【乳がん闘病記:49】カシス色の抽象画。放射線治療スタート。
7月29日
いよいよ放射線治療が始まりました。
予約時間に地下2階の放射線科へ。
受付で先日預けておいた不織布の検査着を受け取って更衣室で着替え、「こちらでお待ちください」と言われた大きな扉の部屋に座ります。
ちなみに前回の記事でCTを受けた部屋が放射線室かと思っていましたが違いました。
前回の部屋はCT専用の部屋で(PET-CTと書いてありました)、放射線室は私が案内された分厚くて大きな鉄の扉の向こうでした。
椅子に座って待っていると、看護師さんから名前と生年月日の確認がありました。
そして更には顔写真の撮影まで。
患者によって当てる場所も量も違う放射線。
間違いがあったら大変です。
名前と生年月日確認でまず人違いのミスは防げるはずだけど
念には念を入れて、毎回写真と顔を見比べて確認するのだそうです。
撮影が終わると操作室から先生がにこやかに出てこられ
「では今日から、ちょっと毎日で大変ですけど頑張っていきましょう。」とご挨拶頂きました。
穏やか~で柔らか~い表情と話し方。こちらも落ち着いて「はい、よろしくお願いします。」と答えました。
そしていかにも重たそうな扉が開き、放射線技師さんに誘導されて中へ。
仄暗い部屋の真ん中に
先日模型で見せてもらった、あの機械がありました。
「頭はコチラ向きで、横になってもらえますか?」と言われ、靴を脱いで中央のベッドに横たわります。
「では、まずは印を付けていきますので、前を開けます。」
「ハイ。」と答えると、男性技師さんと女性技師さん二人で左右から検査着を開けてCTの時につけた印を確認し、何やら準備を始めました。
そして頭上の機械が動き、「では印を付けます。」と長い綿棒のようなものを胸に走らせるお二人。
冷たい感触、そして何かを描かれている感触があります。
真剣な眼差しで筆を走らせるお二人を見ていて、ふと笑いが込み上げてきました。
というのも
4月、しこりを見つけて検診に行こうかなぁと思った時
今お世話になっているクリニック、男性の先生の時間しか予約が取れないことを最初気にしてたっけなぁ。
あの頃はお医者さんとはいえ、見知らぬ男性に胸を見られたり触られたりすることに抵抗あったんだった。
我ながら可愛かったな(笑)
がんと分かって以降は
もう、そんなことはどうでも良くなりました。
ハイハイ、脱ぎます。ハイハイ、触って下さい。
3ヶ月でこんなに変わるなんてね、なんてこと思ったら笑えてきて。
印を付け終わると印を保護するシールを貼ったらしく、さらにそれが剥がれないスプレーとやらをかけて準備は終了。
そしてようやく放射線照射の時間。
操作室から「始めます。」と合図があり、ベッドを囲んだ輪っか状の機械が自動で動き出しました。
黒い円盤みたいなものからどうやら放射線が発射されているらしいのですが、光も熱も一切感じません。
ギュイン、ギュインと動いていた円盤は数分すると止まり
「はい。今日はこれで終わりです。」と声をかけられて終了。
印をつける時間は長かったけど放射線自体はどうだろ、2~3分くらいに感じました。
着替えて、看護師さんから体調を聞かれたので「問題ないです」と答え
検査着をまた受付に預けて地下から地上へ。
会計を終えロビーで少し様子をみていましたが、痛くも痒くもならないし気分が悪くなることもなさそうなので、運転して帰って来ました。
そして現在、放射線から半日近く経ちましたが
今も特に体への影響は感じません。
最初の説明で、副作用はだいたい10日~2週間後くらいから出ることが多いと聞いていたけど、やはりそういうものなんですね。
しかし先程シャワーを浴びる時に
洗面所で自分の体を見てビックリ!!
CT検査の後に書かれた黒ペンの印は
前回の記事でお伝えした通り十字マークが3つと縦線1つだったのですが
今回の印はもっとダイナミック!
まず、色が濃い赤紫。
2ミリ幅くらいのラインで右胸を四角に大きく縁取り、中央に大きなクロス、その隣に小さなクロス、更には左胸にもクロスが1つ。
右胸下に何かの爪痕のような2本の斜線。
胸というキャンバスに描かれたカシス色の抽象画。
思わず見入ってしまいました。
ちなみにこのカシス色のインク
一応放射線の度、毎回新しく書き重ねていくとのことですが
この線が消えてしまうとCTからやり直しになるので、絶対に消さない様に細心の注意を払わなければいけません。
と言っても、下着が当たったりシャワーを浴びる程度では
多少薄くはなるものの、完全に消えることはないそうです。
ただ、ゴシゴシこすれば消えてしまうので、体を洗う時は胸はボディーソープを泡立てて、なるべく手で優しく洗って下さいとのこと。
汗を拭く時も優しく抑えるように、だそう。
そして、このインク
うっすらとですが下着に色移りします。
なので、放射線治療中は汚れても良い下着を付けて下さい、とのことでした。
まぁ、多少ブラが汚れただけで、副作用もなく放射線治療初日を終えて
ひとまず安心しました。
今後は肌ケアをしながら、体調も気にかけながら、残る19回を乗り切るのみ。
さて、今回書ききれなかったので
次回はこの放射線治療の為の肌ケアについて、看護師さんからレクチャーして頂いた話をまとめてみたいと思います。
すごく分かりやすい冊子も頂いたので、それもご紹介していきますね。
自分の治療や生活は何とかなるので、もしサポート頂けましたらご支援は近くの保護猫支援団体に寄付させて頂こうと思います。ネコ達に沢山生きる力をもらってきたから、せめてもの恩返しに。