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第19話 放たれた矢

藤原伊周は、どうも世情疎かったように自分の立場が
悪くなっていたことに気がつかないようですね
妹の藤原定子にもあれだけきつく忠告されていたにも関わらず
「皇子を生ん頂けるますように」と要望するほどです
なぜ、そこまで強気なのでしょうか?

藤原伊周は、父親である道隆の跡を継ぎ関白になれるものだと
信じて疑わなかったのでしょう
ところが、そうは問屋が卸さなかったということで、
関白にはなれませんでした

さて、藤原伊周を良く観察してみたいと思います
藤原兼家の孫
兼家の長男、道隆と高階貴子の長男
藤原氏の中でもトップの藤原氏の跡取り息子です
2代続いた関白を引き継ぎ3代目になるであろうと目されていたので
教養も身につけ、プレッシャーにも負けずに自信を持った
生き方をしているようにみえます
まぁ~生粋のサラブレットですからね

当然、伊周も祖父と父と同じように出世して関白となり
そして、母を喜ばせることができると想定していたでしょう
しかし、藤原道長によって全て思う通りにいかないのです
さらに、一条天皇と妹藤原定子との間に皇子が出来ない
そこに、勝手な誤解で妾の藤原光子をとられたと思い込んでしまうのです

思い通りに行かない伊周はどうしたのかと言うと、
道長に対しては、嫌がらせをしたりなんでも反抗してみたり、
相手を攻撃する行動を起こします
また、妹藤原定子には「皇子を産め!」と恐喝します
妾をとられたと思い込んだ時も怒りに身を任せた行動を起こします

幼い頃から期待され育てられ期待に応えるために頑張ってきて
そうなるであろうと周囲に見られていた伊周は、
思い通りに期待に応えることが出来ないのは全て他者のせいと
していると思いませんか?

藤原定子が「人望を集めなされ」と言っていたように、
原因は全て伊周にあるのですが、それを認めてしまうことが、
伊周にはできないのです
出来ないというよりも、自分に原因があることを認めることを
知らないのです

期待に応えることが出来ないことが自分の弱みだと気がついている
けれど、それを認めることも他者に気がつかれたくないのです
そのため自分のプライドを守るために虚勢を張るには、
他者を攻撃して自分の弱みから目をそらさねばなりません

最近、カスタマーハラスメントが問題になっていますが、
自分の何かを防衛するために怒りで「弱みがあります」と
宣言しているようなものなのではないのかな?
そんなことを考えながら伊周をみていました
ただ、人には正当な怒りと言うものがあります
それは、カスタマーハラスメントではなく、どうしても自分の人生において
譲れないと思うほどの怒りです
それは、そんなに軽いものではなく何においても優先するほど
大事な物なので、何事にも変えることが出来ないものを知っている
人の正当な怒りは譲れない怒りなのでしょう
逆にカスタマーハラスメントをする人は、その譲れないものに
気がついていない人なのかもしれません


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