毎日新聞には半世紀近く続くコラム「記者の目」があります。それまで日本のジャーナリズムには「新聞記事は無署名」という暗黙のルールが強くあり、新聞も記者自らが主張や主観を打ち出すことに極めて慎重でした。これを転換させたのが「記者の目」でした。このコラムが日本の新聞における署名記事の嚆矢となったと言われています。現在は多くの新聞が署名記事を中心に編成されています。
今回は、自殺対策を取り上げた「記者の目」を見ていきます。
自殺対策基本法が成立・施行された2006年12月29日の「記者の目」です。格差や貧困が顕在化し、社会の大きな問題になり始めた時期でした。
友人や親族を自殺で亡くした体験を記した「記者の目」もあります。2009年9月11日の「記者の目」です。
兄を自殺で亡くした記者が自らの体験を綴った2011年1月25日の記者の目です。
兄を亡くした記者のコラムの最後の文章を再掲します。
自殺は誰にでも起こりうる問題だと考えよう。「死ぬしかない」と思い詰めている人は、あなたの周りにもいるかもしれない。そんな人にかける優しい一言が大きな「支え」になるはずだ。そのことを多くの人に伝えていきたい。
写真は、岩手県立美術館にて。