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【日記】末永く幸せであれ

 家族ぐるみで仲が良かった幼馴染が結婚した。母同士が小学校からの同級生。私たちは生まれた産婦人科と中学校が同じ。私は幼馴染と性別が違う。性別が違うだけで、周りからは同性の友だち同士と同じようには見てもらえなかった。帰る方向が同じだから2人で帰っていただけ。ただただお互い義理堅いから誕生日プレゼントをあげていただけ。家族ぐるみで付き合いがあるから、幼馴染は私の親戚の集まりにもちゃっかり参加していただけ。それだけ。ただの仲が良い幼馴染。ただそれだけだったのに。
 「付き合ってるの?」と、何回聞かれただろう。勝手にお互いがお互いの所有物みたいな扱いをされていた。かなり不快だったけれど、ほんの少し混じる冗談の風味に強く出られなかった。あまりにも付き合ってるのかと聞かれるので、一時期、お互いに「本気で好きなのかも?」と思っていた時期もあるのは事実。でも違った。恋愛感情ではなかった。親愛。友愛。こちらの方が心に馴染んだ。
 私は不快なものを完全に避けてしまう習性がある。幼馴染の話題が出ると、必ず関係性を茶化され、段々と自分の意思に反して、私たちが「異性であること」を意識させられていくことを自覚した。成長するにつれて、その話題が出る度に不快になることを覚えた私は、その幼馴染と関わることを自体を避けるようになってしまった。2人で会うことが怖くて、折角の誘いをあからさまに避けた。幼馴染とかつてのようには関わることができなくなってしまった。完全なる保身。でも、LINEやDMでのやりとりは続いていた。
 ある日、幼馴染からLINEが届いた。彼女ができたからもう2人では会えない。と。そもそも私は幼馴染だろうが誰だろうが、彼女がいる男性と差しで会うような趣味は無い。2人で会わない理由ができた気がして内心ホッとした。しかし、どこか哀しさを覚えた。そうか、私はやはり完全な友だちではいられなかったんだな。彼女目線で客観的に考えると、「彼氏の、家族ぐるみで仲が良い幼馴染の女」程厄介な存在はいない。わかる。大抵物語の中で恋仲を掻き乱すポジションだもの。登場人物紹介の時点で身構える存在。すごくわかる。幼馴染は大切な人の心に余計な波風を立てさせない、リスクヘッジの鬼だなと感心すらした。だがまさか自分がその「リスク」ポジションに勝手に据えられてしまうとは。何故か私は自分はそのポジションとは無縁だと思っていた。きっと調べればなんちゃらバイアスなどと名前がつきそうだが、本気で自分は該当しないと、そう思っていた。何やら私の存在自体を否定された気がして心が痛んだ。私は、鈍く痛む心を見て見ぬふりをすることにした。その痛みが不快だったから。
 今日、例年より早く春の気配が感じられるこの善き日に、幼馴染が結婚した。あのLINEから連絡を取り合っていなかったため、痛みのことはすっかり忘れていた。だから、結婚報告の投稿を見て心から嬉しかった。今まで何人も友だちは結婚していったけれど、1番嬉しい結婚報告だった。ニヤニヤしてしまった。思わず、あの日から動いていないトークルームにメッセージを送った。返信は来ない。きっとブロックでもされているのだろう。わかっていたけれど、無性に悲しい。友だち以前に、人として繋がりがあったことすら後ろめたく思われる存在になったことが確定してしまった気がした。私は性別が違うというだけでリスクとなり、純粋な祝意すら受け取ってもらえない。でも、幼馴染のその選択を責めるつもりは無い。家族になった世界で1番大切な人の心が穏やかであることが最優先なのは、きっと私が幼馴染の立場であれば同じことを願うから。強がりに見えてしまうかもしれない。それでも私は本心から思っているのだ。私と幼馴染の関係性は、真実であっても言葉を尽くせば尽くす程嫌なものに見えてしまうことを私は知っている。一般的に見ると異性間の友情は脆く見えるのもわかる。私も、わざわざ本格的にラブストーリーの悪役になる気は無い。もしなれるなら、2人の物語を応援する親友ポジションでのキャスティングを希望したかったけれども。(主軸と並行してストーリーを作ってもらえる美味しいポジションなので。えへ。)
 長年議論になっている異性間の友情は成立するのか問題。この問題は成立する/しないというたった2つだけが答えの候補になるものではなさそうだ。解は条件付きだったり、限定的だったり、時によって移ろったり。関係性の数だけ、その関係性にしか付かない名前の解があると私は思いたい。だからこんな議論、するだけ野暮というもの。ましてや、当人たちを目の前にして他人が勝手に関係性を邪推して揶揄するなんて無粋の極みでしかない。エンタメとして楽しみたいなら、当人たちの知らないところで繰り広げるに留めてほしい。これは自戒でもある。今日は少し泣きたい。
 事実は小説よりも奇なり。本当にあるんだな、こんなドラマみたいなことが!転生しなくても勝手に悪役ポジションになるなんて!笑


 ちょっと!びっくりした!おめでとう!胸がいっぱいになった。私まで幸せで満たされた。新しい幸せの日々を心から祝福します。

それだけ伝えたかったよ。


◆目黒蓮の誕生日に結婚されると、自動的に結婚記念日を覚えてしまうじゃん!何かの機会に「あいつの結婚記念日っていつだっけ?」となり、能天気な私がポロッと「(目黒蓮の誕生日だったから…)2月16日だよ〜」と答えてしまったら…。誤解に信憑性が増しませんこと?あわわわ…。罠過ぎるって…。あ、自意識過剰ですか。そうですか。
◆今回の話題、人の数だけ捉え方がありそうで投稿するのが怖い。でも、誰にも言えないからこそ文字にして昇華したいのです。

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