アボカドロ

おもしろきこともなき世をおもしろく すみなしものは心なりけり

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マガジン

  • ねこのはなし

  • オカルト未満

    私が経験したと思っている不思議な話。人に話すまでもない、検証もなにもなく、オチもない。そんな話。

  • 子宮ちゃんと私

    2021年4月から子宮筋腫の治療を受け始めました。7月末からレルミナを服薬し女性ホルモンを抑制し、更年期症状に悩まされる。11月上旬に西東京エリアの病院に入院し、開腹手術を受け300㌘台の筋腫を核出。大小18個取ってもらった。術後良好で1週間で退院。記録や備忘録のつもりでnoteに残しています。

最近の記事

ある日の行き帰り

「そんなに鼻をすすって〜ティッシュあげようか?」 通勤電車の昼下がり。乗り換え駅直前で左隣のご婦人がそのまた左隣の若い女性に声をかけていた。 「鼻すすって、指で拭いて、拭いた指で…」とスマホを触る動作をするご婦人。「ティッシュないならあげるわよ」。親切心というより、呆れているような声色。 若い女性は返事せず、駅にも着いたので席を立った。ご婦人も私も降りた。 確かに汚いんだけど、そんな大きな声でこと細かに動作を描写しなくても。若い女性の細い指がやけに印象に残っている。

    • 歴史に残ること

      去年の4月ごろ、沖縄に行った。 「笑の大学」というお芝居を観たかった。公演があると知った時には、すでに東京含め近郊で行われる公演のチケットは売り切れていた。 唯一、沖縄での公演が抽選予約期間中だったので申し込んだら取れてしまったという、そんな理由。一泊二日で、初日は大雨に降られた。 これから書きたい話は「笑の大学」の話ではなくて。 観劇後に近くの居酒屋に入ったのだ。その居酒屋は、元高校球児が経営しているお店だった。甲子園出場したのかは定かではないけど、それらしい記念品が

      • 私とお母さんクイズ

        ふと目に入った、とある新聞の4コマ漫画。居酒屋で老いた父とその息子と思われる中年の男性が話している会話に耳を傾ける主人公家族のパパ。「ボクとお父さんクイズ! 初めて映画館で観た映画はなんでしょう」。老いた父はなかなか思い出せない。ヒントをくれと楽しそう。主人公パパが我が息子といつかやりたいとニンマリして終わる。 父と映画館で初めて観た映画は…。「インディ・ジョーンズ」。二本立てで「スタートレック」の終盤に映画館に入った記憶がある。なぜ二本とも観なかったのか不思議。 父はタ

        • 人に話すには小さすぎる善行

          私の善行を聞いてほしい。 毎年この時期になると、恵方巻きのフードロス問題が起きる。興味がない私はいつも、関西の一部地域の行事なんだからやめればいいのにと思いながら見てるだけ。なんなら、太くて長いものを頬張る女性を見たいだけのセクハラ行事なんじゃないかとモヤモヤしている。 ある日の職場近くのセブンイレブンで、恵方巻きを見た。すべてに緑色のシールが貼られている。賞味期限が近い食品をnanacoで買うといくらかポイントで返ってくるというプロジェクトをやっていて、そのシールが緑色

        ある日の行き帰り

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        • ねこのはなし
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          14本
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          32本

        記事

          何もない愛しき日常

          会社の近くに昔ながらの洋食屋さんがある。美味しい!オススメ!とは言わないけど、なんとなく食べたくなるカレーがある。 インドじゃなくていい。お高級でなくてもいい。素朴なカレー。とか言いつつ、料金はなかなか強気。カレー1000円。カツカレー1050円。カツが乗っても50円しかアップしない謎設定。カロリーとコスパの狭間で、カツを乗せるか乗せないか悩む。 その日はカツカレーの気分だった。ランチとディナーの間が私のランチタイムなので、あまり人がいない。珍しく女性が座っていた。カレー

          何もない愛しき日常

          オレンジ色のにくいやつ

          マイコプラズマというなんかよくわからないやつに侵されて肺炎になった。10年近く前に気管支炎にはなっているんだけど、あのときも風邪を引いたと思ったら、咳だけなかなか治らず、風邪の治りかけの状態で検査待ちをしていたら、もうこれ治ってる気がする…というところで「マイコプラズマ気管支炎」と診断された。 だからどんな薬を飲んだか覚えていない。抗生剤は飲んだ気がする。 さて今回。抗生剤がオレンジ色の顆粒なのだ。薬剤師さんが言う。「飲みづらいんです」。「がんばります」と言うしかない。

          オレンジ色のにくいやつ

          2024年の旅立ち

          職場が改装中でいままでよりフロアにいる人間が減った。減ったことで、時間の経過につれて気温が下がる。 まず日が暮れる。寒い。21時過ぎたあたりで、早出の社員がいなくなるので寒い。人が減るということは、起動しているパソコンも減るので、これまた寒い。 年末のある日、悪寒が走って職場に置きっぱなしにしている上着やストール、手袋を引っ張り出して体を温めたけど遅かった。次の日には喉が痛かった。 そのまま正月休みに突入。寝正月。笑点を観てたら、あの大きな地震が発生。新潟の兄や友人たち

