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ライフリンク・メディア報道・2023-2024 年末年始①

2024年は、能登半島地震、日航機・海保機衝突事故と大変な年明けになりました。亡くなられた方々には心よりのお悔やみを申し上げます。被災・被害にあわれた方々には心よりのお見舞いを申し上げます。

今回から、2023年から2024年にかけての自殺対策の報道を見ていきます。

2023年12月27日朝日新聞は一面と社会面で「子ども自殺対策 データ集約」「省庁点在の資料 こども家庭庁が分析へ」「なぜ自殺 詳細調査4・6% 少ないデータ 多角的分析必要」「一人ひとりの死から学ぶ」と報じました。記事では、ライフリンクの根岸親・副代表のコメントが掲載されました。

子どもの自殺が増え続ける現状を打開しようと、政府は省庁横断のデータ分析に乗り出す。これまで複数の省庁に散らばる形で管理され、一部は自殺予防に十分活用されずにきた資料をこども家庭庁に集約。個々のケースを分析しながら自殺に至る要因を多角的に調べ、科学的根拠に基づく予防策の提言につなげる構想を描く。
政府の2023年版自殺対策白書によると、直近10年間(13~22年)に計3930人の小中高生が自殺した。22年は514人で過去最多を更新。先進7カ国(G7)のうち日本だけ、自殺が10代の死因第1位だった。
 今年6月にまとめられた政府の緊急対策は、多角的なデータをもとに、子どもの自殺の実態をより詳細に分析した上で、科学的な根拠に基づく対策をつくる方針を打ち出した。政府はこれに基づき、警察庁や厚生労働省、文部科学省、総務省消防庁、各自治体が持つ資料や統計データをこども家庭庁に集約し、分析することを決めた。

「4・6%」
 10月に文部科学省が初めて公表した数値が波紋を呼んだ。
 「これだけか。このままで良いはずがない」。文科相経験者の自民党議員がそう話すのは、2022年度に全国の小中高校が把握できた子どもの自殺者411人のうち、文科省のガイドラインで定められた「詳細調査」が実施された割合だ。411人中19人。20人に1人にも満たない。
 ガイドラインによれば、自殺の発生直後、基本的に学校が事実関係の整理のために「基本調査」(自殺全件が対象)を行う。この結果を踏まえ、公立では学校設置者である自治体の教育委員会が詳細調査に進むかどうかを判断する。
 この調査は、外部の専門家の目を入れ、自殺に追い込まれたプロセスを解明して再発防止策を打ち出すことを目指すものと位置づけられ、「全事案について心理の専門家などを加えた組織で行うことが望まれる」とされている。
 文科省によると、詳細調査に移行しない理由として「基本調査で全容解明ができ、学校に起因しないと確認されたため」などと学校側が説明する例があるという。

NPO法人「自殺対策支援センターライフリンク」副代表の根岸親さんは「警察や学校といった各機関のデータの特徴はそれぞれ違う。重ね合わせて分析することで子どもの自殺の要因が立体的に見えるようになり、予防策にもつながるだろう」と期待する。
 そのうえで「これまでは、データはあっても予防に生かしきれていなかった。一人ひとりの子どもの死から社会ができる限り学び、せめて今後の再発防止に生かす必要がある」と話す。

2024年1月3日のフジテレビは、子どもの自殺の増加を伝えるとともに、子どもの居場所活動の現場をリポートしました。

長期の休み明けに増える傾向にある子どもの自殺。
冬休み明けも例外ではない。
今、必要性が高まっているのは、子どもたちが安心して過ごせる居場所作りだ。
Live News daysが今年の夏休みに取材した「子どもの居場所」のその後を追った。

厚生労働省のまとめによると、自ら命を絶つ子どもの数は年々増えていて、去年は過去最多の514人だった。
今年の11月時点で、すでに402人に上る。
18歳以下の子どもの自殺者の数を日ごとに表わしたグラフ。
夏休みが終わり、新学期が始まる9月1日に突出して多いことがわかる。
冬休み明けも例外ではない。
長期の休み明けに増える傾向にあるため、注意が必要だ。
学業やいじめなどに悩む子どもにとって、学校の再開が大きなプレッシャーになっていることが要因の1つとみられている。

精神的に不安定になりやすい休み明け、子どもの自殺を防ぐために何ができるのか、岡山県精神保健福祉センターの佐藤俊介医師に聞いた。
「いつもより元気がなかったり、いつもよりイライラしやすかったり、感情面で普段と違う様子があれば、不調のサインである可能性はある。体の不調として出ることもある。 例えば、食欲がないとか、もしくは食欲がありすぎるとか」と、ちょっとした変化に注意する必要があると呼びかける。
こども家庭庁の調査によると、「学校や家庭以外に安心できる居場所がほしい」と考える子どもや若者は、全国で7割に上る。
1つでも居場所を増やすため、NPO法人やボランティア団体が子ども食堂や学習支援教室などを運営するほか、こども家庭庁も「こどもの居場所部会」を開催するなど、国を挙げた取り組みが始まっている。
学校や家庭以外にも受け入れてくれる場所が、安心して過ごせる場所が、少しずつ増えていることを知ってもらいたい。


写真は、東京・六本木の森美術館にて。

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