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神宮外苑再開発問題・サザン・桑田佳祐さんの新曲にあったざんねんな印象操作を徹底チェックしました!

目次


発表されたサザンオールスターズの新曲


麗しいオアシスがアスファルト・ジャングルに変わっちゃうの?--という歌詞のある楽曲「Relay(リレー)~杜の詩」の歌詞が、9月3日、サザンオールスターズの公式サイトに掲載されました。

桑田佳祐のレギュラーラジオ「桑田佳祐のやさしい夜遊び」(TOKYO FM/JFN系列 毎週土曜23:00〜)にて初オンエアされた、三ヶ月連続新曲配信リリース“サザン2023三部作”の完結編、サザンオールスターズの新曲「Relay〜杜の詩」の歌詞を特設サイトにて公開中です。
ぜひご覧ください!

▼サザンオールスターズ45周年特設サイト 
https://special-sas45.southernallstars.jp/

サザンオールスターズ公式サイトより

桑田佳祐さんが訴えたこと

今回は、政治的な意見をふんだんに含んだ歌詞ですので、報道目的で最小限の引用をさせていただきます。歌詞の全体を知りたい方は、サザンの公式サイトを御覧ください。

誰かが悲嘆(なげ)いてた 美しい杜が消滅(き)えるのを Ah…
自分が居ない世の中 思い遣るような人間(ひと)であれと
ーー
麗しいオアシスが
アスファルト・ジャングルに変わっちゃうの?
ーー
未来の都市が空を塞いで良いの?
ーー
意思を継ないで
この杜(ここ)が好きだよ

「Relay〜杜の詩」
作詞・桑田佳祐

神宮外苑のこれまでの論点

神宮外苑の再開発については、私がかつて論点を整理しています。時間があれば、こちらを御覧ください。

坂本龍一の主張は無謀!神宮外苑「再開発」反対派こそイチョウ並木を大切に…目をそらされる不都合な真実
https://mag.minkabu.jp/mag-sogo/20185/

読んでいただければわかると思いますが、並べてみると以下です。

・イチョウ並木は守られる
・緑は増える
・そもそも人工林であったイチョウ並木を守るためこれまでも植樹、保護、伐採が繰り返されてきた。
・人が休めるスペースは増える
・GHQによってぶっ潰され『軟式軟式野球場』となった場所が『広場』となって、明治時代の面影を復活させる
・狭すぎてどうにもならなかった「バリアフリー」がやっと達成させる。高齢者、障がい者、子育て世帯にとっては良い話

坂本龍一さんの主張は「難くせ」に近い

2023年3月28日、がんで亡くなった音楽家・坂本龍一氏は、東京・明治神宮外苑の再開発に反対していました。亡くなる直前の政治行動だったので、坂本氏のファンらを中心に、神宮外苑の再開発に反対する人が多いようです。

 坂本氏は、共同通信のインタビューに答えて「もちろん施設の老朽化、耐震、エネルギー供給の整備など更新すべき点は多々あるのだろうと思います。しかし、それらのアップデートを、現存する樹木を伐採することなく進める方法は本当にないのでしょうか?」と問うています。

しかし、改修工事だけの場合、弱って切るしかない木を除けば、現存する樹木を一本も伐採することなく開発は進められます。ただ、坂本氏の主張は、改修工事だけですませろというのが文意でしょうから、それについて答えれば、それは残念だけど「できない」となります。

物理的には可能です。ただそれをやると、神宮球場のバリアフリー化は狭くてできず、エレベーターも設置できず、ビールやお弁当などの販売スペースは狭いまま。野球観戦の帰りは、人でごった返し身動きがとれないまま。マラソンできるスペースは少ないまま。緑は少ないまま。庭園文化は戻らないまま。そして、明治神宮の財政はしんどくなる一方ということになります。