          2024年の旅立ち

          謎の水

          いろいろ落ち着いて、ホットヨガに通い出した。以前通っていたジムから乗り換えて、4月ごろから入会していたものの、直後に父が倒れて彼岸に旅立ったことで、しばらくお金をドブに捨てていた。いてて。 そのホットヨガの入会時、水素水を勧められた。水素水サーバーが入り口に置かれている。ホットヨガ効果が増しますよという話だった。 某紀香の顔が浮かぶ。効果ないって話じゃなかったっけ? でも好奇心強めの40代、勧められるがままにオプションに付けてもらうことにした。 ある時から冷え性が進み

          500マイル

          元々、単独行動には抵抗がない…わけじゃないけど割と平気。日高屋で1人でビールとか平気。集団が多い居酒屋は流石にちょっと…と思っていたところで、天啓が走った。 40歳過ぎて、両親もすでにいないのになにを気にすることがあろうか!! そんなわけで、最近よくひとり飲みをするのだ。日高屋みたいな食べ物屋さんのビールは高いし、なにより美味しいツマミを食べたい(日高屋ディスるな)。 その日は思いがけず早く帰っていいと言われて退勤した。職場は東京の真ん中にあって、平日と日曜祭日の日中の

          象徴の家

          不思議な夢を見た。 遠くからピンポンが鳴った気がしたけど、起きれなかったので無視した。 場所がよくわからない。現住まいと実家と父の実家がガッチャンコしたみたいな家だった。 私が今寝ている部屋から出ると、実家の居間で、右を見ると実家の玄関に進む廊下があるけど、これは本来逆位置だなあと思う。玄関先で、口うるさい上司がなにか言っている。忠告っぽい。わかってるよ、うるさいなと思いつつ。 居間にいるのは、セールスマンっぽい。私はその青年に「朝、ピンポンを鳴らしましたか? そうで

          ジーンズと私

          あ、デニムって言うんだっけ? 実家の近所にアメリカ屋があった。アメカジショップ。売り場の半分ジーパン。宮城に本店があるらしく、新潟市にも何店舗かあったけど、ここ数年で全部撤退してしまった(県内全部ないと思ったら撤退したのは新潟市だけだった 泣)。 長兄がアメリカ被れなので、ジーパンについてウンチクタレ男だった。EDWINがいいとかLeeがいいとか。当然アメリカ屋愛好家。私がノーブランドのジーパン履いてると、馬鹿にしてくる。 私が高校生ぐらいから、ジーパンは定番のオシャレ

          ジーンズと私

          紀元前、紀元後的な

          NHKでドラマ「大奥」のシーズン2が始まった。 シーズン1の時は、父さんはまだ生きてたんだよなあと思う。 4月に某ご当地アイドルグループのリーダーが卒業した。そのライブで発表したラストソングを、リーダーが抜けた編成で歌っているのを9月に見て、うわあ、初めて聴いた時は、父さん生きてたんだよなあと思った。 父が倒れた直後、美容院の予約をしていたけど一旦キャンセルして、取り直した。だいぶ明るかったので、髪色を落としてもらった。 約2ヶ月経って、父が亡くなった直後にも、髪がまと

          紀元前、紀元後的な

          光る瞳

          猫と一緒に2DKの部屋で、ゆったり暮らしている。キャットタワーはない。以前暮らした部屋で購入したけど猫は見向きもせず、長雨が続いた晩夏にカビを生えさせてしまった。仕方ないのでそれは捨てた。 昔から、160センチの私より背の高いハンガーラックの上に置いた猫ベッドの中で眠るので、キャットタワーがあってもなくても構わないような生活をしているのだと思う。 ある日の話。そのベッドに向かった猫が、なにかの気配を感じて私に振り向いた。前足をベッドに掛けながら、隣の部屋のソファで座る私を

          9月になれば私は

          父の葬儀が終わりお骨になった直後に、お世話になっているお寺さんにお礼参りに行く、という流れがある。これが一般的なことかわからないけど、ウチのほうではあるんだ。 なんか適当に今後の話を聞きながら、ご住職がおもむろに、これどうぞと箱を私たちに差し出した。ご住職の後継ぎ(ごとういん、と呼ぶらしい)が、地域振興にも厚い方で地元の子どもたちと作った数珠風ビーズブレスレットを売っている。多分その売れ残りなのだろう。地味な色や微妙なセンスの色合いのブレスレットが無造作に転がっていた。

          9月になれば私は

          父のいたずら

          父が亡くなって、不思議だなあと思ったことを記録している。 ★母方のいとこ 四十九日まではと思って、休みの日は実家にいる父のお骨に顔を見せようと思っている。そのついでに、相続に必要な書類を集めたり実家に置きっぱなしの自分の荷物を整理したりしている。 2年前、新潟県内の銀行から休眠口座の案内が届いた。2万円近く入っていたので、これは放置できないと解約しなきゃなあと思いながら、コロナでなかなか身動き取れずにいた。 父が亡くなれば、新潟に帰る頻度は減るだろう。面倒くさがりな私は

          父のいたずら

          父とセミ

          本当に身近な人が亡くなると、偶然といえばその通りなんだけど、不思議だなあと感じることが多々起きる。母の時もそうで、あちこちのSNSで書き散らかしてきた。父もやっぱりそうだ。 ★バスケが妙に気になる 父が倒れて病院に運ばれた日。私は職場にいた。テレビに映る新潟出身の富樫勇樹選手がやたらと気になる。父はバスケットマンだった…というのは少し前のnoteに残した。 その後。父のお骨の前で、富樫くんが出演していた「アナザースカイ」をTVerで観ていた。スマホ画面で観る富樫くんの故郷