捉え方を変えると自分が救われる
シドニーは初夏の陽気で
いろいろなお花が咲き誇っています。
とても陽気な日にクライアントと一緒に
ビーチのカフェでセッションでした。
【震災の記憶と心に残る言葉】
クライアントの心の中には、従姉妹の子供の言葉がずっと響いていました。その子は彼女を「震災の叔母ちゃん」と呼んでいます。
2014年の震災の日、彼女の従姉妹一家は福島第一原子力発電所の近くから避難しました。途中でガソリンが切れてしまい、どのガソリンスタンドも閉まっていましたが、何とか彼女に連絡が取れたのです。彼女は急いで車で従姉妹一家を迎えに行き、彼らを自分の小さなアパートに連れて帰りました。一人用の小さなコタツでみんなで足だけを入れて暖をとったそうです。
その時から、子供は彼女を「震災の叔母ちゃん」と呼ぶようになったそうです。
クライアントは、その子に会うたびに、震災の辛い記憶を思い出させているのではないかと苦しんでいました。
【捉え方を変えると心も変わる】
その話を聞いたとき、私は違う見方があることに気づきました。
子供にとって彼女は、困難な状況で助けてくれた、
まるでスーパーヒーローのような存在だったのではないでしょうか。
ガソリンが切れて途方に暮れる親を見て、子供は不安と恐怖を感じたはずです。そんな中、彼女が迎えに来てくれた時、どれほど安心したことでしょう。
そう伝えると、クライアントは「救われた気がします」と言いました。
「これまで会うたびに、あの子に辛い思いをさせているとばかり思っていました」と涙を浮かべながら話してくれました。
【新たな視点の発見】
私たちは、自分の行動が他者に与える影響を正しく理解することが難しいものです。しかし、少し視点を変えてみると、自分が想像していた以上に温かい記憶を残しているかもしれません。
彼女の中で「震災の叔母ちゃん」という言葉が、助けた人としての誇りに変わる瞬間を、私も共に感じることができました。