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20年ぶりに「あのころの私」と再会した。大好きだったあの子。

気恥ずかしいような
すこしの戸惑い
静かに心打ち震える喜び
通常業務
の日々。

作陶を再開して、日々粘土を触っている。
「毎日つくる」という自分との約束を守るようになって39日が経ちました。今日は40日目。

はたと。私の日常がままならなくなっている。
洗濯は滞りがち、部屋は散らかり気味だし、歯医者の予約も子どもたちの予防接種も先延ばし。noteの記事を書く頻度もがくんと落ちた。
すっかり習慣になったはずの早朝ウォーキングにも出かけなくなって。

ああそうだった。
私ってこうだった。

高校生から少しずつ始めた陶芸に、大学に入ってすぐズブズブと溺れていった。
それまでも、何かを作ることに夢中になるとそれこそ寝食を忘れて手を動かした。学校の授業中にまでアクセサリーをひたすら作っていたこともあるし(休み時間ごとに販売していた。先生も買いに来たの、今考えても笑っちゃう)、高校の入学祝いにねだったミシンで裁縫に没頭した時期もある。

大学生活は作り続ける日々。まさに夢のような。
美術系大学の選択肢なんてない家庭だったので、私が入学したのは普通の文系四年制大学。でもその実、学校案内で見た「かなり本格的な陶芸部がある」というのが決め手になったことを両親には言わずにおいた。
当然のように、入学式に参加したその足で私は陶芸部に入部しました。

始まった大学生活は、都会の華やかなキャンパスライフとは程遠いながらも私には最高に満たされた日々でした。
朝起きて大学構内の陶芸部部室に直行し、作業着のまま作陶の合間合間に講義に出る。フレンチレストランのアルバイトの出勤時間10分前まで作業して、大慌てで自転車をかっ飛ばした。
一緒に住んでいた妹に呼び出されて池袋駅で待ち合わせると、だいたい開口一番「粘土ちゃんと落としなよ」と言われたものです。

そうやって4年間、まるで修行のように陶芸を続け、3年生の夏に母を突然亡くした時も、いま思うと作り続けることで乗り切れた。4年生の初めにはとうとうゼミの先生に「陶芸を思い切りやりたいので卒論を免除してください」と少しも道理の通らないお願いをして、おかしなことにそれは受け入れられました。
そして卒業の少し前、陶芸部の同級生と後輩をほとんど無理やり誘って(会場代を全額払うのは大変だったから)、代官山の憧れのギャラリーでで3人展を開催しました。
20数年前に駆け抜けたその日々の中の私は、自分史上最も愛おしく、掛け値なしに私そのものだったと断言できます。戻りたいとか、そういうことではなく、本当に大好きだったなーあの子、みたいな。

大学を卒業して沖縄に戻ってはたと気づくと、陶芸をできる環境はどこにもなく。いつかちゃんとまた始めようと、道具を揃えたり、時々できる範囲で作ったり、手のかかるガス窯をえいっと買ってみたもののそのタイミングで最初の妊娠をしたりで、中途半端にぐずぐずとずるずるしていたら20年経っていました。
始めるタイミングはおそらく何度もあったけれど、きっと始める動機と環境(リビングの隅の机一つだけれど)は「今」しかなかったのかも。

あのころの私と違うのは、都会の気ままな姉妹二人暮らしではなくて、夫がいる、子どもたちがいる、家族と営む生活がある、ということ。
毎日やることがあるし、好きな時間に好きなだけ制作する自由もない。
でも私はその制約のある環境を今とても気に入っている。
その上、のりさん(夫)に「近ごろ家事が滞って申し訳ない」旨を伝えると、少しも間を置かずに「そんなことはどうでもいいんだよ」と言う。
そうだ。私たちはお互いをとことん面白がる夫婦なのでした。面白ければ面白いほど嬉しい。
しあわせ者なのだ、私は。

他のすべてをないがしろにして、一日中作り続けていられればしあわせだった20年前の私が、少しだけ不思議そうにこちらを見ている。
毎朝5時に起きてお弁当を作り、下の子たちを保育園に送り届けて家事を済ませ、お尻が半分浮いた感じで作陶し、時間が来たら慌ててお迎えの車に乗り込む。今までより家は少し散らかっているけれど、子どもたちとベッドに向かう前には毎晩ちゃんとキッチンのシンクをさらにする。
いまの私は、そんな生活をとてもとても気に入っている。

私は きっといまの私を大好きになるだろうね。




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とよだりえこ

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チューイチョーク株式会社の中でただただふらふらしています。オハコルテをしている会社です。子どもは3人です。作ったり書いたり作ったりしていられれば楽しく生きていられます。毒にも薬にもならないことを書きます。いつでもお茶とおやつを欲しがります。