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【代表インタビュー】諦めていた生活をもう一度。ー人に寄り添うテクノロジーの世界を目指すー

こんにちは!株式会社LIFESCAPES採用担当です。
本日は、牛場代表 にインタビューをしてまいりました。

・脳に関心を持った小学生/中学生時代
・突然訪れた脳卒中と介護生活の現実
・脳は回復しないという常識を覆したい
・今後の展望

についてお話しして参りますので、「リハビリや医療に関心のある方」や「新しいことにチャレンジするのが好きな方」はぜひ最後までご覧ください。




代表取締役 ⽜場潤⼀

【専⾨】
神経科学、リハビリテーション医学、データサイエンス
査読付き英文原著論文100編以上
⽂部科学⼤⾂表彰による若⼿科学者賞受賞
中⾕医⼯学計測振興財団中⾕賞特別賞受賞
フロンティアサロン財団永瀬賞特別賞受賞

Clinical BMI Society エグゼクティブ・ボードメンバー
Real-Time Functional Imaging and Neurofeedback 2017 実行委員長
⽇本臨床神経⽣理学会 代議員
The Annual BCI Award 2015 審査委員⻑




脳に関心を持った小学生/中学生時代

ーAI(人工知能)を研究している大学院生との出会いが全ての始まり。

私は、小学生の頃、放課後の集まりで目にしたコンピュータのとりこになりました。毎日のようにコンピュータをいじっていたある日、人工知能の研究をしている大学院生が自作のプログラムを持ってきてくれたんです。

そのプログラムで謎解きゲームを始めると、なんと人工知能がプレイするたびにどんどん賢くなっていきました。
まるで生き物のように成長していく様子に、私はすっかり魅了されてしまいました。

あの時、ふと「私たちの脳も、もしかしたらこんな風に機能がアップデートされているのかな?」と思ったのが、脳に興味を持ったきっかけです。

自分自身の脳が、新しいことを学ぶたびに少しずつ変化していく。そうした脳のメカニズムに、私は今も強く惹かれています。


ー脳の可能性に二度、衝撃を受けた。

中学生の頃、脳について2つの興味深い話を聴く機会がありました。

一つ目は、猫の実験の話です。
ずっと縦じまの環境で育った猫は、縦じましか見えない脳になり、外の世界に出しても横じまを認識できないという話です。
この時、脳は環境によってこんなにも変化するのかと驚きました。

二つ目は、脳の半分が損傷した少女の話です。
脳の片側半分を大ケガで損傷したにも関わらず、残る半分の脳が機能を補い、傍から見ると普通の人と何も変わらない生活を送れているそうです。

この二つの話を聴き、脳はなんてドラマチックにその性質を変えるのだろうと驚き、私のなかで脳に対する興味はますます高まりました。


突然訪れた、脳卒中と介護生活の現実。

ー大好きだった祖父の突然の車椅子生活

高校卒業間際に祖父が脳卒中で倒れ、身体に麻痺が残りました。
祖父はそれから車椅子を手放せなくなってしまいました。本人もつらい思いをしていたでしょうし、家族も介護の大変さを味わいました。

私はこの時、脳の半分を損傷しても普通に暮らしている少女の話を思い出しました。
脳卒中で麻痺を負った人でも、やり方次第では運動機能を大きく回復させることができるのではないか・・・

そんな少年時代からの思いが繋がり、今では脳と身体をつなぐBMI(ブレイン・マシン・インタフェース)の研究に日々取り組んでいます。
※BMI:頭部に電位センサーを装着して、脳波反応が出たら機械が動作するシステムのこと。


脳は回復しないという常識を覆したい

ー医師から笑われても研究を続ける日々

祖父の脳卒中をきっかけにBMI(ブレイン・マシン・インタフェース)の研究に没頭する毎日でした。

2007年頃から、このシステムを脳卒中のリハビリに活用できないかと考えていました。
研究は、医学部と連携してやらなくてはならないので、最初に慶應義塾大学の医学部の先生に相談したら、「いやいや、それは無理でしょ」と笑われてしまいました。

なぜなら、当時の医学的な常識では重い麻痺からの回復は非常に難しく、麻痺が残ったままを前提とした生活支援や就労支援が行われていたからです。

その時、BMI技術を応用したリハビリ研究はそれほど難しいものだということを実感しました。

それでも私は、「脳のやわらかさ」を信じて諦めずに研究を続け、根気強く医学部の先生方を口説いているうちに、少しずつ実験をさせてもらえるようになりました。


ー脳の柔らかさと可能性

BMIを使って麻痺の残った手を動かす研究を繰り返すうち、
一人、また一人と、麻痺が改善する患者さんが出てくるようになりました。

脳が「やわらかさ」を発揮して、脳卒中によって失われた神経回路の機能を補う代替経路が確立され、麻痺の残った手が動くことを証明できた大きな出来事でした。


今後の展望

ー驚くべき脳の可能性を引き出す

私が目指すのは、「やわらかい脳」が持つ可能性を引き出すツールとしてBMIを世界に広めていくことです。
私たちが2024年に製品として上市したもの(LIFESCAPES 医療用BMI(手指タイプ))は、薬機法上の区分としては「運動装置」、つまりロボットであり、まだ脳への効果を直接的に標榜できているわけではありません。

今後は、自分の大学研究室や顧客先医療機関と連携しながら、製品の中枢神経系への作用をさらに解き明かし、将来的には他の疾患への応用、薬剤や神経機能修飾技術との併用の検討などを、科学としても事業としても追求していきたいと思います。

また、BMIをもっと身近に使っていただけるように、さらにコンパクトで使い勝手の良い製品を作って、病院のベッドサイドや在宅向けに展開したいです。


ー諦めていた生活をもう一度。

将来は、こうした製品群を海外にも出していって、日本が世界に誇る「医療」「神経科学」「ものづくり」の結晶であるBMI製品を私たちの手で世の中に届け、これまでの医療では、アプローチが困難だったさまざまな神経系の悩みごとに寄り添い、解決のお手伝いをしていく存在になれたらと思います。

麻痺になった人にも可能性を提供し、一人ひとりが豊かな日々を過ごすお手伝いをする。そんな「人に寄り添うテクノロジー」の実現を目指しています。

まだ誰も挑戦したことがない事業領域にワクワクしてくださる方。
未知のことを貪欲に学び、積極的に挑戦し、仲間や患者さんへの思いやりと優しさをもって日々を過ごしたい方。

私たちの会社は、そうした方々と一緒に成長していきたいと思っています。私たちの夢に皆さんの夢を重ねて、大きなホワイトキャンバスの上に素敵な絵を描いていきましょう!

ー牛場代表ありがとうございました!

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