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孤独と恋愛

孤独と恋愛とは相入れるものだろうか?

これは恋愛関係の形によって決まるものだけれど
大体の場合、両立は難しいと思う。

恋をした初期の段階において、
私たちは自分に嘘をつく。

少しでもよく見られたいから
相手の理想に叶うだろう自分を演じて
相手の恋愛感情を沸き立たせようと努力する。

そして自分は自分で、
相手の中に理想の人を見出そうとしている。

相手がどういう人かより
きっとこういう人であってくれるといいな、
という期待に胸を膨らませるのだ。

これは孤独からもっとも遠い状態の一つで
相手に寄りかかり、寄りかかられ
2人で実態のないものに手を伸ばして
ウットリしている。

薄いヴェールに包まれながら
雲の上で追いかけっこをする。

相手の気持ちを捕まえたいけれども
サッと逃げられてしまう。
その指先を掴んだ時の幸せと言ったら、
この上ない。

あたかも自分達が一つに溶け合っているかのような夢心地である。

だが夢なので、いつかは醒める。

付き合って日毎お互いに慣れてくると
段々と相手のことがわかり
自分のことも知られて仮面が剥がれてくる。

ああこういう人だったのかと
幻滅して別れてしまうのは
コミュニケーション不足の関係と言えるだろう。

そこで、ああ、あなたはそうなのね。
わたしはこうなのだけど、どうする?
と擦り合わせができると
関係は長持ちしやすい。

自分と相手を別個の存在として認め、
2人の現実的な生活を維持するための交渉を
行える信頼関係ができる。

この先結婚もするかもしれない。

こういう交渉ができないと
得手して結婚生活も破綻しがちであるため
たとえ喧嘩という形でも
お互いの意見は言い合える関係のほうがよい。

さて、ここで一つ。
この、現実的な生活を維持するための信頼関係と
謎に包まれた夢心地の追いかけっこの両立は
可能であるのか。

親子関係であれば、
それは慈しみに満ちた愛であるから
謎や裏切りではなく安心に軸を据えたものだ。

だが男女の恋愛関係となる以上
そこには色気が必要となる。

相手を求める気持ちが起きる時
それは相手のことをまだ完全に捕まえていない、
もっと欲しい、と感じる時ではないだろうか。

薄暗闇の中、
レースに包まれた白い首筋が浮き立ってくるのに
私たちはドキドキする。

だが毎日、パンツとTシャツで
お風呂上がりをウロチョロされていては
相手の体に神秘やときめきを見出すことはできない。

2人とも個別の生き物なのだから、
お互いの自然の生活がある。

仕事で死にそうに疲れて帰ってくる日もあるし
お腹を下してトイレから出られない日もある。

そこに謎を隠しておくには
かなりの労力が必要となるのである。

信頼と、色気の相反する気質を
どう生活に織り込んでいくのか  
それは一人一人違う。

どうしたら、自分の欲しい両方を手に入れられるのか。

わたしはこれまでも、これからも
ずっと答えを探し続けるだろう。

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