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手の動きと記憶力の心理学

記憶は心理学の最も関心を引くテーマの一つです。
記憶の実験を初めて行ったのはヘルマン・エビングハウスと言われています。その後、学習心理学という分野も生まれ多くの実験がなされてきました。

その中の一つに、「手の動きと記憶との関係について」という実験がとても興味深いです。というのも、僕はシャーロック・ホームが大好きで、彼が依頼人の話を聞くときはよく両手の指先をそれぞれくっつけて、祈るようなポーズをとるからです。これが記憶と関係しているのか興味を持ちました。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究者らが行ったのは、学習ビデオ視聴体験を通した学習実験です。参加者は3グループに分けられました。
A群は何もせずにビデオを単に視聴しました。
B群はAグループが見た同じ映像ですが、参加者は手に赤い棒を持ってグラフの変動と同じように動きをマネします。
C群も同じ映像を見て赤い棒を持っていましたが、表示されるグラフの変動とはまったく関係しない動きを行います(B群の対照実験です)。

同じ映像を3回見たあと、参加者全員が設問に回答したところ、一番得点が高かったのはB群でした。続いてA群最も得点が低かったのがC群となりました。
これは視覚情報と動作情報とのイメージが一致することにより、より記憶に残りやすい結果になったと推測できます。また無意識に行う動作にも学習を強化する結果が得られたそうです。対照実験として、グラフの動きとは関係ない手の動きをしたC群が一番得点が低かったのが興味深いところです。

実験では映像を3回繰り返して見て、そのたびに映像をどれだけ理解できているかを被験者に評価してもらったところ、手を動かしているB群とC群は高評価でしたが、手を動かさないA群は評価が下がっていったそうです。2回目から3回目で評価は約20%ほど低下していました。手の動きにはただ座っているよりも被験者を飽きさせないという効果もあるようです。

そこで僕は思ったのですが、物事を覚えるときに手話でトレースしたら記憶の強化はどれくらいになるのか、ということです。
誰かこの実験をやってみませんか?


まとめ

勉強するときは身振り手振りを入れよう


参考文献
Instructed Hand Movements Affect Students’ Learning of an Abstract Concept From Video.

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