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きょう心にしみた言葉・2023年9月4日

悲しみの花は、けっして枯れない。それを潤すのは私たちの心を流れる涙だからだ。生きるとは、自らの心のなかに一輪の悲しみの花を育てることなのかもしれない。

「悲しみの秘儀」(若松英輔・著 ナナロク社)

「悲しみの秘儀」は、批評家の若松英輔さんが、悲しみ、哀しみ、苦しみ、愛おしみ、人の心の奥底を深く洞察したエッセイ集です。すべてのエッセイが、かなしみの心に共鳴し、共振していきます。その言葉のひとつひとつが、言葉の持つ力を教えています。

「人生は、固有の出来事の連続だから、同じ悲痛は存在しない。しかし、悲嘆を生き抜くという営みにおいて人は、他者と深くつながることができる。逃れ難い人生の試練を生きる者たちの心は、時空を超えて共振する」

「読むことは、書くことに勝るとも劣らない創造的な営みである。作品を書くのは書き手の役割だが、完成へと近付けるのは読者の役目である」
「言葉は書かれたことだけでは未完成で、読まれることによって結実する。読まれることによってのみ、魂に語りかける無形の言葉になって世に放たれる。読み手は、書き手とは異なる視座から作品を読み、何かを創造している」

「文字を記すことができないなら、呻きよ、言葉になれ、と願うだけでもかまわない。その思いは必ず、見えない言葉で刻まれた手紙となって、天へと駆け上がるからである」

「自分はもう生きられないと思う。しかし人生は、まったく違うことを彼に告げる。絶望のあるところには必ず希望が隠れていると、人生は語る。人生は失望を飲み込み、希望という光に変じ、内なる勇者を目覚めさせる」

「想いを書くのではない。むしろ人は、書くことで自分が何を想っているのかを発見するのではないか。書くとは、単に自らの想いを文字に移し替える行為であるよりも、書かなければ知り得ない人生の意味に出会うことではないだろうか」

若松英輔さんの言葉によって、心に力が宿ります。

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