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人それぞれ難しい:歌を聞くということ

 個人的感想にも程があるのですが、乃木坂46の四期生曲『猫舌カモミールティー』に絡めて、歌を聞くということについて、書いてみます。

・歌の要素

 歌を聞く時、気になる要素は人それぞれだと思います。私なりに推測するとすれば、以下のようなものが挙げられます。
・歌詞
・メロディー
・リズム感
・サウンド
・声質
 ちなみにこれは、私が重視する順番で、まずは歌詞、次いでメロディーになります。
 下の三つはどうでも良いというか、歌詞とメロディーが良ければ、気になることはほぼありません。
 何故そう思うかの理由は、自分でも答えられず、合唱をやった経験のせいかも知れません。
 当然人それぞれの、気にするポイントがあると思われます。

・『猫舌カモミールティー』の歌詞

 『猫舌カモミールティー』を初めて聞いた時、私はあまり明るさを感じませんでした。歌詞を全て聞き取れたわけではなかったので、メロディーを聞いた感触だったと思います。
 そして何度か聞いて歌詞を聞き取ると、歌詞としても必ずしも明るいものではない、と感じました。

 どんな歌詞かと言えば、基本的には「あなた」についての回想です。現状はどうなのかと言えば、もう「あなた」は恋人ではなく、「終わっちゃった恋」です。
 その恋は、ちょっとしたすれ違いが重なってうまく行かなくなってしまった。そしてその恋について、ある程度の時間(数年ぐらい?)が経ってから、回想している、のだと思われます。例えば、「あの頃と同じティーポット」を使った時に。
 必ずしも苦い思いだけでなく、思い出し笑いをする程度には、良い思い出も残っているようです。未練が少しはあるのか、そうでもないのか。そんな微妙な心理だからこその「カモミールティー」なのかも知れません(どんな味なのか知りませんが)。

・四期生達の解釈?

 そんなどうでも良い感想をつらつら書いたのは何故かと言うと、四期生達は当初、センターの田村さんを初めとする皆が皆、この曲について、
「可愛い曲」
「可愛いに全振りした曲」

 と語っており、歌詞とメロディーから感じられるものから、懸け離れているように思えたからです。
 ただ、「可愛いに全振り」という同じ言葉を誰もが使っていることから、曲のアピールポイントを聞かれた際の答えはあらかじめ決められている、という可能性もあります。
 また、発売から時間が経つにつれて、歌詞の切なさにも言及する機会が増えたので、何らかのコントロールがされている気もするのですが、それについては何とも言えません。

 この曲の何が可愛いかと言えば、振付です。猫を表した様々な振付がされています。
 ただこの曲を『聞いて』可愛いと思う人は、もちろんいるでしょうが、絶対多数かと言われれば、かなり怪しいと思います。『I see…』や『Out of the Blue』であれば、文句なしに明るさが印象に残ると思うのですが。

 そこで思ったのですが、歌っているメンバー達は、あんまり歌詞全体の意味、ストーリーを気にしていないのではないか、ということです。
 私の場合は歌詞を全部聞いて、どんなストーリーになっているか、を読み取ろうとします。そういう人も一定数はいると思われます。
 しかし当のメンバー達にしてみれば、歌うのはサビ以外はごく一部。むしろずっと踊っているぶん、振付の印象の方が強いのかも知れません。増して生歌ではない場合もあるでしょうから、尚更です。

 聞く側は歌詞の印象もかなりありますので、もしあまり意識が行っていないなら、少し考えて欲しいところではあります。
 ただ、歌詞から語られるストーリーのみに囚われるのは、歌を聞く時には適切ではない時もあります。

・歌詞のあり方

 以前、歌にするのであれば歌にするだけの意義があるべきで、単に言葉で意味を伝えたいなら歌にせずにそのまま言ったり書いたりすればいい、という見解を聞いたことがあります。
 もちろん、単に詩やエッセイを書くだけより、曲に付けて歌にした方が金儲けになるという現実はあるにせよ、歌にする場合は、文章としては矛盾している言葉をわざと使ったり、擬音を使ったりもします。

 私にとっての一番の好例は、同じ27thのカップリング曲、『ざぶんざざぶん』です。題名を聞いた時はまた悪ふざけかと思いましたが、

ざ ぶん ざ ざぶん 

 という波の擬音が強烈に耳に残り、曲調も夏曲らしい爽快さがあって、このシングルでは『錆びたコンパス』に並ぶお気に入り曲になっています。お気に入り度合いは千差万別でしょうが、そこが耳に残る、という人は多いと思われます。
 この擬音には意味はないですが、むしろ論理的には無意味であるからこそ印象に残ったり、想像を膨らませたりするのが、歌や詩の面白さなのでしょう。

 近年の曲の歌詞で言えば、『サヨナラStay with me』のサビ、
「永遠分の1を私に下さい」「思い出分の1を私に下さい」
 が印象に残っています。
 永遠分の1は無限大分の1のようなもので、ゼロです。そのゼロを私に下さい、と言っているのは、恋の終わりを認めたくない心理を絶妙に表現していて、メロディーと合わせて印象に残る一節です。

・まとめ

 乃木坂46に限らず、そんな心に残る一節はきっとあるだろうと思います。ただそうしたフレーズには、滅多に巡り合うことはありません。なので、歌詞のストーリーを大切にしてもらいたいなあ、と思います。

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