【30分で読解?!】正法眼蔵「転法輪」巻を読む(禅と法話の会"放光")
愛知学院大学禅研究所の主催による坐禅会、
「禅と法話の会"放光"」
に通っています。
昨年度までは「禅・茶話の会"放光"」というタイトルのもと、1時間の枠のうち前半の約30分で椅子坐禅(希望者は申し出れば坐蒲を使って坐ることもできます)、後半はお茶と季節のお茶菓子をいただきながら、愛知学院大で教鞭をとっていらっしゃる先生方のご法話を拝聴する…というスタイルで行なわれていました。
今年度からは、お茶とお菓子の提供はなくなりましたが、「坐禅+法話」という内容は変わらず行なわれます。
その新年度第1回にして「平成最後の放光」という貴重な回(4月17日開催)のご法話を担当されたのは、菅原研州さん(愛知学院大学教養部准教授)でした。
〔正法眼蔵・基本のキ〕
研州先生の今回のご法話は、曹洞宗のご開祖・道元禅師の代表的な著作、
『正法眼蔵』
について。
まずは、
・『正法眼蔵』がいつ頃の時代に書かれたのか、道元さんが何歳くらいの頃に書かれたものなのか(→道元さんが中国・宋への留学から帰国された後の1231年(32歳ごろ)から、最晩年の1253年(54歳)にかけて書かれた)
・『正法眼蔵』には何が書かれているのか(→仮名で書かれた法語の集成。ブッダや中国の禅の祖師方が説かれた教えを引用しつつ、それを道元さん自身がどう理解したのかが書かれている)
・『正法眼蔵』をどのように学べばよいか(→本文に直接あたる、いきなりは理解できなくても、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も読み込む)
……という「正法眼蔵の基本のキ」のポイントを押さえる解説がありました。
〔30分で読む「転法輪」巻〕
そして、実際の正法眼蔵「転法輪」巻を、『道元禅師全集』(春秋社刊)から引用したレジュメを参照しながら読んでいきました。
〔正法眼蔵「転法輪」巻・解題〕
・首楞厳経(しゅりょうごんきょう)に説かれる「一人発真帰源、十方虚空、悉皆消殞」について、道元さんの師である天童如浄禅師や歴代のお祖師さま方の解釈、道元さん自身(ここでは「大仏」という自称を用いている)による解釈が示される。
・この首楞厳経という経典は、偽経であるか否かという議論や、漢訳の新旧があるけれども、祖師方がいずれもこの言葉を引用して説法されているのならば、たとえ偽経であったとしても仏祖の言葉である。
・首楞厳経の「一人発真帰源、十方虚空、悉皆消殞」の句の意味を明らかにし、法を説くということは、修行道場を離れることなく仏道修行に専念して(一生不離叢林)、師に教えを乞うて坐禅修行に精進すること(請益弁道)の中に求められなければならない。
「転法輪」巻の中で道元さんが「大仏」という自称を用いていたことの経緯(→永平寺は元は「傘松峰大仏寺」として建立された)や、悟りに至れる簡単な方法と説いたとされる首楞厳経という偽経のことが道元さんは「大キライだった」と研州先生が表現されたこと、正法眼蔵を理解するには、意味が分からなくとも、とにかく「原本を何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も(何度も×8)」読んだ方がよい……などと愉しくお話してくださった研州先生の語り口には、
「どうにかして、多くの人に正法眼蔵に触れてほしい!」
という熱意がこもっていました。
また、とあるご縁で正法眼蔵「弁道話」巻を学ぶことになり、澤木興道老師の講話集をテキストに独習しているところでしたので(…弁道話はレジュメ1枚にはおさまらない大部なのでなかなか大変です)、
わずか30分という時間に「転法輪」巻の要点・エッセンスを的確に押さえた研州先生のご講義によって触れることができたのは、またとないナイスタイミングでした。
研州先生、ありがとうございました!
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