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アメリカ現地採用 スペック変貌の歴史(2010-2020)

こんにちは、LIG13です。

 西海岸のTech企業で働き、プライベートは副業と米国株投資をしています。今日はアメリカの日本人向け「現地採用」の変貌を過去10年の実体験をもとにシェアしたいと思います。

 ここでは採用サイドで体験してきたことを書きたいと思います。おもにエンジニア採用の話になります。ざっと過去10年の期間で振り返ってみました。

「日系アカウント」というユニークな枠

 まず、アメリカの企業で日本やアジア地域と密接なビジネスがある場合、「アジア地域担当・ジャパンアカウント」などと呼ばれるニッチな枠があります。比較的大きな会社に限りますが、アメリカで日本人ということを売りにできる場所でもあります。現地化が進んだ古参の日系企業でもこうした部署(大概は数人の小さいチーム)はよく目にします。

 こういうポジションはリモートワークが普及しても、ローカルのタイムゾーンや租税面・法的にアメリカであるべきメリットが企業側にある限り、存在し続けると思います。実際は100%日本向けの仕事というよりは、普段は他のアメリカ人とおなじく英語メインの仕事をやりつつ、必要な時に日本語の出番。というミックスされた職場がみなさん多いと思います。

では、僕が体験してきた雇用相場の10年を振り返ってみようと思います。

「2010ー2015年」中堅エンジニア採用の全盛期

 この時期のエンジニア採用については、とにかく「人手不足」でした。レジメの応募も少なくて、応募者のほとんどが中堅からシニアなエンジニアの方が多かったです。僕と同じような、日本採用というパターンも非常に多かったです。きっと就労ビザのサポートもピークだったのではないでしょうか?一方で20代の若手(または新卒レベル)のエンジニアはなかなかお目にかかることがありませんでした。この頃は、中堅・シニアのエンジニア市場の全盛期だったと思います。スペック的には、日本生まれ・理系の学歴・ビザサポ・英語はビジネスレベルという感じです。

「2016−2020年」若手・新卒エンジニアが増加

 初代 iPhoneがリリースされたのが2007年ですから、当時の小・中学生が世の中に出てきました。この頃からエンジニアの市場にも変化が見られるようになりました。まずレジメの数が増えました。スペックはアメリカ生まれ(市民権)・理系(Computer Science)・英語ネイティブ。アメリカで生まれ育った、おそらくご両親が日本人の世代が、GAFAの影響でIT志望ということでしょうか(これは僕の憶測ですよ)エンジニアの人手不足がなくなったことを肌で感じ始めたのも、ちょうどこの頃からだと思います。実際に募集をすると、レジメがすぐに集まります。特にビザサポートをしなくて良いというのは事務的な負担が減りますし、採用から就労スタートまでの時間が短縮できますので、現場も助かります。

「若手エンジニア市場も競争激化か?」

 ここ最近の応募レジメで見かけるようになったのが、他のアジアの国から留学に来た理系の学生や、アジア系アメリカ人の若者です。彼らのスペックは、上記の内容にプラスして、「日本語能力」です。英語が少しだけ得意なレベルの僕にとっては、文句なしに尊敬しかないです。インタビューで日本語を学んだ方法を聞くと、みなさん独学したって言われるのですが、それで日本語ネイティブの僕と対等に日常会話ができるなんて凄いです。ふたたび僕の憶測ですが、大手のアメリカのIT企業やスタートアップへのエントリーは強烈な競争があるので、全体的にアメリカ国内にあるテクノロジー系の会社へのエントリーを目指す若者が、情報を集めて片っ端からレジメを送って来ているのだと思います。

 つまり、現地生まれの日系アメリカ人の若者も、上記のような日本語が流暢なアジア系のエンジニアと競争関係にある。という状況なんです。エンジニアの就職先は世界を見渡せばいくらでもあるので、彼らもどこかに落ち着くことはできると思います。ほんの5年前までは、日本からビザサポートして採用しないと見つからない状況だったのに、たったの5年で状況が逆転したわけです。

「雇用ベースでの永住権を目指す方へ」

  僕はアドバイスをするような立場でもありませんが、これから留学をしてアメリカの雇用ベースでグリーンカードの取得を目指す方は、まずご自身が専攻する分野で、卒業後にH1Bビザが取れる可能性は高いか?ということを意識することをお勧めします。なぜなら現在H1Bの取得のハードルが非常に高いからです。アメリカに留学して雇用ベースのH1Bがすんなりと取れたのは昔の話です。

 上記以外の選択肢としては、日本やその他の国で経験を積み、あなたの経験をもとにビザサポートしてもらえるアメリカの会社にエントリーすることです。僕はこの方法が技術職の方にはおすすめ(IT・エンジニア・研究職など)ですし、スポンサー企業にとっても合理的かと思います。

 アメリカでの就労チャンスは外国籍の我々にとっては年々狭き門になっているので、「チャンスが訪れたら、あれこれ考えずに掴み取りましょう」という感じです。なぜなら、念願のアメリカ生活を「就労」という形で手に入れても、想像と違ったり、いろいろと馴染めず、帰国した方を僕はたくさん見て来たからです。

 ではまた。


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