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なぜリブリーは”デジタル教科書”対応を決めたのか?~ プロダクトオーナー編 ~

2022年春にLibry(リブリー)で提供開始することが決まった”学習者用デジタル教科書”。今回はプロダクトオーナーである三箇公維に「コンセプトと機能検討の裏側」について聞いていきます。

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プロフィール:三箇 公維(さんが こうい)
東京工業大学大学院卒業後、マーケティング会社に就職。大学ヨット部の同級生だったCEO後藤からの勧誘で2015年にLibryへ入社。
部署・役職:開発部・プロダクトオーナー

「生きる力を育む」がコンセプト

リブリーでは「生きる力を育む」をコンセプトとした“学習者用デジタル教科書”の提供を2022年4月からスタートします。

2022年春に高校でも施行される新学習指導要領では、従来から学校教育でも重視されてきた「生きる力」に必要な資質・能力を、「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力・人間性等」の三つの柱として明確化し、それらをバランスよく習得できるようにすることをポイントとしています。

ー三箇さんは、どのようなプロダクトにしたいと思っていますか?

機能検討をする前に、プロダクトオーナーとして考えたのは、新学習指導要領の3つの柱とデジタル教科書の機能をいかにリンクさせるか、また先生たちが「思考力、判断力、表現力等」の新たな基準に沿って、生徒たちを評価する際に役立つサービスにできるか、という点でした。これまでのリブリーは、問題集に取り組んだ学習ログを記録し、活用してきました。来年春からは、リブリー内で「教科書を使った学習履歴」も活用できるようになり、今まで以上に学校での学びをデータで支援できるようになっていきます。

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ー開発検討するにあたり悩んだ点はどこでしたか?

どんな機能を開発するのか、については非常に悩んだポイントでした。
ディスカッションの中で教科書出版社さんからの要望や弊社CEO後藤の思い描く世界観から、「デジタル教科書でこんなことができたら良いな」というアイデアはたくさん出てきました。一方で、すべての機能をプラスしてしまうと、先生や生徒にとって「使い勝手の悪いサービスになってしまう」という懸念があります。

そこで、2022年春から高校生になる生徒さんをイメージしながら、“どの機能があれば最も高い価値や学習体験を提供できるか”という観点で機能検討を進めていくことにしました。やはり、生徒さんが利用したいものの主役はリブリーではなく、あくまで教科書・問題集なので、学習の邪魔をしないように「抵抗なく使っていただくこと」「Libryが主張しすぎないこと」を心がけ、検討を重ねました。

先生用ツールの機能も大幅アップデート

ー先生たちの使いやすさへのこだわりについて教えて下さい

先生用ツールの機能として、さらに業務を支援できる機能を開発していきます。この機能により、これまで可視化が難しいとされていた部分をリブリーで見える化していく事ができます。

新しい学習指導要領では、これまで先生たちがあまり取り組んでいなかったルーブリックなどの手法による評価が求められます。新しいことに対応しなければいけない先生たちのストレスも大きいと思います。これまでもリブリーでは「宿題管理の機能」で先生たちの業務負担を軽減してきましたが、今回の評価機能を開発することで、さらにテクノロジーによる貢献できると信じています。

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教科によって異なる学習体験

ー社会科への対応のためにインタビューを実施されたそうですね。

6~7校、計20名ほどの社会科教員の方々にご協力いただきました。これまでリブリーは理数系の教科をメインにコンセプトや機能を開発してきましたが、2022年4月からは「社会科」にも対応するので理数系の科目と学習方法が異なるのではないかという仮説があり、それを確認したかったんです。

これまでのリブリーでは、教科書ではなく問題集などの副教材を中心にデジタル化してきていたので、「自学で使ってもらうこと」を軸にコンセプトや機能を開発してきました。今回とても悩ましかったのが、「授業」と「自学」どちらをメインにして機能開発すべきか、という点でした。

