「家族に迷惑をかけたくない」って、独りよがりの考え方ではないですか?
ライフエンディングの総合メディア「Life.(ライフドット)」編集部の小野寺です。編集部リレーコラム第一弾を担当いたします。
前職も含めてお墓業界で13年働いてきた私が思う「お墓」について、発信していきたいと思います。
世の中で語られているようなHOW TO情報にはない、お墓選びの考え方(主にマインドやスタンス)について、僭越ながら持論を述べさせていただきます。
お墓選びに正解はない!
皆さんに最も伝えたいと思っているのは、「お墓選びに正解はない!」ということ。
残念ながら、これを選べばバッチリ!という分かりやすい正解はありません。それぞれのご家庭ごとに、ベストなお墓は異なると考えています。
● 人気のあるお墓なら満足
● 家の近くが一番
● 高級なお墓のほうが良い
● 永代供養なら安心
これらは、誰かにとっての正解であって、あなたにとっての正解であるとは限らないのです。
「じゃあ、どうやってお墓を選んだらいいの?」という話になりますよね。
ごもっともです!
「あなたにとって、どんなお墓がいいか」は、ひとり一人の正解が違うので、お話を聞いてみないとアドバイスをすることが難しいのですが・・・
「あなたにとってよりよいお墓を選ぶために、何を考えたらいいか」なら、お伝えできます!
今回は、お墓選びにおいて大きな選択となる、「永代供養」を例に、考え方について詳しく解説したいと思います。
Life.編集メンバー 小野寺 智子
保有資格:お墓ディレクター2級・終活カウンセラー 初級
業務経験:墓石・墓地を取り扱う石材店で12年勤務
家族間で前提をそろえよう
永代供養とは、「永代」に渡る長い年月、「供養」を執り行ってくれること。平たく言うと、お墓の後継ぎがいなくても利用することができるお墓の仕組みです。
今、永代供養を希望される方がとても増えています。
私が長くお墓業界で働く中で、とにかくお客様からよく聞くのは、「子どもや家族に迷惑をかけたくない」という言葉です。
● 迷惑をかけたくないから、永代供養にする。
● 迷惑をかけたくないから、お墓にお金をかけない。
● 迷惑をかけたくないから、自分達だけで入るお墓を選ぶ。
などなど。
家族と言えども、それぞれの暮らしを尊重し、配慮したいと願う方が増えているのだと感じます。
家族への思いやりは、とても素敵なお気持ちです。
でも、ちょっと考えてみてほしいのは、あなたが思う「迷惑」と、家族が思う「迷惑」は同じですか?ということ。
お墓は、お墓に入る方と、遺される方、双方のためにつくるものなので、お互いの考え方にズレがあると、お墓選びはうまくいきません。
家族にとっての「迷惑」とは何か?という前提を、まずは話し合ってみて欲しいです。
図解を元に考えてみてください。
これは、コミュニケーション心理学などでよく使われている「ジョハリの窓」の考え方を元にしたものです。
お墓選びに置き換えると、
自分=あなた
他人=家族
となります。
家族と言えども、お墓に対する考え方、死生観、供養や慣習に対する想いなど、詳しく話し合う機会はあまりなかったのではないでしょうか。
家族の中で、お互いに気づいていない想いをなるべく減らし、互いが理解しあっている「開放の窓」を増やすことが、後悔しないお墓選びの秘訣だと思います。
仮にあなたが「子どもや家族に迷惑をかけないお墓」を選びたいと考えているとします。
永代供養のお墓にすべきかどうか?を考える前に、家族それぞれが考える「迷惑」とはどういったものなのか、言葉にしてみましょう。
あなたの想いを家族に伝える
「あなたが思う迷惑」とは、自分は知っていて、家族は気づいていない「秘密の窓」に該当します。
● 忙しいのに、お墓参りをしてもらうのが申し訳ない?
● 自分のお墓にお金をかけるのはもったいない?
● 自分のお墓は自分で用意しておくべき?
「あなたが思う迷惑」を、具体的な言葉にして、家族に伝えてみましょう。
家族の想いを聞いてみる
一方、「子どもや家族が思う迷惑」とは、家族は気づいていて、あなたは気づいていない「盲点の窓」にあたります。
もしかしたら、家族はこんな風に考えるかもしれません。
● 「直接手を合わせてお墓参りできないのは寂しい」
● 「永代供養に抵抗感があるから、少し費用が掛かっても普通のお墓がいい」
● 「せっかくなら一緒に入れるお墓がいい」
あなたが思う迷惑が、周りの人にとっても本当に迷惑なのか、お互いの意見を話し合ってみないと分かりません。
このように、自分の考えをオープンに話し、家族の考えを聞き、家族間の「開放の窓」を広げていってから、お墓選びを進めるのがよいと思います。
どんなお墓をもちたいですか?
まずは、家族間でその前提をそろえることが、あなたにとっての正解を選ぶために必要な一歩だと私は考えています。
※「未知の窓」の部分については、家族間で解消することは難しいので、ぜひお墓の専門家を頼ってください。Life.でも相談を承ります。
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