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今さら釜山旅行記

2024年が始まったばかりだが、2022年の話をする。

2022年は私にとって出会いと挑戦の多い1年だった。特に私の中でひと皮むけたと思うことは、11月に1人で韓国へ行ったことである。

釜山タワー、遠くから見るか下から見るか

少し長めの休みができたのでふと思い立って、釜山への旅行を決めた。これまでに友人と海外旅行をしたことはあるし、短期留学のために一人で国外へ出たことはある。しかし、特に決まった目的もなく1人で航空券とホテルを手配して滞在スケジュールを組んだ旅行というのは、実は今回が初めてだったのである。韓国語はというと「こんにちは」「ありがとう」「すみません」「私は日本人です」「トッポッキをください」くらいしかわからない。まあ別にどうにかなるんじゃない?と、完全にノリと勢いで決めたのだ。

以前の私なら言葉がわからないところへ、少なくとも英語で事足りるところであっても行くのは抵抗があった。まして韓国のように文字ごと違うとなればなおさらである。せめてラテンアルファベットを使用している国や地域であれば英語と似通った単語がたまにあるし、漢字が使われているところでは字面でなんとなく理解はできる。文字も違う、言葉もカタコト以下と言っても過言ではない状態でも「行こう」と決意できたのは、私の中でどこか開き直ったところがあったのだと思う。

結果として、やはり言葉がわからないと苦労はした。韓国ドラマやKPOPで耳は慣らしていたからハングルは読めずとも言っていることくらい少しはわかるだろうと思ったが、そう簡単ではない。当たり前である。観光地では日本語も通じると聞いていたが、それを頼りにし過ぎるのもいささか傲慢であろう。それに今や韓国を訪れる観光客の割合において、日本人が大半を占めるという状態ではなく、若者は日本語よりも英語の習得へシフトしているような印象を受けた。

それでも私は釜山に着いたその瞬間にもう「またここへ来たい」と思っていた。

夜に着く便だったので、着いたその日はホテルへ行くことしか考えていなかった。チャガルチ市場近くの真新しいホテルがある周辺は、繁華街のようでネオンが煌めく。ところどころに日本語の文字もあり、なんだか新宿っぽいなあと思いながら歩いた。

翌朝、改めてホテルの外に出てみるとそこにあるのは別世界だった。午前7時過ぎ、まだまどろんでいるような空気。ふらふらと市場の方へ行ってみると、品物を並べたり、朝ごはんを食べたりしている人がいる。何が、と具体的には言い表せないが、まだ電源の入り切っていない感じというか、客も店員も一緒くたになって朝ごはんを食べている風景だろうか、なんとなく好きだと思った。

チャガルチ市場の朝
フィルカメラアプリとの相性抜群

バケモノ級の行動力と脚力で釜山の目ぼしいところをあらかた行き尽くした翌日は、KTXという新幹線のような特急列車で慶州へ行った。かつての新羅の都、目当てはチョムソンデ(瞻星台、첨성대)という東洋最古の天文台だ。言葉はまともにできなくても、好奇心と興味は無限大である。そして、この慶州がまた気に入ってしまった。むしろ釜山より好きかもしれない。

瞻星台(첨성대)
なかなか可愛いフォルムをしている

釜山ほど観光地感もなく、かといって田舎すぎない。海外観光客は少なく、絶妙なローカル感が良い。このローカル感ゆえにもうちょっと韓国語ができたらもっと楽しいんじゃないかと思わずにはいられない。

弾丸日帰りで釜山へ戻る。窓の外に流れる景色は行きに見たきりのはずなのになんだか懐かしかった。いずれまた慶州へ来よう。

さらにまだもう1日あったので、メトロの1日乗車券を買って釜山のメトロを端から端まであてもなく乗ってみた。海雲台(ヘウンデ)から多大浦(タデポ)、海岸から海岸へ。途中かの有名な釜山国際映画祭の会場である映画の殿堂へも行き、ちょうど開催していたインディーズ映画祭の作品を鑑賞した。英語字幕付きがありがたい。監督登壇のトークショーがあったが、さすがに何もわからず申し訳ないながらも退出した。

釜山についてまず買ったもの、コリアツアーカード
交通系ICカードはやはり便利
メトロ1日乗車券はこんな感じの切符
小さいのでなくさないように注意⚠︎

寄り道ふらふらノープラン気まま釜山旅。この旅行を通して、韓国語もまた少し覚えた。「一人ですが大丈夫ですか」である。これでもう一人で飲食店に入るのも怖くない(たぶん)。話せるものはまだ少ないが、聞き取れるものは増えた。たった5日でもここまで言葉を覚えられるんだから、1ヶ月の短期でも留学して本気で勉強すればかなりできるようになるのではないか、と自分への過度な自信をお土産に帰国した。

どんなときであっても、私は常に語学と共にありたいと思った。

チャガルチ市場発のクルーズ船からの景色を添えて

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