それから、先生たちへのヒアリングをしていく中、予想外だったのは「教科書を中心としない授業をされている先生が思ったよりも多い」ということでした。その理由としては、新型コロナによる影響でリモート授業が普及し、それに合わせて授業内容を変化させていらっしゃったからです。

さらに分かってきたのは、先生たちが「授業設計」に非常に多くの時間を割いているということです。モニター等にスライドを投影する授業スタイルの先生もいらっしゃるのですが、その場合、事前の資料作成に多くの時間を割かれています。

それから一度スライドを作ってしまえば、ずっと使えるわけではありません。特に社会科という教科は、社会情勢などの変化に合わせて、常に資料をアップデートしていかなければいけない教科です。その点は、外から見ているだけではわからない点でした。多くの先生たちの努力で授業が成り立っているのだと知りました。

それから学生にもインタビューをしています。リブリーを使っている高校生ではなく、社会科で受験をした大学生に対して実施しています。

ーなぜ高校生ではなく、大学生に聞くんですか?

いくつか理由はあります。受験を最後まで経験していること、大学合格という成功体験があること、そして、ご自身のことを客観的に話すことができることです。やはり、受験を目前に控えた高校3年生だと、自分の勉強のことを話すことは難しいと思うんです。

それに受験生だと、時間が取りにくいだけでなく、リスクがあります。例えば、僕たちがヒアリングをすることで学習方法が変わってしまう、などマイナスの影響を与えてしまう可能性があります。大学受験は人生の一大イベントだと思いますので、そのターニングポイントに外部から刺激することは避けたいと考えています。

大学生から話を聞いて気付いたのは、「あまり世代間ギャップを感じない」ということです。私も高校卒業をして10年以上が経っていますが、学習方法などは自分たちの時代とそんなに変わっていませんでした。世界はこの10年でスマホやSNS等の普及が進み、デジタルシフトしています。改めて、学校教育でリブリーを活用してもらう努力しなければと思いました。

社会科の学習方法については、多くの高校生は1冊を使い込んで勉強している事が多いようです。例えば、1冊の参考書に教科書や資料集から必要な情報を書き足して自分だけの学習本をつくっています。学習者用デジタル教科書では、「教科書、資料集、単語帳などを横断的につなぐ」という機能を設計しました。この機能により、これまでの学習方法を変えることなく、かつデジタルならではの効率化が図れるようになります。

【ページリンク:教科書、資料集、単語帳などを横断的につなぐ】

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それから社会科は移動中など隙間に勉強することが多いということも分かってきました。通信環境に左右されることなく学習できるようオフラインで使えるようにしていきます。それから、昔からある赤いシートで重用なワードを隠して学ぶという方法があると思いますが、これも優れた学習方法だと思うので、リブリーで再現できるようにしていきます。

【赤シート機能:教科書や問題集の暗記したい単語の上に自分で線を引いて、単語を隠したり表示させたりすることで知識習得をサポートする】

他の科目との連携で学びを横断的に

ー今後の展開についてどんなことを考えていますか?

はっきりした時期は明言できませんが、いずれ取り組んでいきたいこととして、他の科目と連携できる機能の開発があります。

例えば、日本史と世界史でいえば、日本で大きな動きがあった年に、世界ではどのような動きがあったか、その影響や関連性など俯瞰的に捉えることができます。また物理であれば、問題を解けなかった原因が物理の知識ではなく数学の計算問題にあるのなら、数学に遷移して学び直しをするといった横断的な学習の可能性についても模索していきます。

生徒さんにとって、理想の学びとは何なのか。学校現場の声にも耳を傾けながら、学ぶことが楽しく、自分の将来に夢が持てるようなデジタル教科書を届けていきたいと考えています。

子どもたちが「将来自分がどういうことをしたいのか?」をみつけられるきっかけを提供したいです。

恥ずかしながら私自身「こんなことをやりたい!」というものがみつからないまま学生生活を過ごしていました。別に「夢をみつけられないこと」が悪いわけではないと思いますが、「夢がみつかる人が多いほう」が一人ひとりの可能性を最大限発揮できる社会になるのではないかと思っています。