渋谷のクソデカTSUTAYA
2023年夏。8月下旬から9月上旬にかけてに瀬戸内を旅した。
JR在来線を主たる手段として移動していたのだが、広島で電車に揺られていた時、こんな会話が耳に入ってきた。
『東京がわからない』
『地図を見せられても、場所がわからない』
『渋谷のクソデカTSUTAYAしかわからない』
私(平凡な男子大学生)と同年代くらいの男子3人組が、吊り革に掴まって、そんな話をしていた。地元民だと思う。
(盗み聴きする意図はなく、自然に聴き取れるくらいのボリュームで話していたので、聞き耳を立てた。うるさいとか、そういう感じではない。)
私は関東生まれ、関東育ち、関東の大学に通う「THE 関東っ子」。
東京都心に行くにも不便ない土地に住んでいるので、渋谷や新宿、池袋などの主要地は大体歩き潰した。
それこそ、「渋谷のクソデカTSUTAYA」にも月に1回くらいは行く。
最近、私は東京に慣れすぎて、日々の暮らしに刺激を感じにくくなっていた。
(「東京に通える所に住んでるんだぞ! 」アピールではない )
刺激がないと気持ちが高まらないので、大学の夏休み期間に関東を脱出し、瀬戸内へ旅に出たのである。
瀬戸内はみな良い所だった。
そして広島のお好み焼き、モダン焼きも美味かった。
心が落ち着くと共に、良い刺激を得た。
また機会があれば、瀬戸内まで足を伸ばしたい。
もし、私が広島(別に、広島に限った話ではないが)に生まれ育っていたら、この男子学生たちのように「東京がわからない」のだろう。
子どもの頃から東京が遠い存在の環境で暮らし、成長していくと、どんな価値観を持つようになるのだろう。
東京をどう思うのだろう。
憧れか?
嫌悪感か?
何か近寄りがたい空気か?
それとも、別になんとも思わないのか?
東京に戻り、程なくして渋谷に行く機会があった。
道路名や建物の場所、駅の改札の位置関係まで分かる。
もはや、東京には安心感がある。
地元に帰ってきた感じ。
東京出身でもないのに。
あの広島の男子学生たちは、ここに来ると刺激を感じるだろう。
狭いようで広い、広いようで狭い。
日本の多様な暮らしと価値観を知れたような気がする。それぞれの良さを感じた旅だった。
この夏、関東を脱出して思ったこと。
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