#図書館ができること1 死にたくなったら図書館へ!
司書になって久々の投稿。今回は「自殺予防週間」展示を取り上げます。
死にたくなったら図書館においで!
2015年、神奈川県の鎌倉市図書館のツイートが話題になりました。
「世界子ども白書2021」によると、世界の10〜19歳の若者の7人に1人以上が、心の病気の診断を受けていると言われています。僕も学生時代に人間関係でいろいろ悩んだとき、小説にずいぶん助けられました。
つらいとき、あなたはどんな本を読みますか?
さて、僕らが手がけた自殺予防週間の展示は大人が対象。自分の経験もふまえつつ本棚をあさると、「自殺予防」とひとことに言ってもいろんな切り口があることが分かります。
ブッタとシッタカブッタ(小泉吉弘)
生きる(谷川俊太郎)
太陽のパスタ、豆のスープ(宮下奈都)
うつにもいろいろあるんです(細川貂々)…
「毎日つらい、もう死のうかな」と考えてる人が、自殺予防って書かれた本読まないですよね。
当事者に向けてはつらい思いの主人公が立ち直る小説や軽いマンガ、詩や宮沢賢治の物語に寄せた写真集などを選びました。
一方、身近な人の自殺を防ぎたい人のためには自殺予防をダイレクトに扱う本をセレクトします。
図書館で自殺予防展示をやる意味
何のために展示をするか。それは、心に傷を抱えた人が本を通して前向きになること。そして行政の支援窓口に行くなど次のアクションを後押しするためです。
大切なのが、悩んでいる人にどうやって図書館に足を運んでもらうか、本を手に取ったあと行政機関とどうつなげるかです。
足を運ぶきっかけの一つが広報。Facebookは見ようとしないと記事が読めないのでより効果のあるツールがないかな?と模索しています。
図書館独自でなく市のFbと一体化させるか、Instagramで画像から攻めるか。サービスを無尽蔵に広げられないなか、一つ始めて一つ切る取捨選択も不可欠です。
行政とつなげるために、今回は展示と一緒に京都府の自殺ストップセンターの案内も配架しました。
市役所では地域福祉課が所管になるので、サポートのPRも次回の課題。カウンターにお声がけいただければ、所管の連絡先とつなげることもできます。
アメリカ公共図書館の事例
映画にもなったニューヨーク公共図書館。
本の貸し借りにとどまらず、移民の英語教育や高齢者のダンス教室など多様なサービスが展開されています。
就労支援では、面接の練習や仕事の紹介にとどまらず、ネクタイやブリーフケースまでも貸し出すそう。10代で出産した若い母親に寄り添い、子育ての相談にのるプログラムもあるようです。(AERA記事より)
小さいながらも、できることはある。
現実の図書館は、予算も人手も少なく、大きな動きを単体で起こすのは時間がかかります。
でも、日々の展示や広報に少しずつ課題解決の要素を入れることで、ふだん使わない人のニーズを掘りおこすこともできます。
図書館は成長する有機体。くらしの何気ないことから使いたい!と思ってもらえる図書館でありたいです。
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