋状に咲かせるラン科の花。
小学生の時、母親の運転する赤いシビックの助手式に乗って、どこかの大きな建物に着いた。
母は少し待っててね、と言って建物の中に入って行く。
その建物の前庭に、ピンクの可愛らしい花がたっくさん咲いていた。
母方の祖父が経営する小さな会社で事務員をしていた母は、よくお使いで取引先の会社に行って、私も度々着いて行ったので、少しの間待つことは得意だった。
夢中で可愛らしい花を摘む。
用事を終えて帰って来た母に、それは「ねじり草よ」と花の名前を教えて貰った。
それからねじり草を見る度に可愛らしさに魅了されて、よく摘んで帰った。
大人になったある日、母に
「あのねじり草ってさ、どこの会社の庭に咲いていたんだっけ」
と、効いてみた。
「あ、会社じゃなくて家庭裁判所よ」と。
そう、幼かったあの日の私は、父と離婚する為に訪れた隣町の家庭裁判所の庭で、無邪気にねじり草を摘んでいたんです。
父親が出て行ったのは、9歳の初夏。
ねじり草の咲く時期は、6~7月。
今わかるのは、母が父と離婚する為に、1年を費やした、ということ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?