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【香川県議会】 令和6年3月14日 松岡里佳議員による一般質問「ライフジャケットの着用推進」

【松岡議員】
先日の新聞報道にて、「子どもの水難事故防止に先進的に取り組む香川県教育委員会の活動」が取り上げられていました。「学校へのライフジャケットの貸し出しや専門家による水泳授業・親子体験教室を開催し、子どもたちが海や川など水辺で遊ぶ際の安全意識向上にもつながっている。」との内容でありました。

私も令和3年9月定例会において、水難事故防止に向けた小学校の安全教育の促進にどのように取り組んでいかれるのかお尋ねしたところであります。そして現在、県教育委員会では令和4年度からスポーツ庁の委託事業として「ライフジャケット推進事業」に取り組まれています。

令和3年度に地元企業から50着のライフジャケットの寄贈を受けたことが、この事業の端緒であったと伺っておりますが、この寄贈を受けて、団体等が活動をする際にライフジャケットを貸し出す「レンタルステーション」が開設されました。以降も、大変ありがたいことに、企業からのライフジャケットの寄贈が続いております。今年度の貸出しは、延べ1,000着を超えており、ライフジャケットの必要性の認識が広まりつつあると感じます。

他にも、研究推進校における講師を招いてのライフジャケットを活用した水泳授業の実施、学校の先生を対象にしたライフジャケットの「正しい着用の仕方」などを学ぶ、指導力向上研修、親子を対象にした体験講座なども実施されています。

さらに、香川大学や県消防長会、高松海上保安部、県警本部、小児科医などの関係者による研究推進委員会において、事業の成果や課題等の検討、安全教育の充実や水難事故防止に向けた連携協力体制を構築するなど、子どもたちの命を守るための取組みは、着実に広がりを見せています。

また、こども家庭庁が推進している、複数の機関・専門家が連携して、亡くなった子どもの事例を検証し、予防策を提言する取り組みである「CDR」、Child Death Review、「予防のための こどもの 死亡検証」の視点からも、かなり高く評価されていると伺っております。

そもそも、「何故、ライフジャケットの着用が必要なのか」と言いますと、平成24年7月20日、愛媛県西条市において、幼稚園のお泊り保育の活動中、加茂川で川遊びをしていた園児1名が増水した川に流されて亡くなる痛ましい事故がありました。この事故の刑事裁判は、「ライフジャケット準備装着義務違反」による業務上過失致死罪の有罪判決となり、民事・刑事裁判ともに、「ライフジャケットを着用する義務があった」という事が認められました。 学校や園、子ども会などで、水辺に子どもたちを連れていく際には「ライフジャケットを準備する【責任】がある」と、ここで、はっきり示されたのです。

つまり今後、水辺の事故が起きた際には、「ライフジャケット」を準備していたかどうか。という、「安全配慮義務」が問われることになります。こういったことからも、本県の「ライフジャケットレンタルステーション」は大変、意味のあるものですが、特にシーズン中となると、学校等からの貸し出しニーズも多く、また、指導者の派遣ニーズに対しても、その全てに応えることができていない現状があると伺っております。

本気で子どもたちを守っていくためには、県内のニーズに応えられるような環境づくりが必要と考えます。今後の課題としてあげられるのは、持続可能な「ライフジャケットの管理体制」や「指導者の確保・育成」ではないでしょうか。

先ず、持続可能な「ライフジャケットの管理体制」についてですが、「管理体制」と言っても、物の配備・体形に合ったサイズの確保・乾燥・収納・劣化など様々にあります。そもそも、流通量の不足もあり、もちろん計画的な予算というのも必要になってきます。その管理体制を、今後どう発展させていくのかという課題があげられます。

また、「指導者の確保・育成」については、現在、香川大学、高松海上保安部、B&G、「香川ライフセービング・クラブ」などが指導していると伺っておりますが、今年度、指導できたのは6校のみであります。指導をする側も、少しでも多くの学校をまわり、講座も実施し、子供だけではなく大人にも、その体験と知識向上に努めたいという、想いの一方で、非常に少ない人数で行われているため、どうしても限界があるようです。

