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基本を深堀してみるリミテッド入門 Part.1 

こんにちは、最近入ったコミュニティで、新規参入された方がどうドラフトを進めたらいいのか、みたいな話で議論が白熱していたので自分でも思ったことをまとめてみようと思います。

そこで今自分がドラフトをやっていて思っていること/思っていたことを改めて考えてみると、ひとつの変わらぬ思いがあることに気づきました。

「色々教えてもらったり記事を読んだりしたものの、結局あんまり勝てないんだよなあ」

皆さんはいかがでしょうか。記事や諸先輩がたに、この色が強いよ、と教えていただいてどれくらい勝てるようになったでしょうか。もちろんある程度は改善したような気もするのですが、やはり中々勝率が上がらず、募る思いは「リミテッドむずすぎ」の一言に尽きます。

1.なぜ教わった通りにしても勝てないのか?

そこで、なぜ強いといわれる色やアーキを使っているのに勝てないのかを改めて考えてみると、色やアーキ以前のところでうまくいっていなかったのではないかと思えてきました。

ほとんどのリミテッドの記事で語られているどのアーキタイプが強い、などといった考え方はいわゆる応用編で、MTGの基礎と呼ばれるマナカーブやアドバンテージの考え方をすでに理解している人にしか役に立たないのではないだろうか、と思ったのです。

実際私がドラフトをやるうえで一番勉強になったのは除去の枚数とクリーチャーの枚数に関するアドバイスでした。そして、この基礎にあたる部分は奥深く、ほとんどの人が極め切れていない部分でもあります。今私が勝てていないのもこの基礎の部分についてのスキルが不十分だからではないだろうかと考え、これから自分なりに深堀していきたいと思います。

2.マナカーブについて深堀する

さて、まずはマナカーブについてです。これは2マナ3マナのカードを最も多くして、重いカードほど枚数を減らしてデッキを構築することで回りやすいデッキを作るためのテクニックです。
ここで基本に返ってみます。「マナカーブはデッキが回るようにするためのもの」ですよね。
では、「デッキが回る」とはどういった状態でしょうか?
「毎ターン、マナをすべて使い切れること」と答える人が多いでしょう。

では、毎ターンとはいつまででしょうか?
5ターン目?10ターン目?20ターン目?

多くの人は「デッキによって異なる」と答えるでしょう。

この事実を私は今までしっかりと意識していませんでした。つまり、デッキによって理想のマナカーブが異なるということへの理解が私には足りていなかったのです。
知ってはいましたが、ではどうするべきか、を明確に考えることができていなかったのです。そしてこの基準が無いために、これまでのリミテッドにおいて多少の差はあれど、私はほとんどのアーキタイプで同じマナカーブを実現しようとしていました。

つまり、私の目指すマナカーブが選択したデッキにマッチしていないために、強いといわれるアーキでも結果を残せていなかったのではないか、という仮説が立ちました。

では、どんなデッキのときにどういうマナカーブを目指すべきなのか、さらに深堀していきます。

3.アグロデッキのマナカーブを考えてみる

デッキのマナカーブを考えるうえで、アグロ、ミッドレンジ、コントロールという基本的なアーキタイプについて考えていこうと思います。
なぜこの分類かというと、「デッキが回る」ことを目指すには何ターン目までの動きを考えたいのかを意識する必要があるためです。つまり、デッキのスピードによってマナカーブが変わるということですね。

さて、アグロデッキでは素早く動いて相手を倒しきることを目標にします。リミテッドではおよそ5~7ターンでしょうか。
今回は6ターン目までを理想的に動くためにはどうすればよいかを考えてみます。

6ターン目に必ず勝利すると仮定しましょう。その場合、全部で13枚のカードを引くことになります。そのうち5枚が土地であると仮定すると残りは8枚になります。となると、6ターンの間に3回ダブルアクションをすることができるわけです。

逆にダブルアクション出来ない場合は手札を余らせることになります。
これを踏まえたうえでそれぞれの枚数を計算してみましょう。

まず、2ターン目に確実に動くためにはどうすればよいでしょうか。
2ターン目はこちらが先攻の場合、相手の場には何もないことがほとんどでしょう。ということは、クリーチャーのように相手に関係なく動けるカードでなければいけません。除去の場合、対象がいなければ2マナのカードを持っていても「毎ターン、マナを使い切る」ことは叶いませんからね。

