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マグレの2023年を振り返る

 昔、偉い人が言いました。
 
「人間の特徴は、こよみを持つことである」
 
 夏至だの冬至だの誕生日だのクリスマスだの、そんなものを気にしながら生きている動物は他にいない。人だけが一年を365日に割って「その日」を定め、これによって日々の暮らしに彩りを添え変化をもたらし、時にそれを生きるためのよすがヽヽヽとすることもある────
 
 まァね。実際、この年齢としになってまいりますとね。気付いてしまうんですよ。若い頃みたく「大晦日だ元旦だと言ったところで何かあるわけでなし」だの「蕎麦だのおせちだの横並びで同じもの食ってもなァ」だのと斜に構えていると、人生ってヤツは本当に何もないままあっという間に過ぎていくということに。
 暦を持ち、年越しをして、新年を迎える。それができる心のゆとりヽヽヽを持つことを「人並みの幸せ」とか「人間らしい暮らし」なんて言うんでしょう。
 
 そんなわけで。
 
 年の瀬に一年を振り返り、思いを巡らせ、駄文を綴り。これをもってきたるべき新春のご挨拶に代えさせていただきたく存じます。
 
 

「何もない年」のはずだった

 
 前年、2022年の寅年。ワタクシいわゆる年男というヤツだったんですけど、心身の調子を崩してほぼ棒に振りまして。明けて本年、23年の卯年になっても復調の兆しはなく、何の予定も入っておりませんでした。
 
 ところが実際には、〔ウィザードリィ外伝:五つの試練〕のアルファテスト参加を契機として状況が激変し……という話は前回の記事でめっちゃ書いたので全面的に省略。現在はほぼ復調し、営業やら仕事探しやらに精を出す毎日です。
 この事実をもってウィザードリィは万病に効くと表現することもできましょう。いずれは悪性腫瘍ガンだってイチコロだぜ。知らんけど。
 
 これだけでもめちゃめちゃラッキーだったんですが、今年はもうひとつラッキーがありました。
 2022年、体調不良から開発から離脱することになったR18ゲームが無事発売にこぎつけ、かつ、企画原案の担当として名前を残していただいたんですね。ここは全年齢向けのnoteなので子細は秘しますが、すでに成人済みの紳士淑女におかれましては別名義の第二拠点のほうでご確認ください。
 
 結果だけ見ると、2023年の永元千尋は2本ものゲームのリリースに関与したということになります。めちゃくちゃ仕事した人みたいだ。年始に一切何の予定もなかったとは思えませんな!
 
 

この波に乗りたいところだが

 
 2023年の永元千尋はツイていた。それは確か。
 では、翌年もツキの波に乗っていけるかというと……。
 
 現時点で、2024年の予定は真っ白。
 
 いや、本当の意味で真っ白かというとそうでもないんですが、少なくとも、一定量のまとまった仕事としていただいているものは皆無です。先の見通しという意味では「とにかく療養が最優先」だった23年初旬よりも不透明かもしれない。ダメじゃん。
 
 まあ、仕事の話についてはいったん脇に退けたとしてもだ。
 これよりもっとヤバい問題が、今、僕の前に立ち塞がっていて────
 
 

書きたいものがない!

 
 ちょうど一年前、22年の12月。僕はこのnoteに〔終焉のパラベルム〕というマガジンを立ち上げました。

 23年中にスタートさせるつもりだった連載小説企画です。
 巨大迷宮を舞台とした剣と魔法のファンタジー作品で、ぶっちゃけ〔平和への妄執〕のセルフノベライズでした。〔ウィザードリィ外伝:五つの試練〕を源流として持ちつつもそこに依拠はせず、完全なオリジナル作品として展開していこうと。

