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理不尽な契約を結ばないために!知らないと損する賃貸契約の確認ポイント

はじめに

新生活を始めるにあたって、大変なのが引っ越しであり、引っ越すためには引っ越し先を見つけなければなりません。
マンションにしろ、アパートにしろ、借家にしろ、悩むことが多い引っ越しで、ようやく引っ越し先が見つかっても、大家さんなど、貸している方が圧倒的に有利な契約を結ばされてしまうと、せっかくの新生活も金銭面や大家さんとのやり取りで疲れてしまいます。。。

鍵の交換代やハウスクリーニングの費用まで請求され、敷金は返ってこない、故障した設備をなかなか修理してもらえない、そんなことになりたくない方、そんな経験がある方はぜひ読んでください。

この記事だけで、 賃貸契約書のチェックポイント 借りる側が一方的に弱いわけではない理由から を説明していきます。

これを読めば、今まで泣き寝入りしてきた人も、今の賃貸に不満がある人も、戦う方法を学ぶことができます。
ただし、私は弁護士ではないので、あくまで本やインターネット、実際の弁護士への相談などによる解説であることをご承知おきください。
また、法律の内容は2020年1月時点の内容になっていることを合わせてご承知おきください。

では、次から賃貸契約書の確認すべきポイントについて、書いていきます。

賃貸契約書の確認ポイント

全体を通して、明確に金額が記載されている箇所はどこか。

契約書において最も大事なのは、この「支払う予定の金額が書かれているかどうか」です。

なぜかというと、裁判で重要視されるポイントであり、金額が明記されている場合、「契約時に負担する金額を事前に理解しており、そのうえで契約している」とみなされ、その契約書は有効になることが多いからです。

書かれている金額が法外な金額でない限り、例えば、賃料の3倍程度であれば認められる判例があります。
具体的には、「借主が退去するときには、原状回復費用として30万円を敷金(40万円)から支払うこと」と書いていると、通常損耗分(詳細で説明します。要は普段使いの範囲で汚れたり、鋲を打ったりする分です)のみで、どう考えても30万円しなくても、そもそもその金額を了承したよね、ということで、契約書が有効になってしまいます。

なので、まずは必ず、どういう場合にいくらの金額を支払うことになるのか(支払わせようとしているのか)、を確認しましょう。

「特約」という文字が無いか。

「特約」というのは、原則を超えた義務を、借りる側に押し付けるためにつけられるもので、大抵は上記の通常損耗分や鍵の交換費用、ハウスクリーニング費用などを盛り込んだ項目になっています。

周りの賃貸物件と比較して、飛びぬけて家賃が安い、といったことが無い限り、特約は借りる側が一方的に損する内容が多く、特約が書かれている場合はまずはそれを外せるか、交渉しましょう。

どうしても外せないのであれば、例えば、2年更新のたびに賃料を一定額下げる(ただし、最低賃料は設ける)など、長期で借りることを前提に、借りる側もメリットがある内容にならないか、相談しましょう。

それでも交渉に応じてもらえないのであれば、あとはその金額や負担を負ってもその家に住みたいか、真剣に考えましょう。

特約と書かれていない箇所に原則を超えた記述が無いか。

最後は、特約と書かれていない箇所ですが、こういったところにも通常の損耗分を超えた負担を強いる内容が書かれている可能性があります。
そういった箇所は、裁判では借りる側に有利に働きますが、そもそも裁判にならないのが一番なので、きちんと確認しましょう。

ポイントとしては、下記の通りです。

小修繕を超えた内容が書かれていないか。
 ・小修繕とは、電球や網戸の穴の修理など、比較的少額で対応可能なもの。
 ・大修繕とは、付帯設備として掲げられている、給湯器やクーラー、ガスコンロなどの故障に対する修理ないし交換等で、高額になるもの。

退去時の鍵の交換費用が含まれていないか。
 鍵の交換だけでなく、例えば、フローリングのワックスがけや壁紙の張替えなど、次の入居者のためのグレードアップ的な要素は貸す側の負担が原則です。
(原状回復では?と思われた方は後半で説明します)

更新料は発生するか。
 毎年更新時に賃料1か月分を更新料とする、など、更新料が発生するかどうか、確認しましょう。
 なお、賃料と記載がある場合、契約時の賃料ではなく、値上がりした場合には値上がり後の賃料がベースになります。
先ほど例に出した、賃料の値下げが可能であれば、賃料ベースの記載でも良いと思います。

家賃保証、火災保険に加入が必須の場合、保険会社は自分で選べるか。
 家賃保証や火災保険への加入を求められるケースは、結構多いと思いますが、その会社を自分で選べるかどうかは確認すべきです。
 昔ながらの付き合いで、高額な保険会社を使用しているケースがあるからです。保険の金額と内容を確認のうえ、同じ保障内容でより金額が安い保険会社を選択できるか、確認しましょう。

