負けられない僕
「今日はバイト?」
お母さんが心配そうに聞いてきた。
昨日の僕の素振りを見てのことだ。
「うん」
僕は、そう返事したけど気持ちはどんよりしてた。
バイトの作業がイヤなんじゃない!
その周りの人が僕をどう思っているのかが気になった。
こいつ使えねぇ~
なんて思っていたら最悪だ。
初日だからって問題じゃなくて、その作業が僕には慣れるというかできる自信が完全に喪失してた。
重いし、棚が高すぎる。
身長は、そんなすぐ伸びないにしても力が・・・ない。
「大丈夫?」
「何が?」
親になら強がった発言ができるけどなぁ~
ここでギブするわけにはいかないか・・
僕はなぜかタローの頭を撫でながら
「僕を守ってくれよ」
無意識にタローに神頼みしてた。
心配そうな顔に見えたタローが多分だけど頑張れって言ってくれた気がした。
「帰ってきたら散歩に連れてってやるからな」
タローの頭を少しだけ押し付けて僕はバイトに向かった。
「お、おチビさん来たね」
「あ、今日もお願いします」
店の裏に回って作業の始まりだ。
「じゃあ、昨日と同じ流れでここの箱を運んでね」
「え?はい・・」
「ほら、早く!」
「あ、え~と、どこに?」
「ん~覚えられないのならメモをとる!!」
「はい、すみません」
これが仕事ってもんか・・・
でも、その人の顔は優しかった。
頑張ります!!
つづく
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