エヴァンゲリオン｜TV版リアルタイム世代の感想

シン・エヴァンゲリオン劇場版:||。

26年前、中学生、思春期真っ只中のときに始まったエヴァンゲリオンがついに終わった。

受験を控えているときに、わざわざ映画館まで行き「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」を観賞し、あの衝撃的なエンディングにこんなクソアニメ二度と見ないと誓った。

社会人になり、その誓いを反故にして映画館で観た「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」で再びどハマりした。「Q」のあとに長い海外赴任となり、ようやく帰国になってもまだやっていなかった「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」。

思春期から受験、就職、異国の地への出向と、人生のハイライトの間に、振り返ればエヴァンゲリオンがあった。

多くの人がそうだったと思うけれど、Twitterもない時代、「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」観賞後の、どこにもぶつけようない戸惑い？　虚無感？　怒り？は心に深いキズを残した。友人と観に行って、家路は一言も口を聞かなかった。あの重い雰囲気はトラウマだ。

そんな「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」を含むエヴァンゲリオンシリーズは大人になって改めて見返すと大変な傑作だったことに気付かされる。TV版、これは挑戦的、いや挑発的だ。スポンサーもよく許したと思う。時代が作った作品だと実感する。特に「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」の、民放のまともな時間に一生放送されない、国民的アニメをぶっ壊しちゃった感じは、今思うと最高に痛快だし、実はハッピーエンドなところも好きだ。

くだんの「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」は、アスカとも綾波とも様子が違う妻と観に行った。観賞後、妻から「ずっと楽しみにしていたのに、全然興奮してないね」と言われた。

結局、シンジと自分を重ねていたのかもしれない。だから、TV版も、「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」も、「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」も、どんな終わり方をしても何か言いたくなっちゃう。あえて言うと、それが故に本当はカオスなまま終わって、またトラウマを残して欲しかったなとすら思う。終盤の、浜辺でアスカが寝そべっているシーンではまた期待してしまった。咀嚼できない終わり方のほうが、シンジの人生も、そして自分の人生も一緒に続いていくような気がする。頭の中で。

というようなことを考えながら26年間を反芻していて、あのシーンがどうだとかああだとか、そういうことを言う気力はなかった。僕が観た回は、周囲も歳が近かった気がする。みんな30代〜40代。みんながだんまりしている感じは、「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」の「終劇」後の映画館の雰囲気と似ていて懐かしい気がした。

このアニメが始まった時は、主人公のシンジとほぼ同い年。今はちょうど葛木ミサトの年齢に近くなった。彼女かっこよかったなあ。主題歌を担当する宇多田ヒカルも同世代。みんないろいろあった。

ありがとう、すべてのエヴァンゲリオンに関わってきた皆さま

寂しいけれど、また新しい人生が始まります。夢中になれるものを探す旅。

追伸
冒頭のパリのくだりの、敵襲、めちゃくちゃ怖いですね。特に砲撃に向けて充電するシーン。エヴァシリーズにおける、とことん人を恐怖に陥れて、また不愉快にさせる敵（使徒）の描写、感服です。
本完結作についていろいろ思うところはありますが、全体を通して見どころが多くまた観たいと思わせる作品です。