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猫被り系パワハラ上司を打ち倒せ1

「高橋くんは真面目で仕事が出来そうだね、期待してるよ」
そう言われたのをよく覚えている。4ヶ月前の峯岸課長の言葉だ。課長に対する最初の印象は悪いものではなかった。いや、むしろ新入社員の俺を気遣ってくれる、気の利く人だと思っていた。
 俺は学生時代から優秀な方ではなかった。
勉強もスポーツもずば抜けてできる方ではなく、スペックは平均的だった。特に就職したい企業もなく、流れ着くようにこの会社に就職した。
職場でも上辺の会話はするものの、そこまで深い話をする仲間もいなかった。その一方で新しい環境に慣れないこともあり、ストレスは日々蓄積されていった。
そんな中、時々ではあるが優しい言葉をかけてくれる課長に段々と心を許していった。
2.3回だけではあるが、会社帰りに飲みに行って愚痴などを聞いてもらった。認知的不協和の解消とでも言うのであろうか、愚痴を聞いてもらううちに課長のことを信頼するようになっていった。自分の弱い部分や過去の女性関係の失敗なども話した。自分の中で課長が信頼できる人だと判断したからだ。人間というのは不思議なもので、多くの人は自分の観察力は平均より上だと思っているが、それは間違いだ。実はなかなか人の本性を見抜けないのである。後から知った話だが、一般的な人が他人の嘘を見抜ける確率は約50%らしい。自分も課長の人間性を見抜けたつもりになっていたのだと今になって思う。
課長の態度が変わり始めたのは、課長に心を許し始めた頃であった。


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