契約書のチェックを有効にする最後の一押し

ここまでしっかり確認してきた契約書ですが、最後の一押しで手を抜くと、余計な負担が発生するかもしれないので、忘れずやりましょう。

それは、「入居前の部屋の状況の確認と証拠を残すこと」です。
気づきづらいクローゼットの中や台所の隅まできちんと調査して、後から修繕費を求められるような傷、汚れが無いか、しっかり確認しましょう。
もし気づいたらすぐに写真を撮り、大家さんに連絡し、自分の過失によるものではないことを証明しましょう。
これをやらないと、退去するときに、はじめから傷がついていたにも関わらず、過失として費用請求される恐れがあります。
引っ越しで物の整理や電気ガス水道といった生活インフラの開始手続きなど、やることがいっぱいある時期ですが、忘れず、怠けず、やっておくことが、無駄な出費を防ぐ最善の方法です。

事前に知っておくべき法律とガイドライン

次は事前の知識として、貸している側が負うべき義務について、法律と合わせて説明していきます。
上記のチェックポイントの補足説明と思ってください。

ちなみに、根気のある方は下記にガイドラインへのリンクを貼付しますので、読むと理解が深まると思いますが、かなり長いです。
なるべくこの記事の中でポイントを押さえて説明していきますので、まずはお読みいただいてからでも良いかと思います。

原状回復をめぐるトラブルとガイドライン – 国土交通省

通常損耗の範囲について

以下に記載するものは、通常損耗分(借りる側に修繕の義務が発生しないもの)とされる場合が多いです。

 ・冷蔵庫やテレビによる壁紙の変色(電気焼け)
 ・日光による畳やクロスの変色 
 ・家具による床のへこみ、設置跡
 ・ポスターなど掲示物による鋲の穴
 ・地震など、自然災害による損傷
 ・次の入居者のため鍵の交換
 ・設備機器の経年劣化による故障

次に、請求された場合、貸す側の負担だと言っていい内容です。
なお、前提として、借りる側が壊したものではなく、貸す側が次の入居者のために行うグレードアップの意味合いが強い行為です。

 ・畳やクロスの張替え
 ・フローリングのワックスがけ
 ・網戸の張替え
 ・部屋の消毒 など

次は、誤って壊してしまった場合に役立つ知識です。

経年劣化の考え方

全てのものは永遠に使えるわけではなく、いつか壊れますし、時間がたてば劣化していきます。
なので、そのものの価値も時間の経過とともに小さくなっていく、という考え方です。
それが何か、というと、例えば、壁紙を誤って汚してしまった場合、全面新しくしないといけないのか、というとそうではありません。

その壁紙が新しく張り直してから6年経過していると、価値は1円になります。
また、範囲も全面ではなく、最小1㎡単位で汚してしまった範囲に対する補償になります。
なお、経年劣化は壁紙自体の価値に対するものなので、張り替えるための作業費は支払う場合があります。

次からは、補足の補足です。
契約してから不平等だからと解約できる場合があるのはなぜか、という点と、
賃貸人、賃借人の義務と権利を記載した法律をご紹介します。
さすがにそこまではいらない、という方は、まとめへどうぞ。

消費者の不作為(知らない)を悪用した契約を無効とする法律

消費者契約法 第十条
消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

簡単に書くと、知らないことを良いことに、違法な内容や、契約者の一方が過度に損をするような契約は無効にする、というものです。

賃貸人による修繕義務について

民法606条(賃貸人による修繕等)
1.賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
2.賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。

賃貸人(貸主)は、貸している建物の設備について、修繕する義務があります。
賃貸物というのは、賃貸契約を結ぶときに、前提として給湯器やエアコンがついている場合、それらは賃貸物として扱われます。

壊れてしまったから連絡したけど、直してくれない、という場合はこの法律に違反します。
ただし、太字で書いているように、賃借人(借主)の使い方等に問題があって壊した場合は賃借人が修繕の負担を負います。

しかし、どれだけ言っても修理してくれない、という時は、次です。

民法607条の2(賃借人による修繕)
賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。
一 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。
二 急迫の事情があるとき。

壊れてしまったので修理の依頼をしても、いつまでたっても修理してくれない場合、賃借人の判断で修理を依頼することができます。
例えば、夏場にクーラーがまったく動かなくなったときは、悠長なことなんて言ってられません。
そういう場合は急迫の事情ありとして、修理手配できます。
ただし、そういう場合でもまったく通知しないと、今度は賃借人側の義務を怠ったことになるので、必ず連絡は入れるようにしましょう。

続いて、その際に発生した費用についてです。

民法608条 貸借人による償還請求
一 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
二 賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第196条第2項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

上記の通り、修理にかかった費用は請求することができます。
また、設備が使えなかったことによる不利益(例えば、給湯器が使えず銭湯に行った場合の費用など)も併せて請求できる場合があります。

まとめ

賃貸契約について、なるべくわかりやすくまとめたつもりですが、いかがでしたでしょうか。

賃貸契約は、大家さんの方が知識があり、気づかないうちに不平等な契約に署名してしまうことがままあるかと思います。
これからはそう言ったことが無いように、この記事が役立てば幸いです。

こちらでブログもやっているので興味を持っていただけた方はぜひお越しください!

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