慈さんのかくれんぼ

「かくれんぼしてみたら?」

機嫌の良い娘と遊んでいた妻。
いつも僕ばかりが娘とかくれんぼしていたので、
妻にもそう提案してみた。
娘を玄関に連れて行き、
「かくれんぼしようね」
と言って、急ぎ隠れ場を探す。
妻はどうやらトイレを隠れ場所に選んだようだった。
トイレは定番の隠れ場所。
普段の娘なら簡単に見つけるはずだと思ったに違いない。

「ママー!ママなーい」
と言って探し出す。
見当違いな方へ行こうとしたので、ここでアシスト。

「ママ、あそこにいるよ」
ひそひそと娘に伝える。
するとトイレの扉の前へ行き、どんどんと叩いて引き返す。
あれれ?
そしてテーブルの上にあった自分の食事の残りを食べ出した。

いきなり難易度が高い場所に隠れてしまっては、
遊び心に火がつかない。
最初は簡単に見つかってあげることが大事。
だんだんと難易度を上げていくのだ。

扉の向こうからは、なかなか見つけてくれない娘に業を煮やした妻の声。
「ここだよー」
「ママここだよー」
声が聞こえているのかどうか、娘は無視して食べ続ける。

笑いをこらえてはいたが、さすがにかわいそうに思い、
「もういいみたいよ」
と妻に教える。

出てきた妻の目に映ったのは、一人でご飯を食べている娘の姿。

・・・妻は拗ねた。

※この内容は2015/11/23に書いたものです。

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