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ジローが消えた夜

「おさる、おさる!!」

お母さんの慌ただしい声に驚き


「何?どうしたん?」

「ジローがいない!!」


僕は、慌てて庭に出ると、そこにはチェーンに繋がれた首輪だけが転がっていた・・

ジロー・・・


その日は学校だったが、そんな状況じゃない!!


お父さんは

「だから言わんこっちゃない」と首輪のこと僕に咎めた。


僕は「探してくる」と言って、そのままジローを探しに行った。


まだ、僕は、どっか近くでひょっこり現れてジローを叱っていることを想像してた。


きっと、家族もそう思ってたに違いない。


だけど、お昼になっても見つからない・・・


近所の人も見かけてないと口を揃えて言った。


家族で探し回った。

ご飯も食べずに探した。


「誰かがさらっていったのか・・」


ふと、電柱に張り紙が貼ってあるのを見上げた。

ずっと前から貼りっぱなしの紙だった。


「犬を探しています」

その下には、可愛い犬の写真が載っていた。


もう、少し破れかけていて色褪せた紙を見て僕は泣いた。

「まだ、見つかってなかったのか・・」


今まで、気にして見ていなかった、その紙が僕はジローと重なった。


夕方になっても戻って来ないジローをみんなが心配してくれた。


何処に行ったんだ?

誰かと遊んでるのか?

お腹すいたら戻ってくるよな?


お前は、甘ったれだし淋しがりなんだから野良犬なんかになれないんだって!!


ジロー戻って来いよー

お願いだから、戻ってきてよ

でも、一週間が経っても見つからず


ジローは戻ってこなかった・・・


ジロー・・

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