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ブランディングのメモ帳-6

「物語がブランドを生み出す時代」

時代は大きく変貌しつつあります。かつての「ブランディング」の常識も通用しなくなってゆきます。私感ですが、これからおそらく2〜3年で思いもよらないような変化が世界中で起こると思っています。気候変動による天変地異とか新種のウイルスによるパンデミックとか…それらはすでに起こってますが、感じているのはそういう変化ではなく「社会構造」そのものの変化です。

タリバンが政権を奪取したりミャンマーで軍部が政権を掌握したり、香港で暴動が起こって政治的な弾圧が起こったこと。でもそれらは世界で起ころうとしている変化への最後の抵抗のような気がしています。

全世界の社会に変革をもたらしているのはインターネットだと思っています。インターネットはすでにずいぶん前から普及していて、その時にもう変化を起こしたのではないか?と考える人が多いかもしれません。でも本当の変化はこれから起こるのだと考えています。もうどんなに情報をコントロールしようとしても全世界の人類が情報を共有しています。おそらくこれから起こるであろう変化は民主化への揺り戻し、資本主義の崩壊、工業系大企業の倒壊etc。そうなって行くことを早くから予測し、ビジネスに取り込んだのがいわゆるGAFAなのだと考えます。そういう彼らも既成概念から離れられない一面があります。なぜなら彼らこそ資本主義の申し子だからです。

これからインターネットをどのように利用しデジタル化を進め新しい仕組みを作り上げたものが次の勝者になるのだろうと思います。でも今はどこも「早く資本を集めて市場を席捲する」ことだけに躍起になっているように感じます。人は生き物であり環境の一部であり、精神性を持ち合わせていることを忘れているのではないか?というような動きが垣間見えます。人の「感情」を人の「反応」に置き換えようとしているようにも見えます。数値と統計でブランドを作り上げようとしているようにも見えます。ネットやデジタルの中ではその方が都合が良いからです。

でも果たしてそうなのでしょうか?人の気持ちを誘引する要素を統計的な数値に置き換えてAIに読み込ませれば「正解」に近い「ブランド」の形がわかるかもしれません。でも完璧さが果たして「ブランド」の魅力になるかどうかは疑問が残ります。それは「ブランド」をごく短時間に理論という鎧で固めるようなものではないでしょうか?

結論はそういった技法が世の中に現れてしばらくしてからわかるでしょう。もともとその技法は以前から人が追い求め続けてきたものです。しかし未だに完璧なブランドなど存在していません。

これからの「ブランド」を支えるものは「感情」であり、感情を伝えるのに必要なものは「物語」であると考えています。つまり「物語」のない「ブランド」など魅力はない、と皆が感じ始めるだろうと考えるからです。「物語」は何もないところから突然生まれたりしません。それには多くの人や社会や環境が関わっているからです。

未来の「ブランド」の話は実は過去につながっているのです。

人間が存在しなければ「ブランド」も存在しません。「ブランド」は人間に必要だから存在するのです。「村のチーズ店」の場合もそれぞれに物語がありました。「ブランド」そのものはチーズという商品に付随しているように見えますが、よく読むと実はそのチーズを生み出した店主の物語に付随していることがわかります。つまり「ブランド」は店主の考えや行動が積み重なった物語が生み出したと言えるのです。

さて、次はいよいよ「ブランド」の未来の形についてお話ししましょう。


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