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インフレはどうなる?? 「プライス・オブ・トゥモロー」 要約・所感

おはようございます。本日はジェフ・ブースの 「プライス・オブ・トゥモロー」を取り上げたいと思います。

2022年12月現在、コロナパンデミックからの急速な回復とロシアウクライナ情勢を発端としたエネルギー自給の逼迫から世界は歴史的に稀に見るインフレに襲われています。まさに今各国の政府や中央銀行はこのインフレの火消しに手を焼いている最中です。

本書はそのインフレ一色の考えに飲み込まれず疑ってみろと一石を投じています。インフレが続かない理由とその根拠となる内容を以下の三つに分けて説明していきたいと思います。


1. 世界の中央銀行は借金まみれ!

2020年コロナパンデミックによって世界恐慌以来の世界を巻き込んだ経済危機が訪れ各国の中央銀行は株価の暴落を防ぐためにあらゆる手段を投入しました。金融緩和、紙幣の増刷ばら撒き等によって何とか意気消沈の経済を維持させようとしました。しかし、パンデミック後の急激な経済の回復に人や物資、生産やサービスが追いつかずに値段が高騰している…ここまではニュースでよく聞くストーリーだと思います。

 しかし政府や中央銀行の紙幣の増刷いわゆる負債はコロナから始まったわけではありません。2000年度の世界経済の規模は33.5兆ドルと言われています。同年の世界の負債の総額は62兆ドルでありすでに負債の方が大きく上回っていました。

18年度の世界経済の規模は80兆ドルまで伸ばします。一方負債総額は247兆ドルまで急拡大しています。つまり世界は46兆の成長のために185兆ドルの負債を抱えてしまったわけです。なぜこんなにも借金を積み重ねてしまったのか。それは、長年世界に重力のようにかかり続けたデフレ圧力であるとしています。

各国政府はデフレ圧力に対して負債を増やし続け、金融緩和や紙幣の増刷を続けてきました。これは重力に抗してバタバタ羽をばたかせている行為でありいつかはエネルギーが尽きて落下しまうでしょう。本書ではデフレ圧力の根源はテクノロジーの急速な発展としています。

2. 経済的発展を追い抜くテクノロジーの発展

世界経済は世界人口の増加とともに発展してきました。2020年現在の世界人口は77億人です。先進国では人口は頭打ちで日本では人口減少とも言われますが、アフリカを始め発展途上国での人口増加は継続しており、今後も直線的に増えることが見込まれています。このことが世界経済の発展が続くとされる根拠のひとつです。

テクノロジーの進化は直線ではなく指数関数的に速度を増しています。ホモサピエンスの出現が30万年前、3000年前に文字が発明され、活版印刷が発明されたのが600年前でした。170年前に機械式計算機が、70年前に AI のアイデアが出現します。そして、23年前に AI がチェスのグランドマスターに勝利を納めます。

このように革命的発明の頻度が指数関数的に高まっているのです。今後は特に AI 分野の進展は凄まじく数年いや、数ヶ月単位で革命が起こるような未来が訪れるでしょう。

テクノロジーがデフレを起こす身近な例を紹介します。携帯電話の利用費は20年前と大きく代わっていませんが、その費用でできるサービスには雲泥の差が在ります。当時は電話とメールしかできなかったですが、今やスマホ一つで決済から株の取引、映画視聴はじめ様々なエンターテインメントが利用できます。

未来は同じ額のお金でより多くのモノやサービスが手に入るのです。人口増加とテクノロジー進展のスピード差は明らかで、その差が開けば開くほどデフレ圧力になります。



3. エネルギーの未来

現在、ロシアウクライナ情勢を発端とし石油価格の高騰によってエネルギー問題が世界中で騒がれています。しかし、本書ではその未来も明るいとしています。その根拠となるのが太陽光エネルギーです。

現代世界の主要なエネルギー元である石油も元をたどれば太陽エネルギーなのです。植物が太陽エネルギーから光合成を行い成長する。それを動物が食べて成長する。その亡骸が時間をかけて地中に蓄積したものが石油です。この石油を掘り起こし→輸送→工場で加工→輸送→エネルギー変換して利用しているのです。

その変換率は20〜50%ともいわれ非常に効率の悪いエネルギー生成方法とも言えます。太陽から地球に降り注ぐエネルギーは2時間足らずで世界の年間エネルギー消費量を上回るとされており、太陽から直接エネルギーを変換できる太陽光パネルは非常に効率の良い再生エネルギーです。

その太陽光パネルはこれまで導入コストが足かせとなっていましたが、その費用も10年ごとに75%下がってきています。また、天候によって供給量が不安定になるという欠点についてもフライホイール技術(太陽エネルギーを回転エネルギーに変換して保存する)などが進展すれば解決できるとされています。太陽光で発電されてエネルギーがほぼ無料で豊富に使える時代がやってくるかもしれません。

所感

テクノロジーの進化がデフレ圧力になる。この視点は本書を読むまでは意識しなかった点です。コロナパンデミックは世界を一変させたと言うよりも世界を急激に進めたと言われます。確かに私が体感しているだけでも大きく生活が変わってきています。世界各国の中央銀行が一斉に利上げによってインフレを抑え込む中、唯一日銀だけが金融緩和を継続しています。インフレが落ち着いた時利上げ上昇の流れが変わった時に世界経済がどのような方向へ進むのか、日本経済がどうなっていくのか、複雑な要素が絡み合っており誰も予想できません。本書では太陽光エネルギーについて楽観的ですが、日本は地形や国土の狭さからもこの様には行かないだろうと言う意見もあります。インフレを疑え!と異なる視点に触れることは多様性の面では貴重な知識経験となりました。

さらに詳しく知りたいという方は、是非読んでみてください。



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