リース投資資産は減損会計の対象資産か

大変ご無沙汰しております。
会計コンサルの株式会社Liberaize(リバライズ)です。

今回は、減損損失の論点について触れようと思います。
テーマは「リース投資資産は減損会計の対象資産か」です!

 リース投資資産は貸手の所有権移転外ファイナンス・リース(以下、FL)で出てくる勘定科目ですが、リース会社等、貸手側のリース取引があるような企業に関与していないと会計処理を忘れがちな項目ではないでしょうか(私がそうです。。。)。

 そんな中でリース投資資産について検討する機会があり、ふと「あれ…減損会計の対象に含まれてたっけ??」と考え込んでしまい、勉強も兼ねてNoteに書き込もうと思った次第であります!
それでは下記につらつら書いたのでお付き合いくださいませ。

Ⅰ 減損会計の対象

 まず、減損会計の対象資産を振り返ってみましょう。
 『減損会計基準は、固定資産を対象に適用する。ただし、他の基準に減損処理に関する定めがある資産については、対象資産から除くこととする。(減損会計基準一)』

 つまり、基本的には「固定資産」に含まれる①有形固定資産、②無形固定資産、③投資その他の資産に減損会計が適用されることになりますが、下記の基準に記載のある資産は減損会計の対象外ということなります。
・金融商品基準における金融資産
・研究開発基準における市場販売目的のソフトウェア
・退職給付基準における退職給付に係る資産、前払年金費用
・税効果会計基準における繰延税金資産
・財務活動から生ずる損益に関する経過勘定(長期前払利息等)

 ということは、今回のテーマに指定した「リース投資資産」は固定資産で減損会計の対象?それとも金融資産で減損会計の対象外?はたまた別の要因で対象外??
 という疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思います(恥ずかしながら私です)ので、引き続き紐解いていきます!!

Ⅱ 『リース投資資産』の概要と計上方法

1.リース投資資産の概要
 リース投資資産とは、貸手が行ったリース契約について、所有権移転外FL取引に該当した場合に計上される資産であり、将来のリース料を収受する権利と見積残存価額の複合的な資産です(リース会計基準40 項)。
 また、同会計基準41項には「リース投資資産のうち将来のリース料を収受する権利に係る部分については、金融商品的な性格を有すると考えられる。したがって、これらについては、貸倒見積高の算定等などにおいて、「金融商品に関する会計基準」の定めに従う。」と記載されています。

(なんだかもう結論が出た気がいたしますが、一旦先に進みます)

2.リース投資資産の会計処理
 所有権移転外FL取引に該当した場合、その貸手には3つの会計処理が認められています(リース基準適用指針51項)。
(1)リース取引開始日に売上高を計上する方法(第1法)
⇒この方法では、リース料総額が「リース投資資産」に計上され、受取リース料を「リース投資資産」からマイナスしていきます。
また、各期末では翌期以降に繰り延べられた利息相当額(繰延リース利益)は「リース投資資産」と相殺して表示されます。
(2)リース料受取時に売上高を計上する方法(第2法)
⇒この方法では、リース物件の購入価額が「リース投資資産」に計上されます。そして、受取リース料のうち元本部分を「リース投資資産」からマイナスしていきます。
(3)売上高を計上せずに利息相当額を各期へ配分する方法(第3法)
⇒この方法は第2法と同様、リース物件の購入価額が「リース投資資産」に計上されます。そして、受取リース料のうち元本部分を「リース投資資産」からマイナスしていきます。

3.リース投資資産の計上区分
 『リース投資資産については、一般的な流動固定の区分基準に従い、当該企業の主目的たる営業取引により発生したものである場合には流動資産に表示する。また、当該企業の営業の主目的以外の取引により発生したものである場合には、貸借対照表日の翌日から起算して 1 年以内に入金の期限が到来するものは流動資産に表示し、入金の期限が 1 年を超えて到来するものは固定資産に表示する。(リース会計基準18 項、44項)』とありました。

Ⅲ リース投資資産は減損会計の対象か

 長々とお付き合いいただきありがとうございました。
 結論はリース会計基準41項に記載の通り、リース投資資産のうち将来のリース料を収受する権利に係る部分については、金融商品的な性格を有すると考えられるため、「リース投資資産」は減損会計の対象ではなく、売掛金などと同様に「金融商品に関する会計基準」の定めに従って貸倒見積高の算定を行っていくことになります。
 ちなみにリース債権も金融商品と考えられるため、取り扱いは同様です(同会計基準41項)。

また一歩、成長させていただきました!

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