おだやかな暮らしとは?晩年について考えさせられる映画「人生フルーツ」

まだ30代なのに、晩年について考えるなんてまだ早い!
と自分でも思うのだが、この映画を見てしまうとついつい人生の晩節について考えさせられてしまう。
「人生フルーツ」は90歳と87歳の高齢の夫婦の暮らし、そして歩んできた道のりについて描いた映画。
フェイスブックなどで周りの人たちが絶賛しているもので、
番夫婦としてもこれは見ておきたいと思い、順番にこまを預かって足を運んだ次第だ。

この老夫婦の関係性、暮らしに憧れる気持ちはよくわかる。
野菜を作り、果実を収穫し、手紙をしたため、共に食事をし、
長年連れ添った二人ならではの呼吸の中で、穏やかな時間を夫婦で過ごす。
思わず脳内にクラムボンの名曲「おだやかな暮らし」が流れてくる。
この歌で歌われている主人公が望んだような、「幸せな生活」の代名詞ともいえる”そんな毎日”。
同じ会場でこの映画を見ていた人は「いつかはこんな暮らしをしてみたいな」ときっと考えたのだろう。

我々夫婦が得た感動は少し違う。
我々は「こんな暮らし」にすでに一歩踏み出している。
なので、憧れというよりも勉強になる!という感動が一つ。
農作業小屋欲しいな、作ろうかなとか、
子どものおもちゃ(ドールハウス)を手作りするのはいい考えだ!やろう!とか、
堆肥に落ち葉は欠かせないよな、うちは雑木林がないから山から集めてくるかなとか。
自分たちの生活にすぐに落とし込みたいというワクワク感。
二つ目の感動は夫婦関係。
お互いがお互いを尊重していて尊敬し合っていて、
「相互依存」と言うには拙く、「互助」と言うには浅い。
半分融合しているんじゃないかと思えるくらいの一体感。
お互いが空気のような存在感。
旦那さんが会社勤めしているときを含めて
どうやって培ってきたのか、そこが気になって仕方なかった。

今、30代でこんな生活するのは現実的ではない。
私たちには子どももいるし、年金が定期的にもらえるわけでもないのでお金も稼がなくてはいけない。
まだまだ積み上げたものが浅いので、自分自身をもっと鍛えなくてはとも思う。
やりたいことがたくさんある。
行きたい場所もたくさんある。
今は「おだやかな暮らし」とは程遠い、
子どもの泣き声と妻の金切り声が聞こえる毎日だが、それもいいと思っている。
「今」しか体験できないことなのだから。

けれども、晩節、この老夫婦のように「おだやかな暮らし」を手に入れたいとも思う。
願わくば、草むしりをして昼寝してそのまま目覚めないような、そんな「おだやかな最期」を。
おれがいなくなっても、おだやかな暮らしが続くように基盤は整えて。
老後のことなんて、全然イメージがつかなかったけれど、
この映画を見て、一つの指針は提示されたように思う。
あとは自分たち次第。
老後について、夫婦会議をしますかね。

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