リトル・エッラ
マッティンに恋をしてやたら映画館に通ってしまった「ロスバンド」。Blu-rayを手に入れてからもう幾度となく家でリピートしている。そんなことをしていたので、もう2年近く経つことに気づいたときには驚いた。
クリスティアン・ロー監督の最新作「リトル・エッラ」が満を持して公開を迎えた。監督本人も来日し、トークショーやサイン会を開催していたのだが、残念ながら予定が合わず行けなかった。「ロスバンド」を観てノルウェー語を始めたことを伝えたかった。とても悲しい。次回また来日することがあれば、ぜひノルウェー語で話してみたいものだ。
監督には会えなかったが、映画はもちろん観に行った。予告編が解禁されたときからもう大好きな作品だった。
友達をつくるのが苦手な少女エッラ、そんなエッラも唯一の友人であるおじのトミー、ある日突然現れたトミーの恋人スティーブ、クラスメイトのオットーが繰り広げる無邪気で温かいストーリーだ。予告編を観るだけでもわかるのだが、エッラがあまりにも愛くるしく、愛おしく、可愛らしい。本編でもその印象は変わらなかった。衣装や持ち物もカラフルで、まるで絵本のようである。「ロスバンド」でも思うのだが、監督は色彩豊かなのに派手過ぎず、むしろ優しい印象さえ与える映像づくりが上手い。
「ロスバンド」を観た人ならクスッと笑ってしまうようなシーンや、ちょっとブラックジョークっぽいところもあり、劇場ではたびたび笑いが起きていた。絶妙なタイミングで絶妙な笑いを誘ってくる脚本と演出は思わず「それはずるいな~笑」と思ってしまう。
トミーが大好きになり、エッラと一緒にスティーブを嫌ってみたり、大人ながら「大人って本当に勝手なんだから!」とちょっと怒ってみたり、「こういうときに頼れる大人がいる社会っていいなあ」と羨ましくもなったり。いつの間にか感情移入して、エッラと一緒に笑ったり泣いたり怒ったりしてしまう。エッラが仕掛けるいたずらの数々は、とうに忘れていた子ども心をくすぐる。できれば「ロスバンド」とも併せて、全国の、いや全世界の老若男女に観てほしい作品である。
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