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春のような温かさがいつもある学校に…時には「なぜ?」を問わず、ただ伝える〜心の宝物16

🌷「がんばる」の奥にあるもの

 山に囲まれた小さな学校
 
朝の挨拶が、子どもたちの生活に定着してきました。元気な「おはようございます!」の声が今日も玄関に響きます。

 彼女は1年生。はにかみやで、元気に大きな声を出すのはあまり得意ではない人です。
 しかし、しっかりと目が合います。その視線に乗って、静かな優しいおはようございますの声が、滑るように心の真ん中に届きます。その心持は授業中の姿勢にも表れていました。まだ小さな背中に力を込めて姿勢を正し、やや顎を引き気味に、上目づかいに前に立つ先生をじっと見て、集中して聴いています。

 1年生の、どちらかといえば内気な彼女が、心の内で何かを決意し、あいさつに、聴くことに、ひたむきに全力を尽くす姿は健気で、心から愛おしく思いました。

🌷「なぜ」を問わず、行動の値打ちや意味を心に届けたい


 子どもは、それぞれのタイミングで心のスイッチが入ったとき、しばしば夢中で、自分でも説明できないような衝動で、言葉や行動を選択することがあります。よいことであれ、問題行動であれ、「なぜそうしたの?」「そのときどんな思いだったの?」に、自分自身が答えを見出せないときがあります。
 
 おそらくこの時の彼女に思うところを尋ねても、自身の心情を客観的に語ることはできなかったでしょう。「わからないけどがんばろうと思った」
 
 それでいいのだと思います。ただ、これだけは伝えたい。あなたが「何となく」行った選択が、どれほど素晴らしく、どれほど温かなものだったのか、その「何となく」という思いは、実はこんな名前で呼ばれている素敵な力であって、このときのあなたはまちがいなくその力を発揮したんだよ。
 
 彼女のきらめきに、彼女自身が立ち止まってほしい、自分が「何となく」そうしたことがその人に大きな力と温もりを届けたことをわかってほしいと心から願いました。

🌷目と目が合うと、心から心に道ができる


「目を見てあいさつしよう」と言いますが、誰かと目を合わせることは、決して簡単なことではありません。その人を思う優しさ、つながろうとする勇気。とても大きな心の力を必要とすることで、できなくても苦手でも、全然恥ずかしいことではありません。

 でもこのとき、あなたは確かにその力をもっていました。
 
 あなたの心から出発した温かな思いが、あなたの目から出て、その人の目を通り、心の奥深くまでつながる、まっすぐな一本の道をつくりました。その道ができると、あいさつも、その人が話すことも、やわらかく、あたたかく、すうっと心に入ってくる。元気がわいてくる。その人が言おうとすることもよくわかる。そんな素敵なことを、あなたの姿から学ぶことができたよ。ありがとう。

かけがえのないあなたへ。
素敵なきらめきをありがとう。
出会ってくれてありがとう。
生まれてきてくれてありがとう。
どうか ありのままで。
どうか 幸せで。

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