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我が家の革命 魔法のリズム・5・7・5

my母(83)とよく行く蕎麦屋のトイレに『シルバー川柳』なる本が置いてありました。表紙の句は「誕生日 ローソク吹いて 立ちくらみ」。気になり、試しに買ってみたところ、私とmy母の会話に革命が起こったという話をします。

言いにくいことは5・7・5にのせて

70代までは、趣味や習い事、友人とのお茶など、活発だったmy母ですが、認知症と診断されたあたりから、意欲そのものがどんどんと減っていきました。
細かいことをやろうとしてもできない、めんどうくさくなる。
様子を見ていると段取りやら深く考えること、工程を記憶する、などができなくなってきています。そして何もしないと、もっと何もしなくなるという悪循環。
でも何か、楽しめることを見つけられないか…そんな時に出会った、蕎麦屋のトイレ文庫から発掘した救世主、「シルバー川柳」でした。

さっそくその場でポチッと購入。そして後日。

「はいこれ、プレゼントだよ」と、私。
「へえ、なにこれ?」と、my母。

ぱらぱらぱらとめくるやいなや、「むふふふ。」とにやけ始めました。
そのうち、小学生の子どもみたいにソファに寄りかかって「わはははは!」と涙を流して笑い始めました。

「これは、、、どれも思い当たるねえ!」とmy母。
どれどれどれ、と気に入った句を見せてもらいました。

名が出ない 「あれ」「これ」「それ」で 用を足す

恋かなと 思っていたら 不整脈
『シルバー川柳』全国有料老人ホーム協会

「こういうことあるよねえ!」と大笑いしていました。
 
それからというもの、何か老いにまつわる事件があるとき、会話の中に、5・7・5のリズムを取り入れるようにしました。
 
「ねえやっち。携帯どこにいったのか知ってる?」と携帯からかかってきたとき。こちらは絶賛仕事中。
あのさあ、、、と文句を言わず、すかさず句で返します。

「携帯は どこかと携帯 かける母」

すると「やだー!そうだった!!」と爆笑で解決。
 
家での転倒が増えて、青あざができてしまったとき。
my母は痛くないよというのですが、心配でした。なので、危ないこと、よくないことだよ、と伝えるために一句。

「青あざが ケンカに見えるぜ 親分さん」

すると「あらそう、ケンカしたみたいに見えるの?」とようやく自覚してくれました。
 
言いにくいこと、恥ずかしいこと、ちょっとこちらがイラッとするような出来事、そうした事件があるときに、なんとなくシルバー川柳風に、5・7・5のリズムにのせて返すと、深刻さがぐっと薄まり、互いに笑いながら受け入れられました。
 
「お母さんも詠んでみたら?」と促してみましたが、「お母さんは発想がないのよね」と負担のご様子。ここで余計な負荷をかけたらいかんなと、すかさず二句。
 
「川柳は 私詠むひと あなた笑うひと」

「元ネタは 笑うひとから 仕入れてます」

 
ここでmy母爆笑。
ふたりとも互いに笑いの沸点が低いので、こんなことでゲラゲラ笑っています。

それなりにいろいろな事件はあるものの、深刻になり過ぎないという魔法のワザ、5・7・5。しかも年を取れば取るほど元ネタが豊富になるという特典つきです。

現在、作品募集中!

そういえばと『シルバー川柳』を発行している”全国有料老人ホーム協会”を検索してみたら、なんと現在、第22回の公募中でした。

来月、6月22日が締め切り!

気になるがしかし、、、、、
 
「句を詠むぞ 気合いれすぎ 詠む句なし」

力みすぎてしまうと元も子もないので、ゆるりとmy母との会話で5・7・5を楽しんでおきます。


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