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きょう心にしみた言葉・2022年10月24日

一人の人間の内的生産の物語は、たとえそれがまったく書き留められず、また小説に書かれるほどのものではなかったとしても、その劇的性格において、さらにはその悲劇性においてすら、決して「無駄」に起こったのではないであろう。一人の人間が生きた「物語」は、かつて書かれたどんな物語よりも、比較にならないほど偉大で創造的な業績なのである。

「人間とは何か」(V・E フランクル、春秋社)p90から

アウシュヴィッツなどナチスの収容所で、まさに死と隣り合わせの日々を生き抜いたオーストリアの精神科医、ヴィクトール・エミール・フランクル。想像を超えた過酷な環境の中でも、フランクルは、人生の意味を見い出し続けました。その体験を綴った著書「夜と霧」(みすず書房)は、「言語を絶する感動」と評され、戦後70余年たった今も世界で読み継がれる至極のベストセラーです。この本によって救われた人は数限りなく、今も無数の苦しむ魂を救い続けています。「人間とは何か」は、「夜と霧」と並ぶ大作「死と愛」(みすず書房)の原著から、フランクルが死ぬ間際まで改稿を続けた思想の集大成の書です。収容所で発疹チフスに冒され熱にうなされながら、16日間、夜通し暗闇の中で小さな紙切れに小さな鉛筆で速記文字で書きつけて構成した論文も収められています。


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