私は、子どもたちの「命を守るための教育」を行き渡らせる為には、公的機関との関り、特に県民の安全や防災のために日ごろから活動している警察や消防とさらに連携を進めていく必要があると考えます。警察庁・東京消防庁共に、水難事故防止対策においては、ライフジャケットの必要性を挙げているわけですから、やはり、指導者としても活躍して頂き、今後の「指導者の確保・育成」に努めて頂きたいと考えます。

加えて、県ではこれまでに、様々な場面で「リーダー育成講座」などを行ってきたと思いますが、ライフジャケットの「指導者の確保・育成」についても取り組んで頂き、その先には、子育て世代の方を巻き込みながら、また、地域に根差した企業や、商店のような所にもご協力いただき、広報啓発、情報発信と、その裾野を広げていくという取り組みも考えていく必要があると思います。

先ずは、大人の意識が変わらなければ、子どもの事故も大人の事故も防ぐことができません。とりわけ、保護者年代、私も含めですが、実体験が不足しています。自ら体験して、気づき・学ぶ機会の充実や、仕事や家事の合間でも見られる動画の紹介、保護者ニーズの把握も行い、より効果的な啓発や教育に繋がる検討が必要と考えます。先を行く、産みの苦しみはあると思いますが、引き続き「香川モデル」を作って頂き、全国にその機運が高まっていくことを強く願います。

そこで、子どもの水難事故の防止に向けたライフジャケットの着用推進について、これまで取り組んできた中で課題をどのように認識しているのか、また先ほど申しあげた警察や消防とのさらなる連携強化も含め幅広く事業を進めていただきたいと考えていますが、課題を踏まえて今後どのように推進していくお考えか、教育長にお伺いします。

【淀谷教育長】
松岡議員の「ライフジャケット」の着用推進についてのご質問にお答えいたします。県教育委員会では、地元企業のご協力もいただき、令和3年度から「ライフジャケットレンタルステーション」を開設し、学校や団体等に「ライフジャケット」の貸し出しを行っており、その貸し出し数は着実に増えるなど、着用の必要性についての認識が広がっているものと考えております。

また学校では、水泳の授業において、着衣のまま水に落ちた場合の対処の仕方や、正しい「ライフジャケット」の活用等についての学習を行っており、泳ぐことが苦手な児童も「ライフジャケット」を着用することで、簡単に浮くことが実感できる…など、9割を超える児童が「ライフジャケット」の必要性を認識したところであります。

こうした「ライフジャケット」を活用した取り組みにつきましては、関係機関団体等で構成する研究推進委員会で、成果や課題等の検証を行っており、「ライフジャケット」の管理体制の整備や指導者の確保の他、着用に関する大人の意識を変えていくための広報啓発活動の充実などが課題として挙げられたところであります。

こうした課題に対応するため、緊急な貸し出しにも対応でき、劣化等も防げるよう、保管スペースを確保するとともに、地元企業等の協力もいただいて、数量の確保に努める他、「ライフジャケット」を活用した授業においては、引き続き専門家に指導をお願いしたり、新たに教員向け指導プログラムを作成し、その内容について研修会を開催したりすることで、学校での指導が持続可能なものとなるよう取り組んでまいります。

また、消防等とは、教職員に対する救急救命研修の際に、「ライフジャケット」着用に関する具体的な指導について、現在協議を行っているところであります。広報啓発活動につきましては、次年度も親子で「ライフジャケット」を体験する機会を確保するとともに、ホームページ等でその必要性を広く周知をする他、警察等が安全で、安全に関する指導を行う際に、「ライフジャケット」着用を呼びかけていただくなど、関係機関と連携した広報啓発にも取り組んでまいります。

水難事故を防ぐためにも、「ライフジャケット」の着用は大変重要であり、今後数量の確保を含めた管理体制、指導者の確保育成と、広報啓発を関係機関と連携して推進する「香川モデル」として全国に発信できるよう、関係機関や地元企業にご協力をいただきながら、取り組みの充実に努めてまいります。

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