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⑫知らなかった友達の姿

友達と2019年、最初に mixi で僕と繋がっていた時に、共通するマイミクがいた。Kさん…という人。Kさんが過去に書いた mixi の「日記」を辿れば、友達の書いた言葉 (コメントの書き込み) が残っているかもしれない。そう考えた僕は、Kさんのページにお邪魔して「日記」を読ませてもらった。

あったあった!!!    友達の言葉が残されていた!!

「Kさんのように、オペラやバレエ等部分的に自分と趣味が重なっている方が、それ以外にどのような領域に趣味・関心の世界を拡げられているのかに興味を感じます。私はクラシック以外は “時間があればとにかく落語” な生活で。これからも、私の知らない世界をKさんの日記からのぞかせてください」

数あるオペラの中でも、友達は『ホフマン物語』の中の「アントニアの章」が一番好きなこと。池上の本門寺周辺の町並みが大好きなこと。持病に悩まされていたこと…。僕の知らなかった友達の姿がそこにあった。

(そういえば友達は、週に三回だとか四回だとか、広い意味での様々なジャンルの舞台を観に行く…と電話で話していた。凄い !!)。

気になる記述も見つかった。友達が書き込みしたコメントに続けて、Kさんがそのコメントに気が付かずにいたことを詫び、「又退会させてしまった」と書き残している箇所が半月の間に二箇所あったのだ。

Aさんから、友達が頻繁に mixi の退会・入会を繰り返していたことを聞いていたが、原因はもしかしたらそういう所にあったのかもしれない…と思った。

Aさんの日記にも、友達の書き込みは沢山あった。小学生の頃に好きだった合唱曲について…だとか、僕と好き嫌いの共通している所、同じ考え、同じ悩み…。友達のことが沢山分かって嬉しかった。

そして友達の転院前ギリギリの時に繋がることができたツイッター。彼のツイートを読んで、彼がこんなにも落語を愛し、没頭していたことを初めて知った。 彼の贔屓にしていた噺家さん、芸人さん……僕はいつかそれらの人の芸をこの目で見に行こうと決めた。

友達のツイートは、そんなに沢山は残っていない 。おそらく個人情報を気にする友達が、過去のツイートを大部分削除したのだと思う。残されている呟きには、背景に闘病中であることを感じさせるものもあって、僕はその頃の友達の暮らしのことを思った。

彼とツイッターでやり取り可能だったのは、たったの二日間だけだった。僕が彼の幾つかのツイートに「イイネ」したり、コメントを一つだけ書いたり、彼の方からは僕の二つのツイートに「イイネ」をしてくれたり・・・それだけのことしかできなかった。

その頃…正確に言えば友達が5月上旬に一度退院した後からは、友達は mixi のやり取りでコメントを書くことができなくなっていた。電話で、「すみません、コメントが書けなくて。なぜか書けないんです。書きたいことはあるんですけど」そんな風に彼は言っていた。僕は「大丈夫。無理しない方がいいよ」って言ったけど、あの時のあれは体力的なことだったのか…それとも心理的な要因があって書けなかったのか…どうなんだろうなぁって思っている。だから mixi も Twitter も、あの頃の友達の反応は「イイネ」だけだった。


(彼と繋がることのできたTwitterアカウントは、現在メインで使っているのとは別のアカウントで、最近はあまり使用せずに、そっとそのまま置いてある)

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