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1979年生まれの私が見つめてきた時代

こんばんは。物語のアトリエの安藤陽子です。

5歳・娘の寝かしつけをしたところ、ものの5分で寝息が聞こえはじめ、狂喜乱舞しています。調子に乗って、本日2度目のnote投稿です。

さて、私は大学時代に小説の創作や批評を学んでいたのですが、卒業のための創作指導をしてくださった関川夏央先生が繰り返し仰っていたのが、時代と地域を描くことの大切さでした。

当時の自分は恐ろしく世間知らずで、精神的にも全く自立できていなかったので(穴があったら入りたい)、時代を描くといっても、何をどう書いたらよいのか、まるで理解できていなかったと思います。しかし、社会に出て、ありがたくも多くの人を取材させて頂く中で、人間を描くということは時代と地域を見つめることでもあるのだと実感できるようになりました。

私が主宰するワークショップでは、物語の基本的な構造について学びながらお互いの人生のストーリーを傾聴し合うのですが、一人ひとりが生きてきた地域と時代こそが、物語の舞台となります。

読書好きの方には共感していただけると思うのですが、地域や時代のディティールが丁寧に描かれている小説は、登場人物たちが本当に存在しているかのようにリアリティを帯びています。

私たちの日常生活においても、お互いの価値観を理解する上で、どのような地域・時代を生きてきたのか、折に触れて対話を重ねることが案外大切ではないかと思うのです。

ドラえもん・ちびまる子ちゃん・ジブリ

1979年(昭和54年)生まれの私は、朝から晩までテレビでアニメ番組を観て育った世代です。ドラえもんは、テレビでもコミックでも映画でももれなく追いかけてきました。頭の中ではずっと「踊るポンポコリン」が鳴り響いていて、ジブリ映画を観た後は、魔法にかかったかのように、ファンタジーの世界にどっぷりとひたっていました。子どもが得られる情報は、今のように決して多くはなかったけれど、大人になっても忘れられないほどインパクトのあるクリエイティヴなアニメ作品にたっぷりと触れてきたという点では、恵まれた世代だったように思います。

もう、書き始めると止まりませんが、庵野秀明さんが総監督した「ふしぎの海のナディア」とか、細野晴臣さんがサウンドトラックを手がけたアニメ版「銀河鉄道の夜」なども、音楽と言い、ストーリー展開と言い、くぎづけになってしまった記憶があります。あっ、それから「機動警察パトレイバー」も……(そろそろ止めなければ)。ああ、もう子どもたちに「テレビは1日は30分ね」なんて言ってはいけない気がしてきました。私はいったい、週何本アニメを見ていたのでしょうか。それに加え、コミックも山ほど読んできたわけで……。

もし同世代の方々がこのnoteを読んで下さっていたら、瞬時に分かち合える時代感覚というものがある気がします。カルチャーって、それだけ人と人を結びつける引力を持っていると思うのです。

時代をふり返る切り口は無数にあります。国際ニュースとしてはベルリンの壁崩壊(1989)、湾岸戦争(1990)、ソマリア内戦(1991)、ルワンダ紛争(1994)…、国内では、バブル崩壊(1991)、地下鉄サリン事件(1995)、神戸連続児童殺傷事件(1997)……と、10代の頃にメディアを通して感じてきた「時代」は、控えめに言っても重たい「不安」に覆われていました。

その影響もあって、高校生の頃にはすでに、不安や不満を煽るマスメディアにうんざりしていて、「もっと、安心できる話題や希望の持てるニュースに触れたい」と切望していました。

超氷河期の就職活動はすこぶる悲惨なものでしたが(大学卒業当時:2002年1-3月の有効求人倍率は0.51 倍)、最終的に地域情報紙出版社に行き着いた動機も、「ローカルメディアなら身近なホッとできる話題を取り上げられるかもしれない」と考えたからです。

いま国内外で起きている出来事から目を背けるためではなく、むしろ目を凝らしていくためにも、足元の地域に希望を見出せる記事を書いていきたい。

あらためて書き出してみると、これから取り組んでいきたい事業も、社会人1年目からずっと大切にしてきた「無名の一人に光をあてる」というテーマの延長線上にあるのだと再確認できます。

#物語のアトリエ #人生の物語に光をあてる文章制作とワークショップ
#クリエイターEXPO 2022 




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