ここで確率計算の出番です。2マナのクリーチャーが6枚入っていれば40枚のデッキで8枚目までに1枚引く確率は76%です。5枚であれば69%、4枚であれば60%です。
回らなければ負け、と仮定すると、回る確率が66%を下回ってしまうとドラフトイベントで6勝以上するのは難しそうです。(3回に1回以上負けるため)


(8月追記分)
さらに、2マナのカードをプレイするためには土地を2枚引いている必要があります。そのため、8枚引いたうちに土地が2枚以上引けていて、2マナのカードが1枚以上引けている確率を計算します。
5枚あれば64%、6枚あれば70.7%、7枚あれば76%
となりました



ということで、2マナのクリーチャーは5枚以上6枚以上入れたいという基準が出てきました。
そして、2マナのカードをさらに使うタイミングとして4ターン目に2マナのカードを2枚使うことを考えてみます。もちろん2ターン目にも2マナのカードをプレイしたいので、求めたいのは4ターン目に3枚以上引く確率です。
9枚投入していたとして、4ターン目に3枚以上引く確率は39%、10枚で48%になります。

4マナのカードも入れることを考えれば2マナが10枚入っていると4ターン目まで理想的に動ける確率はかなり高そうです。

続いて3ターン目についても同様に考えてみましょう。
3マナのカードが6枚入っているとすると、3ターン目に引く確率は80%です。5枚であれば74%ですね。


(8月追記)
同様に3ターン目にプレイできる確率は
5枚で60%、6枚で66%、7枚で71%となります



同様に5ターン目に2*3で動くことを考えると5ターン目までに3マナのカードを2枚以上引く確率を考えます。6枚投入で53%、5枚投入で42%です。
こちらも6枚あればある程度ダブルアクションの可能性は見込めそうです。

4マナ、5マナ、6マナのカードはもうダブルアクションすることはないので基本的に1枚しか引きたくありません。
4マナのカードは4枚で4ターン目に70%の確率で引きます。3枚であれば58%、5枚あれば78%になります。
5マナの場合は4枚で74%になります。6マナのカードは3枚で6ターン目に66%の確率で引くことができます。



(8月追記)
4マナのカードは4枚で46%、5枚で52%、6枚で57%になります。
5マナのカードの場合は4枚で36%、5枚で41%になります。
6マナのカードの場合は3枚で22%、4枚であれば26%、5枚あっても29%になります。
別の観点として土地を18枚にふやしてみると、6マナのカードは4枚でも唱えられる確率は32%まで上がります。
つまり、5枚目の6マナを入れるよりも土地を増やしたほうが唱えられる確率が上がるということですね



さて、ここまで出てきた内容を整理してみます
2マナ 56~ 10(ダブルアクションを狙う場合)
3マナ   6
4マナ   3~46
5マナ   3~45
6マナ   3


一番大きな数値に合わせると27枚になります。土地は4マナまで伸ばすのであれば16~17枚確保したいのであと3枚削りたいです。ここで問題になるのは5マナ、6マナのカードです。このカードは本当に出せるでしょうか?
1ターンでも土地が詰まればもう6マナのカードは出すことができません。しかも試合が決まるターンなので、速攻を持っていない限りクリーチャーを入れる意味はなさそうです。ということで6マナのカード3枚を削ってみると、24枚になりました。5マナのカードも出して活躍するためには5ターン目に出す必要がありますが、5ターン目に5枚以上土地を引く確率は54%です。
やはり、5マナのカードも活躍する可能性は低そうですし、2マナ3マナのダブルアクションの可能性もそこまで高くはなさそうです。


それらを踏まえると以下のように枚数を設定できそうです。
2マナ   12(最低5枚6枚はクリーチャー)
3マナ   7  (最低5枚6枚はクリーチャー)
4マナ   3~4

ここで、4マナのカードは2マナのダブルアクションに変更できるという点がポイントになります。
ここまで考えると、以下の議論が必要になることが見えてきました。
2マナ2枚と4マナ1枚のどちらが強いのか?
もしもこの問いに明確に答えが出る環境であればどちらかに寄せてしまったほうがよいでしょう。
環境による差異があるため、最終的には各環境によってどのマナの枚数を増やすか、という調整が必要にはなりますが、まずはアグロデッキの基礎がこの段階で組みあがりました。
ちなみに、ダブルアクションを2回取ることができることを考えると1マナのカードも需要がありそうです。毎回1ターン目を動くことは現実的ではないですが、コンバットトリックや2マナのクリーチャーと同等の1マナクリーチャーであれば十分入りそうです。

