PMI「購買担当者景気指数」と読み解き方~2月のPMIをどう読む?

経済・金融情報専門のメディアBloombergでは、
こんなことがニュースになっています。


・米総合PMIが活動の縮小示す、13年来初-新型ウイルスが影響
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-02-21/Q6249DDWRGGF01?srnd=cojp-v2


・PMIとは

Purchasing Manager's Indexの頭文字をとってPMIと呼ばれます。

日本語では「購買担当者景気指数」と訳されます。

米国、中国、欧州各国等で算出されており、
日本ではPMIはありませんが、
同じ性格の経済指標に日銀短観があります。

筆者はPMIを重要視しています。

なぜかというと、
PMIは企業の購買担当者に、
新規受注、生産高、受注残、価格、雇用、購買数量などを
調査した結果を積み上げて算出されるからです。

購買担当者は自社、取引先、最終需要の動向まで踏まえて
受発注を行うため、

その判断は景気実態を正確に映し出しやすく、
さらに速報性が高いのが特徴です。

なお、PMIは、景況感の改善と悪化の分岐点となるのが50で、
好調だと考える購買担当者が多いほど指数は高くなり、
逆に不調になると考える担当者が多いほと指数は下がります。


・2月のPMIはショッキングな数字


民間調査会社IHSマークイットが発表した
2月の総合PMIはショッキングな結果でした。

前月から3.7ポイント低下し49.6と
2013年以降で初めて景気の縮小を示す50割れとなりました。

要因としてCOVID–19による影響で
サプライチェーンが打撃を受けたことが挙げられており、

新型コロナウイルスが中国だけでなく
遠く離れた米国経済へも悪影響を及ぼしていることが確認されました。


・金融市場はリスクオフへ


PMIの50割れを受けて金融市場はリスクオフの動きになっています。

リスクオフとは、
投資先をリスクの高い金融商品(株、原油等)から、
リスクの低い金融商品(国債、金、信用力の高い通貨)などの
安全資産に移す動きのことです。

米30年債利回りは2%を割り込み過去最低を付け(価格は上昇)、
金価格は一時1トロイオンス1650ドルを付けています。

これは米国経済が将来に渡って回復しない(金利が上がらない)と
予想した投資家の先回り買いが長期債に殺到し、
金利を生まない金の相対的な価値が高まったことを意味します。

COVID–19による米国経済への影響は
軽微に留まるというのが市場のコンセンサスだったため、
PMIの50割れは市場参加者の楽観を打ち砕くものでした。


米国金利一覧
https://www.bloomberg.co.jp/markets/rates-bonds/government-bonds/us

金価格
https://www.bloomberg.co.jp/quote/GC1:COM


・米国金融政策が鍵を握る

このニュースを投資に活かすのであればこのように考えます。

2月18日付「アップルショック2020」で言及した通り、

米国株は直近に記録した過去最高値から
調整(下落)が続くと予想します



しかし長い目で見ればCOVID–19には米国経済、
そして世界経済の成長を鈍化させるほどの力はありません。

さらに注目は
米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)の行動です。

米国での景気減速懸念がさらに強まれば、
利下げ(金利引き下げ)や市場への資金供給拡大(量的緩和、QE)などの
金融緩和策への期待が高まります。

FRBが実際に金融緩和策を実施するか、
もしくはそれを期待させる発言をするだけで
米国株式市場は盛り返す可能性が高いです。



※ディスクレーマー※
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