イチョウ並木の整備のお金は今後、誰が出すのでしょう。ただし、イチョウは放っておいても枯れるものは枯れます。

改修工事だけで済ませると、悪い未来しか待っていないことが理解できたでしょうか。個人的な一番の心配は、ヤクルトスワローズが新しい球場へと本拠地を移すのがもっとも財政的に痛いと感じます。他球場と比べて、明らかに施設として見劣りする現在の神宮球場は、新しくしていくのが合理的でしょう。

桑田佳祐さんの主張のここがおかしい


さて、では、桑田佳祐さんの歌詞に答えていくことで、本稿を終わらせます。

誰かが悲嘆(なげ)いてた 美しい杜が消滅(き)えるのを

イチョウ並木は、まったく消えません。むしろ、GHQによって消滅(け)された明治時代の広場が再生されます。

麗しいオアシスが
アスファルト・ジャングルに変わっちゃうの?

緑が増えます。
アスファルト・ジャングルなどには変わりません。むしろ、球場の数が減ります。バッティングセンターやゴルフの打ちっぱなしを『麗しいオアシス』というのなら変わりますが、いずれにしろアスファルト・ジャングルにはならないです。

ちょっと印象操作がひどいですね。ドームツアーなどでミュージシャンは、アスファルト・ジャングルで大儲けしてきたのに、ひどいもんです。これからは森林や砂浜でライブをするのでしょうか。


未来の都市が空を塞いで良いの?

たしかに、ラグビー場は、屋根付きになりますが、ほかの施設は空を塞がないです。

サザンオールスターズ「東京ドームツアー」
https://special.southernallstars.jp/5baigaeshitour/

ミュージシャンたちのダブスタには呆れるばかりです。
イチョウを一本たりとも切るなということであれば、桑田佳祐さん宅は、家を建てるときに、一切植物を伐採しなかったのでしょうか。
ちなみに、神宮外苑人工林のイチョウは、どこにでもある種類のイチョウです。

ちなみに、グーグルで『桑田佳祐 ドームツアー』と検索するとこんな感じでした。桑田さん、空を塞いだコンクリート・ジャングルで激アツのツアーを開催していますね。



外苑再生を妨害して泣くのは神宮内苑


意思を継(つ)ないで
この杜(ここ)が好きだよ

これは、保守側にも混乱があるようです。

何故に、この計画が持ち上がっているのかといえば、地権者である明治神宮の財政問題があります。この再開発は外苑であり、神宮内苑とは明治神宮のある敷地のことです。明治神宮内苑の広大な土地を維持管理するために、(有り体に言えば)外苑で利益を稼ぐ必要があるのです。
外苑の工事を妨害して泣くのは、神宮内苑です。

さらに、明治神宮外苑は、明治天皇と昭憲皇太后のご遺徳を永く後世に伝えるために造成され、開かれた「外苑」として聖徳記念絵画館や西洋庭園、スポーツ施設等が整備されたものです。

 しかし、それが戦後、アメリカのGHQによって接収され、もともとあった西洋庭園がスポーツ・レジャー施設へと改修され、現在の軟式野球場の姿となっています。
 今回の工事によって、GHQ接収以前の姿が少し取り戻されることになりました。つまり、イチョウ並木の奥にある現在「軟式野球場」となっているスペースが、「絵画館前広場」となるのです。この昔の姿に戻そうという計画については、明治神宮が特にこだわっていたことが取材で判明しました。

GHQによって、私たちの意思が断絶したと言ってもいいでしょう。

言いっぱなしOK!?村上春樹さんと桑田佳祐さん


坂本龍一さん、桑田佳祐さん以外にも村上春樹さんなどが神宮外苑の再生に異議を唱えています。こうした文化人たちの印象操作で、持続可能な都市再生計画がおじゃんになってしまうのは非常に悲しいことです。

彼らは一方的に印象操作をするばかりで、あとはダンマリを決め込むのでしょう。今起きている福島の処理水同様に「風評被害」そのものです。
今後は、事実関係をしっかり踏まえた議論に期待したいところです。

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