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「理学療法士」って何?

こんにちは。life story で理学療法士の中村です。
4月は暖かくなったと思ったら、急に寒くなったり。寒暖差にやられて見事に風邪を引きました。しっかり休んで無事回復。大切、休息。

life storyに参加してから、理学療法士の存在や仕事を知らない人に出会うことも多く、自分の仕事、専門性を説明する機会が増えました。

「理学療法士」って思ったより世の中のメジャーではない。

ということで
「理学療法士」ってどんなことをしている仕事なのか
「理学療法士」はどこにいるのか
「産業理学療法士」って?
なんてことを整理しながら書いてみようかなと思います。


理学療法士の定義

私が入会している日本理学療法士協会によると

理学療法士(Physical Therapist)は、病気などで身体に障害のある人や障害の発生が予測される人に対して、基本動作能力の回復や維持、および障害の悪化の予防を目的に、運動療法や物理療法などを用いて、自立した日常生活が送れるよう支援する医学的リハビリテーションの専門職です。

日本理学療法士協会HPより

と定義されていました。
おそらく偉い方々によって過不足なく考え抜かれた秀逸な文章。

勝手に思ったポイントは「病気などで身体に障害のある人や障害の発生が予測される人に対して」というところ。
「今障害を感じている人」だけでなく、「今後予測される人」も対象と明記されていました。ほぼ全人類が将来どこかに痛みや動きにくさを感じることが予測されるから、本来は誰もが対象となり得るはず。素晴らしい。

つまり理学療法士って?

理学療法士を分かりやすく説明すると
あらゆる人が動きやすく快適に過ごすために、
運動、物理的な手段を使って支援をする体と動きの専門家。

ということなのかなと思います。
定義の後には下記の言葉が続きます。

治療や支援の内容については、理学療法士が対象者ひとりひとりについて医学的・社会的視点から身体能力や生活環境等を十分に評価し、それぞれの目標に向けて適切なプログラムを作成します。

日本理学療法士協会HPより

マニュアルがあって、そこに当てはめるのではなく、
「あなただけのプログラムを作成します」
ってところが大切なんだと思います。
1人1人の体は違う、だけでなく1人1人の生活も違う。そして1人1人の人生も違う。この違いを大切に、その人その人に寄り添ってプログラムを作るのが理学療法士。なのかなと思いました。

余談ですが、
私は対象となる患者様、お客様と向き合うときには
なるべく頭をまっさらな、白い紙のようにして
なるべく先入観を持たないように、当てはめないように、
その人から湧き出るものを受け取れるように心がけています。

どんなところで働いているの?

理学療法士免許を取得した後は、主に病院、クリニック、介護保険関連施設等で働いています。近年は、高齢者の介護予防、フレイル予防、健康増進、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病に対する指導、スポーツ現場、産業分野など活躍の場が広がっています。

日本理学療法士協会より

一般的には病院で働いているイメージですね。私も初めは総合病院で働いていました。あとは介護関連施設で働いているイメージも定着していると思います。

クリニックというのはおそらく地域の整形外科で、私も長い間働いていました。でも、世の中の多くの整形外科に理学療法士がいない現実があります。怪我したり痛みがあったりして整形外科に行っても、「じゃリハビリしましょう」とは、あまりならないですよね。(私が勤務していた整形外科は「取りあえずリハビリで様子を見よう」がスタンダードで、他にはあまりないとのことで患者様が殺到していました)スペースも、施設も、人件費もかかる割には診療報酬が低くて儲からないからか…。

近年ではようやく、少しずつ活動の幅が広がってきています。プロスポーツの現場に立つ人も、個人で起業する人も少しずつ増えてきました。けれどまだまだ限られた人たち。

理学療法士が世の中のメジャーにならない理由

働く現場を考えると、怪我をした人か、体が動きにくくなった高齢の方は出会うけれど、怪我をしたことがない人や若い人は理学療法士と出会わないのが現実。
これが理学療法士がメジャーにならない理由の1つかなと思います。

加えてもう一つ、理学療法士に開業権がないということがメジャーにならない、働く現場が限られている理由の一つかなと思います。
街を歩くと接骨院や整体はたくさん見かけますが、「理学療法します」という看板を掲げているところはありません。理学療法士はあくまで「医師の指示の下に理学療法をおこなうことを業とする者」として法律で定められているので、自分で店舗を持って理学療法を提供できません。(海外では、多くの国が開業権を認められており、自分のオフィスを持って働いている理学療法士が多く存在します)

私のように産業分野で働く理学療法士はまだまだ少人数ですし、会社に所属している理学療法士はあまり見かけません。よく「理学療法士に個人的に体を診てもらうにはどうすればいいの?」と聞かれますが、出会うのがなかなか難しいのが現状かも知れません。

世の中にはたくさんの素晴らしい理学療法士がいます。病院で一人一人の患者様を大切にしている理学療法士、技術の獲得に向けて日々精進している理学療法士、想像以上に深くて難しい精密機械のような人間の体や心と日々向き合っているスペシャリストに、出来るだけ多くの方が出会ってほしいと思います。これは私の中の今後の課題の1つです。

産業理学療法士って?

さて、私は今産業保健の分野でも働いています。最近になって「産業理学療法士」という言葉を耳にするようになり、こちらもまた最近になって「産業理学療法の定義」が日本産業理学療法研究会によって出されました。

理学療法士が、産業医学を基礎に専門的知識を活かして、働く人々の心身機能の維持・改善に努め、健康で安全に働くことができる快適な職場環境の形成と労働生産性の向上を促進する活動である

日本産業理学療法会HPより引用

心身の機能評価だけでなく、作業内容や作業環境の評価を行ったり、腰痛・転倒・生活習慣病の予防、メンタルヘルスケア、健康経営や持続的な活動の支援を行う理学療法士が産業理学療法士です。

医療の現場にいて理学療法を行なっていると、体が痛い働く人が次々にやってきます。施術をして回復しても、別の方が次々とやってきますし、再発してやってくる方もいらっしゃいます。

上流から汚れた水が流れてきて、それをすくっては綺麗にして、でもでもどんどん汚い水が流れてくる。止められない。そんなイメージ。

産業分野で理学療法士が働く現場を変えられれば、上流から汚れた水が流れるのを止める助けになるんじゃないかな、そうなれたらいいな、と思って日々活動しています。

エイジフレンドリー補助金について

そんな活動の後押しとなる補助金の案内が厚生労働省からリリースされました。

今までは高齢者を雇用する補助金でしたが、今年度から高齢者がいなくても利用できるコース
「転倒防止や腰痛予防のためのスポーツ・運動指導コース」
が追加されました。
このコースでは、労働者の身体機能低下による「転倒」や「腰痛」の行動災害を防止するため、身体機能維持改善のための専門家等による運動プログラムに基づいた身体機能のチェック及び専門家等による運動指導等に要する費用を補助対象とします。

ご興味がある方はぜひ詳細をHPにてご覧になってください!
当社でも補助金を使ったご依頼を受け付けております!


ゴールデンウィークも後半に突入!
ゆっくり休息もよし!思い切り遊ぶのもよし!ですね!
お仕事の方はお疲れ様です!代休を楽しみに!
それぞれが良い残りのゴールデンウィークを過ごせますように!

(執筆・編集:中村梢)