今回2マナにすべて寄せていますが1マナのカードを入れてはいけないわけではないです。1マナと2マナ合わせて12枚という風にご理解ください。

さて、デッキの全体の枚数構成はここまでで明らかになりました。皆さんはいかがでしょうか。私は既にこのデッキ構成でもう一度ストリクスヘイヴンの白黒をやれば変わるのではないか!という思いが抑えきれなくなっています。(前は6マナの履修付き追放除去とかピックしてました)

しかしまだ焦ってはいけません。クリーチャーの枚数と除去の枚数などについても仮説を立てるためにさらに深くマナカーブの海に潜っていきましょう。

4.アグロデッキのクリーチャーバランスについて考えてみる

リミテッドのデッキ構築において重要なのがクリーチャーとそれ以外のカードの配分です。
まずそもそもですが、なぜリミテッドではクリーチャーの枚数が重要視されているのでしょうか?

それは、リミテッドにおいて相手のライフを減らす手段がほとんどの場合、クリーチャーによる攻撃に限られるからです。
例えばプレインズウォーカーやプレイヤーに撃てる火力はそもそも枚数が少なく、20点を削れるほど十分な枚数を集めることは現実的ではありません。つまり、クリーチャーが少ない=勝利手段が少ない、ということになるのでクリーチャーの枚数が重要視されています。

では6ターン目までに20点を削るために必要なクリーチャーの枚数を数えてみましょう。
2ターン目に2/2が出た場合、6ターン目までで最大8点のダメージを与えられます。
3ターン目に3/3が出た場合、最大9点です。
4ターン目に4/4が出た場合、最大8点です。
この時点で25点になりましたね。ということで、ざっくり3体のクリーチャーが常にダメージを与えられる状況を6ターン目まで継続することができれば勝利につながるといえるでしょう。

上記を踏まえると4ターン目までにクリーチャー3枚を引くことがアグロデッキでは最も優先すべきなので90%くらいの確率は欲しそうです。
15枚で82%、17枚で90%、19枚で95%になるので17枚前後のクリーチャーが必要になりそうです。
さらに、6ターン目までに与えられるダメージ量が重要であることを踏まえると、威迫や飛行といった回避能力を持ったクリーチャーや、先制攻撃や破壊不能のような一方的に相手を倒すことができるクリーチャー、そして6ターン目までの打点を上げられる速攻がついたクリーチャーはアグロデッキで非常に評価が高いと言えるでしょう。

クリーチャー以外のカードについても考えてみます。まずドローなどのカードはあまり意味がなさそうです。6ターン目に勝利するのでただ手札を余らせるだけの可能性が高いためですね。
3体以上のクリーチャーで攻撃し続けるのであれば、以下のカードが有効そうです。
・除去カード
・自分のクリーチャーを守るカード
・打点を上げるカード

特に除去カードが重要です。なぜかというと、基本的には2マナのカードは3マナのカードに勝てないため、相手が3マナのカードを出してしまうとこちらの2マナのカードは攻撃できなくなってしまいます。それでは攻撃し続ける目標は達成できません。さらに厄介なことに2マナを2枚並べても相手に3マナのカードがあるとやはりどちらも殴れないのです。それを踏まえると、「相手のクリーチャーを除去する」という動きは非常に重要になります。
また、上記のとおり、できれば2~4ターン目はクリーチャーを展開したいです。となると、基本的には除去はダブルアクションで撃ちたいので、1~2マナの除去カードについては非常に評価が高いと言えるでしょう。

5.まとめ

最後にリミテッドにおけるアグロデッキ構築のまとめです。
・1~2マナ、12枚程度、3マナ7枚程度、4マナ4枚程度で組もう
・クリーチャーは17枚(2マナ最低5枚6枚、3マナ最低5枚6枚)で組もう
・除去を優先して、ドローカードは取らないようにしよう

なんかどっかで聞いたことのある内容ばかりですが、ただ鵜呑みにしているのではなく自分なりに理由を考えて導き出したものなのでなんだか素晴らしいものに思えてきますね!
何より応用が利くようになったのが大きいです。
この調子でミッドレンジ、コントロール編、そしてコンバット、アドバンテージ編も書いていこうと思います。

最後に、筆者は一度もリミテッドでミシックに到達したことのないリミテッド弱者ですので、この理論を整理して自分の力で自分の正しさを証明できるように頑張っていきたいと思います。

リミテッドつよつよ人間の皆様、ぜひアドバイスよろしくお願いします!
ということでPart.2につづく・・


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