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ライフリンク・メディア報道・2023年を振り返る③

2023年を振り返るシリーズの最終回です。生きる力が届き、生きる支援につながる報道もみられました。2023年3月14日読売新聞は高校時代に自殺を図り、重い障害が残った詩人、豆塚エリさんの「生きてください」という訴えを伝えています。

高校時代に自殺を図り、胸から下がまひする障害が残った大分県別府市の詩人、豆塚エリさん(29)が、講演などで自らの体験を伝えている。昨秋出版したエッセー「しにたい気持ちが消えるまで」では、自由がきかない体となったことで「生きていよう」と思えるようになった経緯が描かれた。当事者がつづるありのままの心の変化に、生きづらさを抱える人たちにも共感が広がっている。
 「大人が幸せでないと、子どもは幸せにならない」「死にたい気持ちを抱えた子どもがいたら、否定せず、ただ寄り添ってほしい」
 5日、「福岡いのちの電話」などが福岡市で開いた自殺予防講座。車いすに乗った豆塚さんは、約190人の大人たちに訴えかけた。実体験を基に、子どもには居場所が選べず、その幸せは親の生き方にかかっていることを伝えた。
 豆塚さんが悩んだのも家庭環境だった。

豆塚エリさんの著書「しにたい気持ちが消えるまで」には、深い言葉が数多く綴られています。ライフリンクのマガジン「きょう心にしみた言葉」でも紹介しています。

学校での「指導死」が大きな問題になりました。2023年4月3日朝日新聞は連載「学校での指導死を追って 居場所の部活、弟は叱られた翌日」を掲載しました。

小中高校に通う児童や生徒の自殺者は2022年に514人となり、過去最多でした。学校の先生の指導が、自殺のきっかけになることもあります。「弟の身に起きたことを繰り返したくない」と話す姉(28)の思いを取材しました。
家族は真相解明と再発防止を求めて、北海道を相手に民事訴訟を起こした。札幌高裁の確定判決は次のように認定した。
 亡くなる前日、弟は高校の部活の顧問から、他の部員への発言をめぐって、叱られた。部活に残る条件として、他の部員と一切メールしないことなどを要求された。顧問による丁寧な事実確認の形跡もなく、不適切な指導が「生徒を混乱させ」「自殺の契機になった」。
 弟の死後、家族は学校側に疑問をぶつけた。
 そもそも顧問の指導に思い込みがあったのではないか。全身全霊を捧げていた部活という「居場所」を奪われる心の痛みを悠太さんが感じたのではないか。
 だが姉は言う。「取り合ってもらえず、その対応にも傷ついた」
 弟のように学校の先生の「指導」をきっかけに追い詰められる子どもを一人でも減らしたい。姉は、母や仲間と立ち上がった。
 しかし、その道は曲がりくねっていた。

ネットの中傷は、残念なことい今年も大きな社会問題であり続けました。ネットで誹謗中傷を受けて亡くなったプロレスラーの木村花さんの母響子さんへの名誉棄損容疑で、愛知県に住む40代男性が書類送検されました。4人目です。2023年2月3日毎日新聞が報じました。

響子さんは、花さんを中傷した人物に対する損害賠償請求訴訟を起こしたほか、ネット上の中傷根絶などの活動をしている。ネット上では「娘の名前を使ってお金もうけしている」などと響子さん自身が中傷を受けることが複数あり、警視庁に相談していた。同庁は21年9月~23年1月、いずれも東京都内に住む男性3人を名誉毀損容疑などでそれぞれ書類送検した。

大手広告会社、電通の新入社員だった高橋まつりさんが過労のため自殺してから12月25日で8年になりました。母親の幸美さんが手記を公表し「過重労働などで命を落とす人がいなくなるよう心から願っています」と訴えました。NHKニュースが報じました。

ライフリンクは自治体との連携事業を進めています。その取り組みを季刊誌「毎日フォーラム」秋号が伝えました。記事では、18自治体とありますが、現在は24自治体に増えています。

ライフリンクと提携する自治体は増え続けている。この提携事業は、ライフリンクのSNSなどの相談事業を利用し、自治体への連絡に同意した相談者について、ライフリンクと自治体が「生きる支援」を実施していくものだ。ライフリンクと自治体との提携は2022年1月、東京都江戸川区と京都府京丹後市を皮切りに始まり、2022年度までに18を数えた(現在は24)。23年度は7月に入って、静岡県熱海市、群馬県大泉町、愛知県大府市3つの自治体が加わり、さらに数自治体から問い合わせを受けている。
 7月11日に協定を締結した群馬県大泉町は「ライフリンクとの協定は群馬県内で初となり、締結式では村山町長とライフリンク根岸副代表が署名を行い、協定書を取り交わしました」と町の広報オンラインで速報した。7月13日に締結した愛知県大府市も「愛知県内初! NPO法人自殺対策支援センター「ライフリンク」と自殺対策SNS等相談事業における『連携自治体事業』協定を締結!」と市広報で告知した(7月5日付)。7月3日に締結した静岡県熱海市では、6月30日にライフリンクの清水康之代表の講演会が開かれ、その内容が地元メディアで報じられている。
 協定締結している自治体は次の通り。岩手県、石川県、佐賀県、郡山市、取手市、江戸川区、足立区、港区、見附市、座間市、横須賀市、京丹後市、松戸市、伊東市、南魚沼市、かすみがうら市、長岡市、山形市、熱海市、大泉町、大府市

今年最後のnoteへの投稿です。みなさん、いいお年をお迎えください。

写真は、岩手県立美術館にて。

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