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100円の価値

いま私が暮らすアパートは、築40年近く、リノベーションという名のもとに一見は新しく見える部屋だ。

ある日、お風呂場のドアが開かなくなった。

引っ越した当初からその気配はあった。ドア自体にお掃除道具と体を洗うスポンジを引っ掛け始めたら、重みがいい感じに作用したのか、急に開かなくなるということはなくなった。しかし年末にスポンジを引っ掛けるのをやめた。するとまたドアが開かなくなるので、閉じ込められる前に大家さんになんとかしてもらおうと思った。

とはいえ、なかなかタイミングが合わないので、しばらく近所のスーパー銭湯のお世話になることにした。

スーパー銭湯に、ダイソンのドライヤーが置かれていた。10分100円で使えるらしい。

近所に何ヶ所かあるスーパーじゃない銭湯のドライヤーでは、5分30円。自宅のドライヤーでは20分かけないと乾かないので、120円かかることになる。

ダイソンも20分かけるなら200円かかるところだけど、最近よく利用する美容室で使われるドライヤーがダイソンなのでふと気になった。好奇心強めの42歳。

ドライヤーにお金を入れた。…。10分で終わった! ダイソンすごい!!

これは100円でもお得!と思って、そのスーパー銭湯に行くたびに利用している。普通に乾かすと20分かかる硬くて重い髪が、10分で乾くのはすごい!

最近、物価上昇が著しい。

取り敢えず冷蔵庫にキャベツがあればなんとかなると思ってるけど、キャベツも日に日に値段が上がっている。200円近くになっていると、ちょっと待ってみるかという気持ちになる。

ショックだったのは、アメリカンドッグ120円。近所のコンビニで100円だったはずだ。

そんなにお腹空いてないとき、お酒を飲みつつ食べるにはちょうどいいアメリカンドッグ。そんなことはさておき、アメリカンドッグ、君とは幼少期から思い入れが深い。

近所のスーパーで、母が買ってくるアメリカンドッグ。本体も好きだが、根本のカリカリした部分を食するのが好きだった。

それが120円。近所のスーパーでも100円前後で買えるものだった。ショックが強くて、120円のアメリカンドッグは買えていない。

自分の中の「100円の価値」を発見して、世知辛い世の中を楽しんでいる。

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