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London boy& little girl

ロンドンに憧れていたはずなのに

先日、90年代から活躍しているロック歌手(女性)のインタビューをしながら、ふと思い出した。そういえば、私も、MTV でロックに夢中になり、イギリスに憧れた少女時代を過ごしていたなあ、と。
レベッカの「London boy」という曲が大好きで、本屋さんで「地球の歩き方 ロンドン」を買ってきて、行きたいところに蛍光ペンで印をつけたりしたっけ。
学校の日誌に「私は絶対にロンドンへ行きます」などと書いて、担任から「がんばれ!遊びに行くよ」と返事をもらったっけ。

そして時代はW浅野。
「スタイリストになる」という新たな夢を抱き、なんとなくロックなロンドン留学の夢は忘れてしまって、気づけば完全にフランスかぶれのオリーブ少女。自室の壁に貼ったのはパリの大まかな地図だった。

フランス語ができるスタイリストはかっこいいだろうと、仏文科を目指すも受験はうまくいかず、大学は国文科。卒業シーズンにはどっぷり氷河期に突入。就職先もないからさらに進学、もはやなんだかよくわからないことになってきた。

で、ですよ。
そんな夢があったことなどすっかり忘れて、馬車馬のように働いた20代。
紆余曲折あって今はフリーライターをやっているのだけど、憧れのロンドンに足を踏み入れた頃には、40代になっていた。


不思議なもので、それまですっかり忘れていた、私はロンドンに憧れていたんだと。大人になって2度訪れたロンドン、本当に好みの街だった。どうしてもっと早く来なかったのか、不思議なくらい。

コロナ禍を経て、数年前に訪れたロンドンの写真がgoogleで上がってきた。
そこには、ロンドン塔のそばの公園ではしゃぐ息子と、幼なじみの少女(高校時代の親友の娘)が仲睦まじく写っていた。


ああ、そうだったのか、と思った。
これってまさにロンドンボーイ、and リトルガールじゃないのか。

おそらく、私はこの年齢で、息子と一緒でなければ、ロンドンを訪れることはなかったと思う。

思春期の私が想定していたのは、若き自分とロンドンの素敵な男性との恋だったけれど、私にとってのロンドンボーイは、私自身の子どもだったのか。

人生には、思いがけず、伏線を刈り取れる瞬間がある。
思いがけないから面白い。

不思議な地縁を感じるロンドン。いつかまた、ゆっくりと訪れたいと思う。
その時には、今度こそ、現地のロンドンボーイと……え?






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