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脱会のステップ【第2章②聖書を複眼で捉える①】

宗教団体からの脱会を考えているが、なかなか勇気が出ないという方へ向けたシリーズ記事。
私自身の「エホバの証人」という教団での経験をもとにして、どのようにして教団の教えから自由になって、自分の人生を再選択していくかを段階的に説明しています。

現時点で、エホバの証人であるものの、もうやめたいんだという方にとってはもちろんのこと、別の宗教を辞める場合にも役に立つこともあると思います。

よろしければ、続きをご覧ください。



さて、第2章は「知識を得る」という題で解説しています。

本日はその第二講。
「聖書を複眼で捉える」というテーマで書いていきます。

もともと、キリスト教徒であったというケースを除いて、エホバの証人になった方は「この教団の教えで聖書について初めて詳しく知った」という方がほとんどだと思います。


エホバの証人は、Webサイトjw.orgやスマホアプリなどを媒介として、無料で聖書が読めるようになっていたり、それに関連した動画を提供しています。
その点で、初学者にとって非常に聖書を分かりやすく学べる印象があります。
また、多言語翻訳にも力を入れており、非常に多くの言語で聖書が読めるようになっています。
こうした努力は、素直に認められるべきだと思います。

しかし、エホバの証人が発行する聖書や出版物を通して得られた聖書の理解が、必ずしも”ワールドスタンダード”であるかと言われると、それは違うと言わざるを得ないでしょう。

しかし、先述の通り、
エホバの証人の多くの方は、”それ以外”の聖書解釈を知らないため、
教団が提供する解説をほぼそのまま聖書の真理だと受け入れてしまいます


そこで、最初のステップとして、「この組織の聖書解釈がいかに特殊であるか」を知ることをお勧めします。

エホバの証人の出版物では、自分たちの見解がさも「多くの学者が支持している説だ」と言わんばかりの書き方をしています。
しかし、実際にはその”学者”というのが、エホバの証人の信者であったり、その学者の意図とは異なる引用を行なっているケースも存在するようです。

現時点で、「背教者のブログ」を読むことに抵抗がある方(このnoteもかなりグレーゾーンだと思いますが。。)は、一般に出回っている書籍やインターネットの記事から、世間的な聖書の解釈を調べてみるといいでしょう。


一昔前だと、世間で出回っているキリスト教関係の書籍を読むことさえ、「サタンの世の中から知識を得る必要はない」と断罪される風潮だったようですが、
現在のエホバの証人の空気感では、そこまでの”保守派”はだいぶなりをひそめたように思います。(とはいえ、そこまでする人はほとんどいないのですが。)


私の知り合いの長老も、一般のキリスト教や他の宗教の本を「知見を広げるため」と言って読んでいると公言していました。個人的には、本来宗教者とはこうあるべきなのではと思っています。


そして、これは今後でも構わないのですが、この組織の聖書解釈は、特殊であると同時にオリジナルなものでもないということも調べておくと良いと思います。

エホバの証人は、他のキリスト教宗派と大きく解釈が異なることを自身でも認めているところがあり、むしろそれを自分たちのアイデンティティにしています。

つまり、自分たちが唯一真のキリスト教だからこそ、周りの宗派と大きく見解が異なることがあるのだ、ということです。

有名な「1914年説」や「良心的兵役拒否」、「神の固有名の使用」などがそれにあたります。

しかし、それらについても実は、他の宗派でもそうした類の教義は存在しています

・1914年説→イエスの再臨を具体的年代を持って予言するという宗派や学者は、古今東西無数に存在した(が、いずれも当たったことはない。)
・良心的兵役拒否→エホバの証人以外にもこうした団体は存在する。また、厳格な不殺を教義として持つ「ジャイナ教」の方が「争い事を好まない」という点では真の宗教に近いと言えるかもしれない。
・神の固有名の使用→過去にも神の固有名を復元した聖書翻訳は存在した。だからこそ、エホバの証人は自分の聖書翻訳のスタンスに正当性を主張できるのである。

そして、エホバの証人という宗教組織自体が完全なオリジナルではないということも頭に入れておくべきだと思います。
エホバの証人の創始者であるチャールズ・T・ラッセルは、元はセブンスデー・アドベンチスト派の集会に出席した際に「感銘を受けた」と述べており、イエスの再臨という発想もその宗派から借りてきたものであるようです。

つまり、エホバの証人という宗教組織は、十九世紀のアメリカで数多く誕生したキリスト教系の新宗教の一つに過ぎず、その起源からしても、唯一真のキリスト教であるとは言い難い部分があるということです。


長くなりそうなので、続きは次回にします。

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