〔終焉のパラベルム〕主人公:シオン

 わかりやすく言えば、ドラクエ的な世界観をベースにした〔葬送のフリーレン〕とか、ウィザードリィ的な世界観をベースにした〔ダンジョン飯〕みたいな距離感の作品にしていきたかったんですよ。ええ、どちらの作品も22年の末ごろには今ほど話題になっていなかったんですけど。
 そういう意味では自分、1年前の時点でなんとなく「時流」を読んでいた面もあったんでしょうかね。少なくとも自分の気持ちの中では〔コヲロコヲロ〕に続く代表作になればと意気込んでいました。もしも23年中に〔五つの試練〕のアルファテストから〔偽りの代償〕の制作へと深く関わっていなければ、今頃ノリノリで書き進めていた可能性大。
 
 でも現実問題として〔終焉のパラベルム〕本編は1文字たりと書き始められませんでした。そして、すでにフリーレンは大ヒットしていて、24年1月からはダンジョン飯のアニメも始まるんです。
 
 こちらはあくまで個人的な作品、趣味のレベルで執筆するものとはいえ、いちオタクとして今後フリーレンとダンジョン飯を無視してファンタジー作品を書き続けるなんて不可能ですからね。
 創作の基本は「ないから自分で作る」だとよくいいますが、逆に言えば「すでにあるものはわざわざ作る意味がない」んですよ。自宅の狭いキッチンで手を汚し時に失敗して痛い目を見ながら必死こいて作った料理よりも、はるかに立派で美味しくて考え抜かれた料理が手軽に食べられるなら、誰がめんどくさい思いをして自炊などするものかという話。
 すでに料理を作り始めていて、何かしら手応えを掴みつつあり、自分なりの「味」が出ていて、それを喜んでくれるお客さんもいる……そんな状況だったら違ったんでしょうけどもね。なんかもう致命的に出遅れたなっていう感が強くなる一方。
 
 そうして、テイザー的な序文主要キャラの紹介だけが公開されていた状態でほぼ一年。もはや執筆に向かうモチベーションを保つことすら難しくなってしまい、12月19日をもって〔終焉のパラベルム〕はいったん畳み、マガジンを削除するという結果になりました。
 残された設定メモの類は結構な量になりまして、今見ても「もったいねぇな」と思うんですけどね。アイデア的にもう3捻りくらいしないと……そこまで行くともう完全に作品としてベツモノですが……「書ける!」という内的衝動は手に入らないと思います。無念。
 
 

隠れた成果

 
 ああ、そうそう。忘れるところだった。X(旧Twitter)を放棄してレーベルの本拠点をnoteに移したのも今年のことだったんですよね。
 最終的にXの完全放棄には至りませんでしたが、悪い意味でSNSに振り回されるネットライフに終止符を打つことには成功したんじゃないかと思っています。これだけでも「2023年に大きなことを成し遂げたぞ!」という感がある。
 
 で、SNSでいらんことを言ってしまう(≒言わされる)代わりに始めたのがこのエッセイということになるんですが、これも我ながら正解だったかなと。
 特にこないだの記事なんて、反響が大きかっただけに留まらず、最終的には五つの試練公式アカウントにリポストされていきましたからね。流れ的にはSteam歳末セールの一助になったのかな? 書いてよかったなとしみじみ思いました。
 
 そう。
 SNSに振り回されて「言わなくていいことを言わされる」のと。
 「言いたいことを届けるために適切なメディアを選ぶ」のと。
 この二つの間には、すごい大きな違いがあるんだな、って。
 
 今後のネット社会、ここの見極めがすごい大事になってくるんでしょうね。いつかこの学びも、読み物的にまとめてみたいなと思っています。
 

そうして始まる2024年

 
 そんなこんなで、2024年へ向けての抱負としては、
 
 〔書きたいものをまず見つける〕
  
 ということになりますか。うん。これが最優先課題。
 ひとまずそれさえ見つかれば、大きな仕事が入ってなかろうが貧乏だろうが別に良い……いや決して良くはないんだけど、少なくとも「ひとりの書き手として」は救われたと思える年になるでしょうから。
 
 その上で、あわよくば、
 
 〔自身の代表作を更新しうる作品を書き始めている〕
 
 という状況になってくれていれば最高なんですけどね。
 果たしてそこまで行けるかどうか。

 とにかく、やるしかありませんね。
 何よりもまず自分自身のために。
 がんばります。
 
 
 
2023/12/31

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