日記 2020/09/29 『家族最初の日』
植本一子の『家族最初の日』読了。『かなわない』は既に読んでいたので、すぐにその次の『家族最後の日』を読み始めるも、『家族最初の日』を読み終えてしまったことにさみしさを覚える。
植本一子さん自身もあとがきで書いているように、『かなわない』に比べてもずいぶんと内容が明るくさっぱりとしていて読みやすかった。『かなわない』でもところどころで笑ったが、『家族最初の日』を読みながら何度も爆笑した。
日記には毎日の家計簿が記載されている。同じように日々日記を書いている身としては、ここまで細かくあけすけに書くことにためらいはないのかと思うのだが、でも実際、家計簿があるからこそ一層この本の魅力が増している。買ったモノと値段の羅列だが、日々何を買っているのかを知ることで人間くささが浮かび上がってくる。
職業柄買っていて何もおかしくはないのだが、ECDが度々そこそこの値段のレコードやCDを買っていて、毎回ではないけれど一子さんが文句を書いている。ネットショッピングを覚えたECDが、そこでまたレコードやCDを買って(しかも代引き)、一子さんがまたそこで文句。読んで面白がっていいのかと思うが、いやもう、面白すぎるのである。
しかし、ECDが買うものの傾向は僕と同じようなものだ。CD、レコード、本。たまに服。あとは食料品。
懐事情に関係なく好きなものを好きなタイミングで買うECDのことを子どもっぽく感じるが、どの口が言うのか、同じように買っている僕だって端から見れば子どもっぽく見られているのだろうと今さらながらに気づく。読んでいる間、僕は何度もECDに感情移入をしていた。
生活感丸出しで、植本一子さんも感情のまま書いている。
当たり前のことだが、日記とは言っても、僕らがうかがい知れるのは彼ら家族の生活の一部でしかない。その奥には、一秒一秒と流れる時間があり、感情があり、彼らしか見ることができない景色がある。『家族最初の日』を読みながら、彼らの生活のなまなましさの一部を、そっと覗き見るような感覚になる。他の本では味わうことがない、不思議な感覚である。
鈴木潤の『物語を売る小さな本屋の物語』も今日読了した。知らずに読んでいたが、この本にある写真は植本一子さんが撮っている。最近、植本一子さんと鈴木潤さんが往復書簡をしていたのは知っていた。
パワフルに生きる植本一子さんと鈴木潤さん。大変元気をもらいました。感謝。
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